建設業の労災事例

荷下ろし作業中にホイールクレーンが転倒

   

【発生状況】

本災害は、鉄筋コンクリート建屋の新築工事現場における場内の清掃作業において、ホイールクレーンを用いたゴミ袋の荷下ろし作業中にホイールクレーンが転倒したものである。

災害発生当日、午後から、場内の清掃作業に伴い、3階荷取りステージから集積ゴミの荷下ろし作業が行われた。移動式クレーン運転士Aは清掃中の作業者Bの指示により、ホイールクレーン(つり上げ荷重25t)を運転し、3階荷取りステージに集められたコンクリートガラを入れたゴミ袋(重量約180kg)をつり上げ、作業半径14mで旋回した。これを荷下ろしする時、Bが指示する荷下ろし個所よりもさらに前方の集積場所付近に荷を下ろそうとジブを倒していき、作業半径32mになったとき過負荷防止装置の警報ブザーが断続的に鳴り出した。この時、Aは自らの判断で過負荷防止装置の自動停止機能を解除し、さらにジブを倒していったところ、ホイールクレーンの機体後方が浮いたので、あわててつっていたゴミ袋を地上に降ろそうとしたが間にあわず、機体が前方に転倒した。この事故による死傷者はいなかった。

移動式クレーン運転士Aは、元請とホイールクレーンを所有する会社の間の運転士付きリース契約のもと、現場に派遣されていた。Aは、当日の作業前ミーティングには参加しておらず、また、現場の入構時教育も受けていなかった。

【原因】

この災害の原因として、次のようなことが考えられる。

1 移動式クレーン運転士が玉かけ合図者の指示に従わず、自らの判断で荷下ろし場所を変更しようとしたこと

ホイールクレーンの作業半径を無理に広げようとしたため、つり荷の重量がホイールクレーンの定格荷重を超えた。

2 移動式クレーン運転士が、過負荷防止装置の自動停止機能を解除し、ジブを倒したこと

過負荷防止装置の警報が鳴った際、移動式クレーン運転士が自動停止機能を解除して、さらにジブを倒したため、ホイールクレーンがバランスを失った。

3 移動式クレーン運転士に対し、入構時教育を行っておらず、また、作業前のミーティングにも参加させていなかったこと

移動式クレーン運転士は、必要な安全衛生教育を受けていないため、現場における安全ルールを知らず、当日の作業スケジュールも把握していなかった。

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 移動式クレーン運転士には、玉かけ合図者の指示に従って、ホイールクレーンを操作することを徹底させること

移動式クレーン運転士は、玉かけ合図者の指示に従い、慎重にホイールクレーンを操作する必要がある。現場においては、これを徹底させること。

2 移動式クレーン運転士には、過負荷防止装置の自動停止機能を解除しないよう徹底させること

過負荷防止装置の警報が鳴った際には、さらにホイールクレーンが不安定になるような操作を行わず、周囲の安全を確認して、必要な措置や行動をとることが必要である。過負荷防止装置の自動停止機能を解除することがないようにしなければならない。

3 現場に入構する者全員を対象に安全衛生教育を実施すること

1日だけ入構する者であっても、例外なく入構時教育を実施し、現場の安全ルールを周知させることが必要である。運転士付きリース契約により現場に派遣された労働者に対しても、元請業者が安全衛生教育を実施し、現場の安全な作業方法を守るよう教育することが重要である。

【業種】

鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業

【被害者数】

なし

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101023より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営のhttps://aimgroup-sr.com/へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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地面が陥没してアウトリガーが沈み、ホイールクレーンが転倒

   

【発生状況】

この災害は、橋梁架設工事現場において、主桁のつり上げ作業中にホイールクレーンのアウトリガーが沈み、ホイールクレーンが転倒したものである。

災害発生当日、現場には前日からホイールクレーン(つり上げ荷重45t)が配置されていた。そこに、橋梁の主桁(重量約8t)を積んだトレーラが到着し、ホイールクレーンのそばに停車した。主桁を橋梁に設置するため、まず、ホイールクレーンで主桁をつり上げ、トレーラとホイールクレーンの間にいったん仮置きし、作業者がつり足場用の部材を主桁に取り付ける作業を行った。この後、主桁を橋梁に設置するためのつり上げ作業を行った。

ホイールクレーンで主桁を旋回しながら地上約12mにつり上げた時、ホイールクレーンの左後方のアウトリガーが急に沈下し、ホイールクレーンの機体が左側方に転倒した。このとき、つり荷が落下し、ホイールクレーンのジブは近くの架空電線を切断したが、死傷者はいなかった。

災害発生時、ホイールクレーンのアウトリガーのうち、左後方以外の3個所は、舗装道路上に位置していたが、左後方の1個所は盛り土された地面上に位置していた。この左後方のアウトリガーは、縦1.2m×横1.2m×厚さ30mmの鉄板を3枚重ねた上に設置されていた。4本のアウトリガーはいずれも最大張り出しになっており、災害発生時の条件では、つり荷の重量もホイールクレーンの定格荷重より軽い状態であった。

なお、現場で移動式クレーン作業を行うに当たり、盛り土された地面の支持力の調査は行われていなかった。

【原因】

この災害の原因として、次のようなことが考えられる。

1 軟弱な地面にアウトリガーを設置して、移動式クレーン作業を行ったこと

現場の舗装面ではなく、軟弱な地面にアウトリガーの1本を設置したため、この地面が沈んでホイールクレーンが転倒した。

2 軟弱な地面の支持力を事前に調査しなかったこと

現場の状況から、軟弱な地面にアウトリガーを設置しなければならなくなることが予想されたにもかかわらず、地面の支持力の調査をしていなかった。そのため、載荷荷重に耐えられるような地面の養生をすることができなかった。

3 安全な移動式クレーン作業の方法等について、関係労働者に十分教育が行われていなかったこと

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 移動式クレーンのアウトリガーは、なるべく舗装面等の強固な地面に設置すること

移動式クレーンのアウトリガーを、舗装面等の強固な地面に設置できるような工事計画とすることが重要である。

2 アウトリガーを設置する地面の支持力を調査した上で、養生方法を検討すること

事前に地盤の支持力を調査し、地盤支持力とアウトリガー載荷荷重により設置地面の養生方法を検討する。なお、盛り土された個所は、表層の地面と下層が違っていることが多く、目視や踏査による調査では不十分である。その上で、地盤の養生方法を検討することが必要である。

3 軟弱な地盤がある場合の安全な移動式クレーン作業の方法等について、関係労働者に十分教育を行うこと

【業種】

橋梁建設工事業

【被害者数】

なし

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101024より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

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