建設業の労災事例

体育館の建設中に7段枠組み足場上から墜落

   

【発生状況】

この災害は、高校の体育館の建設工事中に発生したものである。

この体育館は、鉄筋コンクリート造2階建のもので、屋根部分は円形状になっていて、工程としては屋根工事を行うために2階アリーナ全体に足場(屋根受け足場) が組み上げられていた。

被災者の所属する会社は、JV(共同企業体)の1次下請として足場の組立等の仕事を行っていた。

災害発生当日、職長以下6名が現場に到着し、午前8時からJVが行う現場全体の朝礼に参加し、その後、職長を中心にKY(危険予知)を実施し、午前8時20分頃から作業を開始した。

作業は、体育館(長さ約42m、幅約32m)内部の四囲に組み立てられた周囲足場の内側に、13列に組み立てられた足場最上部(枠組み足場7段:地上からの高さ12.2m)の隙間(2m)に養生用足場板を敷き詰め、その上に防網を取り付けて足場板に緊結するもので、被災者は職長ら3名で作業用親綱の設置、養生用足場板の運搬および緊結作業を行い、他の2名は主に防網の取り付け作業を分担した。

作業は順調に進んでいたが、午前10時頃からの休憩時間中(約15分)に職長と被災者が話をして、足場板の運搬を容易にするため、次の工程(2つの枠組み足場間の作業を1単位とした)で親綱を移設するときには、その設置位置を南側へ1スパン(1.85m)ずらすことにした。そのため、休憩後の作業においては北側と南側のスパンとの間には(2スパン分3.7m)親綱が張られていない状態となった。

午前11時45分頃、被災者らは、西側から8列目までの枠組み足場間の足場板の布設を終え、職長は1段下の足場上で作業を行っている2人の防網の取り付け作業状況を見るため右から6列目の枠組み足場のところで下をのぞいたときに、被災者が枠組み足場7段目の8列と9列との間のところから約12m下のコンクリート床に転落した。

なお、このときに、8列と9列との間に掛け渡した足場板1枚も落下していた。

その後、被災者は、救急車で病院に移送されたが、頭蓋骨折等のため間もなく死亡した。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 墜落危険のある場所で墜落防止措置を行っていなかったこと

被災者が墜落直前に行っていた作業あるいは動作を目撃した者はいないが、被災者らが行っていた作業は7段(地上からの高さ12.2m)に組み上げた13列の枠組み足場の間に、足場板を並べて建設資材の落下防止と墜落防止措置を行うものであり、もともと枠組み足場の狭い通路上を、一定の場所に既に積まれていた養生用足場板を運搬し、枠組み足場間に掛け渡す危険な作業であった。

このような場所での作業であるのに、被災者が墜落したときには安全帯のロープを首に廻した状態であったことから、他の墜落防止措置を講じていないにもかかわらず、安全帯を使用していなかったものと推定される。

2 作業計画・手順が不明確であったこと

当日の朝礼で、JVの所長から確実に安全帯を使用するようにとの注意があり、また、その後に行ったKYにおいては親綱を張って安全帯を使用することが話し合われたが、安全帯の使用以外の墜落防止措置、例えば防網の設置等を含む具体的な作業方法・手順の検討は行われなかった。

特に、午前の休憩の折に、職長と被災者が作業性を考えて親綱の移設を決めているが、それに伴う危険性の増大等についての検討とそれに対する措置の検討は行われなかった。

3 作業主任者がその職務を履行しなかったこと

職長は、足場の組立等作業主任者でもあったが、自らも足場板の布設等の作業に従事していたため、配下の作業者の安全帯の使用状況の監視等の職務を履行していなかった。

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 作業計画を明確に定め徹底すること

高所に作業床等を設置する作業においては、その作業過程において墜落危険あるいは作業床材料の落下危険が大きいので、作業方法・作業手順を含む安全な作業計画を作成し、関係作業者に徹底する。また、作業途中で、親綱の位置の変更等を行う場合には、それに伴う危険とその対策について検討する。

なお、墜落防止措置については、親綱と安全帯の使用に依存することなく、防網の設置等を含む計画を検討する。

2 高所作業における墜落防止措置を確実に実施すること

高さが2m以上の作業床の端、開口部等で墜落危険がある場合には、囲い、手すり、覆い等を設置する。(安衛則第519条関連)

なお、囲い等の設置が著しく困難なときには、防網を張り、労働者に安全帯を使用させる。

3 作業主任者の職務を励行すること

高さが5m以上の構造の足場の組立等作業主任者は、次の職務を確実に励行する。(安衛則第566条関連)

(1)材料の欠点の有無を点検し、不良品を取り除くこと

(2)器具、工具、安全帯及び保護帽の機能を点検し、不良品を取り除くこと

(3)作業の方法および労働者の配置を決定し、作業の進行状況を監視すること

(4)安全帯および保護帽の使用状況を監視すること

4 安全教育等の安全管理を実施すること

高所作業に従事する労働者については、あらかじめ墜落危険及びその防止対策について十分な教育を実施するとともに、慣れにより安全対策を省略することのないよう随時に追加の教育を実施する。

また、経営トップ等の管理者は、定期あるいは随時に作業場所を巡視し、安全措置の実施状況、作業計画の順守状況の確認と必要な指示を行う。

なお、JV(共同企業体)など特定元方事業者(統括安全衛生責任者等)は、墜落危険のある作業については口頭指示だけではなく、作業計画、具体的な墜落防止措置等について関係下請け事業者と検討するとともに、その実施状況を確認する。(安衛法第30条関連)

【業種】

鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.100806より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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高速道路のトンネル工事中に切羽から岩石が落下し下敷になる

   

【発生状況】

この災害は、高速道路のトンネル工事において発生したものである。

このトンネルは、全長が約3,200mのもので両側から掘削が行われており、被災者の所属する会社はJVの1次下請として東側からの掘削工事を請負っていた。

作業は、TBM工法(トンネルボーリングマシーン工法)で貫通した導坑を、上半先進ベンチカット工法により切り広げるものであった。

災害発生当日、被災者ら7名は、午後5時30分からの2番方として2次下請(11名)とともに総勢18名が現場に集合し、午後6時から現場事務所でKYK(危険予知活動)を行った後、坑口より約390m地点の切羽において上半掘削の作業に着手した。

作業の具体的な内容は、1番方が切羽の鏡面を含めた壁面のコンクリート1次吹き付けと支保工の建て込みまで行っていたので、コンクリートの2次吹き付け、ロックボルトの打設、削孔、発破、ずり出し、浮石除去、コンクリート吹き付け、支保工立て込みの順で行うことであった。

KYKの終了後、午後7時まで支保工部分への2次吹き付けを行い、引き続きホイールジャンボで午後8時まで同じ箇所へロックボルト施工を行った後、発破のための削孔(約20個)を行ったが、この作業は約20分で終了したので、削孔穴の掃除、装薬に取り掛かった。

この装薬が残り5個程度となったときに、切羽鏡面に向かって左側下部で装薬作業を行っていた被災者の上部約5mの所から肌落ちが生じ、被災者は落ちてきた岩(0.5m×0.5m×0.3m:推定質量180kg)が脚部にあたって転倒したところへ、さらに大きな岩(1.2m×1.2m×0.4m:推定質量1,440kg)が落下してきて背部にあたり下敷きになった。

その後、被災者は、近くで作業を行っていた同僚たちに救出されて病院に移送され、手術・入院となったが、意識が戻らないまま1週間後に肺挫傷等のため死亡した。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 肌落ちしやすい地質であったこと

災害が発生した切羽は、凝灰岩で風化が進んでおり、また、粘土が介在していることもあって、もともと肌落ちしやすい地質であった。

なお、当日の削孔作業に取り掛かる前に、鏡面の右側上部から小崩落があったことから、この部分の下部を削孔する際にはホイールジャンボの移動足場で作業員の頭上を防護する措置を講じていた

2 先番からの申し送り事項を確認して作業を行わなかったこと

先番からは、切羽全体の地山全体が不安定で肌落ちがあるため、中央下部の発破量を少なくして、切羽鏡面の下部を残し気味にして安定させるように等の申し送りがあったが、この申し送り内容について作業開始前に検討して、浮石の撤去等の安全な作業方法を定めてはいなかった。

3 切羽の事前の点検、監視が行われていなかったこと

この作業では、ずい道作業主任者が選任されていたが2台のホイールジャンボの間で材料等の片付け作業を行っており、また、監視人として指名されていた者も火薬係が兼務であったため、作業主任者と同様の場所で残薬等の片付け作業に従事していて、監視人としての職務を行っていなかった。

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 施工計画を明確に定め作業を行わせること

ずい道等の作業を行う場合には、あらかじめ落盤、出水等の状況を調査し、それに基づいた施工計画を定めて作業を行わせる。また、作業の途中において危険が予測されるときには、施工計画を変更した上で作業を行わせる。(安衛則第379、380、383条関連)

2 点検者を指名して落盤等の危険の有無を点検させること

点検者を指名して、ずい道内部の地山について、毎日(および中震以上の地震の後)、浮石および亀裂の有無および状態等を点検させる。(安衛則第382条関連)

3 落盤等による危険防止措置を確実に実施すること

落盤又は肌落ちにより危険が予測されるときには、ずい道支保工を設け、ロックボルトを施し、浮石を除去する等の措置を講ずることが必要であるが、特に肌落ちしやすい地質等作業現場の状況に応じて落石除去等の徹底を図る。(安衛則第384条関連)

また、元方事業者は、関係請負人が行うずい道の建設の作業については、落盤、肌落ちによる危険を防止するため、上記の措置を行った上で作業を行わせる。(安衛則第651条関連)

4 ずい道等掘削等作業主任者の職務の励行を行わせること

ずい道等掘削に際しては、ずい道等の掘削等作業主任者を選任するとともに、次の職務を確実に行わせる。(安衛則第383条の2,383条の3関連)

(1) 作業方法及び労働者の配置を決定し、作業を直接指揮すること

(2) 器具、工具、安全帯および保護帽の機能を点検し、不良品を取り除くこと

(3) 安全帯および保護帽の使用状況を監視すること

【業種】

トンネル建設工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.100808より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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