よくある質問

特別加入・保険料について

  • 一人親方として加入できますか?

    • 一人親方等の特別加入ができる人は、労働者を使用しないで事業を行うことを常態とする一人親方、その他の自営業者などで、次の事業を行う者に限り特別加入が認められています。
  • 労働保険事務に関して過去に経験があるので、事務量もそれほど多くないし手続は自分でできるのでしょうか?

    • 一人親方の特別加入の手続きはご自分で行うことができません。必ず一人親方の団体(特別加入団体)を通じて都道府県労働局長の承認を受けることとなっています。(労災保険法35条)
  • 住所氏名や業務内容に変更があった場合は何か手続が必要になるのでしょうか?

    • 管轄労働局に対して変更届を提出しなければなりませんので、まずは当団体にご連絡いただきますようお願いいたします。
  • 特別加入をする際に、貴団体に対してどの程度業務内容について説明が必要でしょうか?

    • 事故が起きた際の特別加入の補償の対象となる範囲については、加入申請書の「業務の内容」欄に記載された「業務または作業の具体的内容」が大変重要となります。複数の事業を行っている場合や、特別加入できない事業に従事している場合は保険給付の対象となりません。
      特別加入者として行う業務の具体的内容(除染作業の有無を含む)や特定業務(粉じん、振動工具、鉛、有機溶剤)に従事するような場合は従事期間や年月等について正しくお伝えいただきますようお願いいたします。
  • 私は国民健康保険に加入しており、特別加入をしていません。
    事故があった場合には何も保護は無いのでしょうか?

    • 自営業者等、国民健康保険に加入している一人親方の場合、特別加入をしていなければ、就業中の事故・疾病に対しては国民健康保険によって賄われます。
      ですが、この場合、労災保険とは異なり、窓口で自己負担分が発生いたします。

給付基礎日額について

  • 給付基礎日額とはどのようなものですか?

    • 一人親方の場合、その報酬が高額となるケースもあり、それに応じて各種補償を行うとなると政府としての負担も大きくなるため補償に上限を設けています。
      そのために用いられるのが「給付基礎日額」であり、各種給付の補償額を算定する上での基礎額となるものになります。この給付基礎日額は本人からの申請に基づいて、都道府県労働局長が決定をします。
      (労災保険法8条)
  • 給付基礎日額はどう決めたらいいのでしょうか?

    • 給付基礎日額は、3,500円~25,000円までの16段階に区分されています。
      具体的には、3,500円、4,000円、5,000円、6,000円、7,000円、8,000円、9,000円、10,000円、12,000円、14,000円、16,000円、18,000円、20,000円、22,000円、24,000円、25,000円に区分されていますが、年収相当から計算するなど実情(一日あたりの平均収入額等)に基づいて給付基礎日額を決定するよう求められています。
      また、年度末または年度更新の時期に給付基礎日額を変更することも可能です。
      (労災保険法施行規則46条の20)
      参考例)
      例えば給付基礎日額を20,000円で特別加入した一人親方が、20日間休業した場合の休業補償給付(特別支給金)は…
      20,000円×80%(20日-3日)=272,000円

保険給付について

  • どのような事故に対して補償がなされるのでしょうか?

    • 業務災害または通勤災害の場合に労災保険から給付されます。ただし、業務災害の場合は加入者ごとに一定の業務を行っていた場合に限られます。具体的には、
      • ①請負契約に直接必要な行為を行う場合
      • ②請負工事現場における作業およびこれに直接附帯する行為を行う場合
      • ③請負契約に基づくものであることが明らかな作業を自家内作業場において行う場合
      • ④請負工事に関する機械や製品を運搬する作業およびこれに直接附帯する行為を行う場合
      • ⑤突発事故(台風・火災等)により予定外に緊急の出勤を行う場合
      となります。
      通勤災害は、一般の労働者の方と同様に取り扱われます。
  • どういった補償(保険給付)があるのでしょうか?

    • 特別加入者が業務災害または通勤災害により被災した場合には、所定の保険給付が行われるとともに、これと併せて特別支給金が支給されます。
      療養補償給付、休業補償給付、障害補償給付、傷病補償年金、遺族補償給付、葬祭料、介護補償給付などです。
      各種支給金額や給付内容の詳細は下記をご参照ください。
      厚生労働省《HP》
      特別加入制度のしおり《PDF》
      ※P11より保険給付についての説明が記載されています。
  • 通勤災害とはどういった場合が対象となるのでしょうか?

    • 「通勤災害」とは、通勤により被った負傷、疾病、障害または死亡をいいます。
      この場合の「通勤」とは就業に関し、
      • ①住居と就業の場所との間の往復
      • ②就業の場所から他の就業の場所への移動
      • ③赴任先住居と帰省先住居との間の移動を、合理的な経路および方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くとされています。
      これらの移動の経路を逸脱・中断した場合は、その逸脱・中断の間およびその後の移動は通勤となりません。
      ただし、その逸脱・中断が、日常生活上必要な行為であって日用品の購入などやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合は、合理的な経路に戻った後の移動は「通勤」となります。
  • 給付が受けられないような場合もあるのでしょうか?

    • 特別加入者が業務災害または通勤災害を被った場合には保険給付が行われますが、その災害が特別加入者の故意または重大な過失によって発生した場合や保険料の滞納期間中に生じた場合には、支給制限(全部または一部)が行われることがあります。
  • 特別加入者の資格を喪失する場合とはどのような場合でしょうか?

      • ①一人親方の方が特別加入者としての要件を満たさなくなったときはその日に資格を喪失します。(事業内容の変更や従業員の雇用など)
      • ②一人親方の方が当団体の構成員でなくなったときもその日に資格を喪失します。
  • 一人親方の加入要件である「労働者を使用しないで事業を行うことを常態とする」もので「100日以上労働者を使用することが見込まれる場合」は加入できないと聞きましたが具体的にはどういう場合なのでしょうか?

    • 労働者を常時使用する場合になった場合には、一人親方としての要件を満たさず、一人親方の特別加入としての地位は消滅してしまいます。別途中小企業主として特別加入する方法がありますので当団体までご相談ください。
  • 業務中にケガを負いました。1か月ほど入院するのですが、事業主として年間の報酬を定めており入院期間中も報酬は支給される予定です。
    この場合、休業補償は対象外になるのでしょうか?

    • 休業補償給付については、特別加入者の場合、「所得喪失の有無にかかわらず」、療養のため補償の対象とされている範囲(業務遂行性が認められる範囲)の業務または作業について「全部労働不能」であることが必要となっています。ですので所得があっても受給要件を満たす場合は給付を受けることができます。
  • 保険給付が不支給となってしまった場合に何か救済策はあるのでしょうか?

    • 仮に特別加入者が被災し、給付申請した事故について労働基準監督署で不支給となった場合には、その理由を確認し、不服審査請求をすることも可能です。不服審査請求をしても、その判断が変わらない場合には、再審査請求や裁判ということになります。これまで労働基準監督署で不支給決定され、裁判所で不支給決定が取り消された事件はいくつもあります。ですが裁判は、事件ごとに事実認定などの判断が異なりますので、裁判になれば、必ず不支給決定が取り消されるわけではありません。

一人親方の税務知識について

  • 一人親方に税務調査はあるのですか?

    • 国税庁は「大工、左官、とび職等」の一人親方等個人事業主を対象に税務調査を実施しています。「大工、左官、とび職等」に対する実態調査の結果、労働者性が強く労働契約であると認められた場合は、本来の雇用主に対し過去5年に遡って源泉徴収が命じられる可能性があります。(悪質な場合は7年。所得増加分に追徴課税)他にも気をつけるべき点は多数ありますので適正な申告納税を行うようにしましょう。 所得区分の判断について(国税庁)《HP》
  • 特別加入の労災保険料は必要経費になるのでしょうか?

    • 建設業関係の仕事をしている個人事業主である一人親方の方の場合、一般的に所得税の確定申告をすることになりますが、この場合の特別加入の労災保険料は、社会保険料控除(所得控除)の対象であって、必要経費には算入することはできません。経理の経験等がある方ですと「労働保険料」は「法定福利費」といった経費科目で必要経費と判断しがちですが、国民年金や国民健康保険料等と同様に社会保険料控除(所得控除)の対象となります。 社会保険料控除について(国税庁)《HP》