建設業の労災事例

ブロック塀解体中に塀が倒れ下敷きになる

   

【発生状況】

この災害は、ブロック塀の解体作業中に発生したものである。

作業は、駐車場の周囲にコンクリートブロックを10段積んだ高さ約2mの塀のうち上の6段を撤去し、下の4段(約80cm)を残すものであった。

災害発生当日は、解体作業の初日で、現場に現場責任者と作業員2名、ガードマン1名が集まったところで現場責任者から全体的な説明があった後、南側のブロック塀からはつり作業を開始した。

はつり作業は、残す予定の下4段のブロック塀に亀裂が生じないように、当初はハンマー、電気チッパー等の手工具で人力で行うことを計画したが、力が弱いためリースしたエアコンプレッサー式はつり機でのはつり作業に変更した。

午前中に作業者AとBは、手分けして南側ブロック塀の下から4段目と5段目の間を5mづつ10mを横にはつり、昼食後、むき出しになった鉄筋をグラインダーで切断した。

次いで、2人はブロック塀の駐車場側で縦方向に3箇所のはつり作業を行った後、Aは駐車場側に残り、Bがブロック塀の反対側に回り、ブロック塀の縦のはつり箇所を裏からハンマーで叩いたところ、ブロック塀が約2mにわたり駐車場側に倒壊し、Aが下敷きとなった。

【原因】

この災害は、ブロック塀の解体作業中に発生したものであるが、その災害原因としては、次のようなことが考えられる。

1 危険な区域に立ち入っていたこと

ブロック塀が倒壊したのは、横方向の鉄筋を切断し、続いて縦方向のはつりをハンマーで行っているときであるが、このような状況ではハンマーの衝撃により倒壊が予測されたのに被災者は危険な区域に立ち入っていた。

2 作業計画を作成していなかったこと

この会社はブロック塀の解体作業は初めてであったが、あらかじめブロック塀の形状、配筋の状況、亀裂の有無、倒す方向について検討し、安全な作業手順等を盛り込んだ作業計画を作成していなかった。

3 安全教育等を実施していなかったこと

この会社は、同族的な構成で作業を進めていたこともあり、解体作業は初めて行う種類の作業であるにもかかわらず、特に安全に関する作業方法の関係作業者への周知も行われていなかった。

4 安全管理が行われていなかったこと

現場の安全責任者が指名されていなくて、作業指示も明確でなかった。

【対策】

同種災害を防止するためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 作業計画を定めて作業を指示すること

ブロック塀の解体のような比較的単純な作業についても、事前に形状、亀裂の有無、配筋の状況、周囲の状況、倒す方向等について十分検討のうえ安全な作業計画を作成し、関係作業者に周知徹底する。

なお、作業方法等を変更した場合には、あらためてその内容を徹底する。

2 作業の監視者を配置して作業を行うこと

同一のブロック塀の両側で同時に作業を行うことは避けるとともに、監視者を配置して安全の確認と危険な区域内に他の者が立ち入ることを防止する。

なお、現場責任者は、関係作業者に的確な指示を行うとともに、作業者の作業位置、内容を常に把握し、適切な指示を行う。

3 安全管理を十分に行うこと

建物、ブロック塀の解体作業に従事する者等に対しては、あらかじめ作業の伴う危険性とその防止対策について安全教育を行う。(安衛法第59条・安衛則第35条関連)

また、その日の作業開始前に、作業内容・作業手順等について十分な打合せを実施する。

 

【業種】

その他の建築工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

 

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.100635より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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溶接ラインの分電盤接続ケーブル付け替え作業中、線間短絡が発生して作業者が火傷死亡

   

【発生状況】

この災害は、自動車製造工場構内において、溶接ラインの分電盤に接続された負荷側ケーブルを付け替える作業中に発生したものである。

ケーブルの付け替え作業は、分電盤の電源側が通電状態で始められ、先ず、作業責任者が分電盤内のブレーカーがすべてOFFになっていることを確認し、作業員2名が扉を取り外し、負荷側のアクリルカバーを取り外し、作業員Aが検電器により負荷側の端子に通電されていないことを確認して始められた。

その後、作業責任者は元請との打ち合わせのため現場を離れ、作業員Bが必要部品を資材置き場に取りに行った。

一人残った作業員Aは、分電盤に接続されていた2本のケーブルを取り外し、アース端子に接続されているアース線を取り外した。そして、取り外したケーブルを分電盤背面に引き抜くため、分電盤内から揺すったところ、アース端子から外したアース線の先端がブレーカーの電源側ブスバーを覆っているアクリルカバーの隙間から入り込み、スパークが発生して電源側の線間が短絡してアークが発生し、この短絡アークにより、アクリルカバーが溶けて飛散し、作業員Aのズボンに付着して燃えて火傷を負い、2週間後に死亡したものである。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 分電盤内での作業が負荷側だけに限定された作業であったため、ブレーカーを開路することで危険性がないものと判断し、分電盤の電源側を通電状態としたまま分電盤内での作業を行っていたこと。

2 取り外したアース線が固定されていなかったため、ケーブルを揺すったときにアース線が振れ、その先端がブレーカーの電源側を覆っていたアクリルカバーの隙間から入り込み、線間短絡が発生したこと。

3 ブレーカー電源側に接続されたブスバーを覆うアクリルカバーの隙間が広すぎたため、アース線の先端が振れた際に容易に隙間から入ってしまったこと。また、覆いに熱に弱いアクリルカバーを使用していたこと。

4 下請業者として具体的な作業手順を作成しないまま、作業の安全性について事前の検討を行うことなく請負業者の作業責任者および作業員の経験による判断により作業が進められたこと。

5 単独作業が行われていたことにより、取り外したアース線が振れて危険な状態を引き起こす状況を見過ごしてしまったこと。

対策

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 分電盤内の露出する充電部分を覆うカバーは、導電性の物が入り込まないように隙間を可能な限り狭くする必要があること。なお、カバーに使用する材質は高温に耐える難燃性の物に替えることも検討する必要があること。

2 ケーブル付け替えなど分電盤内で作業行うときは、分電盤の電源側を開路して停電作業を原則とすること。

3 分電盤内など低圧活線近接作業を行うときは、絶縁覆いに隙間が生じないようにすること。

4 工事ごとに、作業方法、作業手順、監視人の配置などに関する作業手順を定め、作業指揮者の直接指揮により作業を行うこと。

5 活線近接作業を行うときは、単独作業を排除し、監視人を配置し、作業員および機材などが安全隔離距離に接近したとき、迅速かつ明瞭に作業を停止させること。

6 活線近接作業における感電、導電性の物による線間短絡などの危険性、およびその対策について安全衛生教育を繰り返し実施する必要があること。

7 元請は下請に対して、作業場所の巡視、作業手順の作成および安全教育の実施に関する技術的な指導援助を行うこと。

 

【業種】

電気通信工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

 

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.100701より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

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