建設業の労災事例

曲がった敷鉄板をアース・オーガーで踏みつけて直そうとしたところ、アース・オーガー本体が転倒

   

【労災発生状況】

本災害はビル建築工事現場において、曲がった敷鉄板上をアース・オーガーが前進したとき、同時にブームが起き上がり、アース・オーガー本体が後方に転倒したものである。

アース・オーガーで工事現場構内を移動中、敷鉄板の角をクローラで踏み、敷鉄板がめくれあがってしまった。このため運転者は、角が曲がった敷鉄板をアース・オーガーのクローラで踏みつけて直そうと、運転席のドアを開放し、身を乗り出して前後の位置を確認しながら、前進しようとした。走行レバーを操作した際、並んでいた主巻きレバーに触れたため、主巻きワイヤーがケリーバを巻き上げ、フロントフレームが押し上げられてブームが起き上がり、アース・オーガー本体が後方に転倒した。このとき、運転者は運転席から地上へ投げ出され、負傷した。

アース・オーガーは、元々あった過巻防止装置が取り外されたまま使用されていた。また、ブームの起こし過ぎによる後方への転倒を防止するための安全装置としてブーム起伏停止装置が取り付けられ、ブームが起こしすぎの限界角度に達したとき警報を発し、自動的にブームが停止するようになっていたが、災害発生時には故障していた。この故障は、毎日行われる作業開始前の点検でも見つかっていなかった。

なお、災害が発生したビル建築工事では、工事計画書および作業手順書は整備されていたが、敷鉄板が曲がってしまったとき等の異常発生時の措置や作業方法については盛り込まれておらず、安全衛生教育も不十分であった。

【原因】

この災害の原因として、次のようなことが考えられる。

1 過巻防止装置が取り外され、かつ、ブーム起伏停止装置が故障していたこと

過巻防止装置が取り外され、かつ、ブーム起伏停止装置が故障していたため、ブームが起伏角度限界を超えてしまった。そのため、アース・オーガー本体が転倒した。

2 アース・オーガーの運転者が無理な運転姿勢をとり、主巻きレバーに誤って触れてしまったこと

運転者は、走行レバーを操作した際、無理な運転姿勢をとったため並んでいた主巻きレバーに誤って触れてしまい、このためブームが後方に傾き、本体が転倒した。

3 アース・オーガーを本来の目的外で使用したこと

敷鉄板の曲がりを直す作業をどのように行うのか、事前の想定がなく、作業手順書でも触れられていなかったため、安易にアース・オーガーを目的外で使用した。

【対策】

同種災害を防止するためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 作業開始前に、ブーム起伏停止装置などの安全装置等の機能について点検を行い異常があれば修理等を行うこと

作業開始前の点検は、ブーム起伏停止装置などの安全装置を作動させて、確実に作動することを確認する。点検で異常が見つかった場合は、直ちに修理を行うか代替機材を使用する。

2 作業計画書や安全作業手順書を作成し、それに基づき安全衛生教育を徹底すること

敷鉄板の曲がりを直すような作業をアース・オーガーなどでは安易に行わず、安全な方法で行うこと。また、そのような作業をあらかじめ想定し、必要な対策を盛り込んだ作業手順書を整備し、関係者全員に教育し周知徹底させることが重要である。

3 運転者の安全運転に関する能力の向上に努めること

不安全な操作による建設機械災害を防止するために、危険予知活動への積極的な取り組みや実効ある教育訓練の実施に努める。特に、アース・オーガー等建設機械の運転者に対しては、運転操作に対する慣れなどから、危険に対する感覚が希薄になることがあるので、定期的に安全教育を実施し、誤操作の防止など安全運転について教育を繰り返すことも重要である。

【業種】

鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業

【被害者数】

休業者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101032より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

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軽トラックの荷台上で、建築廃材をコンテナに投げ込んでいたところ転倒し死亡

   

【労災発生状況】

発生状況

本災害は、ビル新築工事現場で、建築廃材の収集及び後片づけ作業中に発生した。

災害発生当日は、工事現場内の廃材の収集と現場の後片付け作業が元請から一次下請のZ社に依頼され、Z社の作業者Aと二次下請会社の作業者Bが、この作業を行うことになった。AとBは工事現場内の各所にある廃材を軽トラックで回収した後、集積場所まで移動した。AとBは、軽トラックの荷台に積載した廃材の上に乗って、軽トラック後方に置かれたコンテナパレットに廃材を投げ込み始めた。その作業中、Aが軽トラックの荷台の上で転倒し、被災したものである。

Aは、定められた服装を着用していたが、元請から着用するよう指示されていた保護帽は着用していなかった。また、Aの安全靴の靴底は磨り減っていて、溝が浅くなっていた。

なお、災害が起きた建築廃材の収集及び後片づけ作業は臨時に行われたもので、作業手順は定められていなかった。

【原因】

この災害の原因として、次のようなことが考えられる。

1 建築廃材の収集及び後片づけ作業の作業手順書が整備されていなかったこと

作業者が上に乗っていた廃材は、不安定で荷崩れする可能性があり、その上で作業をするのは危険な状態であったにもかかわらず、作業手順が定められていなかった。

2 作業者の安全靴の底が擦り減っていて、すべり易い状況であったこと

3 作業者が保護帽を着用していなかったこと

工事現場の構内では、保護帽を着用することになっていたが、作業者に徹底されていなかった。

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 安全な作業手順書を定め、これを各作業者に徹底して手順どおりの作業を行わせること

特に、不安定な物には、乗らないような作業手順とし、作業者にも足元が不安定な場所での作業を行わせないようにする。また、作業手順書は、作業者に繰り返し教育しておくことも重要である。

2 安全靴は定期的に点検し、靴底に溝があり、滑りにくいものを着用させること

作業者の安全靴は、定期的に点検し、靴底の溝が浅くなっているものは交換するようにすることが必要である。

3 保護帽の着用について作業者に徹底すること

現場の作業者には、保護帽の着用など、作業に適した服装についての繰り返し教育をするとともに、作業中は作業者が保護帽を確実に使用していることを現場の責任者が確認することが必要である。

【業種】

その他の建築工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101033より一部抜粋

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
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