建設業の労災事例

店舗のシャッターを修理中、はさまれて死亡

   

【労災概要】

この災害は、店舗の電動シャッターを修理中に、シャッターが突然降下し、作業者がはさまれたものである。

衣料品の小売店から「シャッターが下りなくなった」との修理依頼を受けたZ社では、翌日、社長AがB~Dの3人の作業者とともに現場に向かった。

現場に着いたAは、B~Dにシャッターに荷重をかけてシャッターを下ろすように指示し、作業を見守っていたが、シャッターは下りなかった。そこで、シャッターが下りない原因を調べるため、BとCはトラックの荷台に乗り、シャッター上部の点検口を開けて手動に切り替え、Dはシャッターの下部を調べていた。このとき、AはDにシャッターの下には行かないようにと注意をし、現場を離れた。

その後、Dがシャッターの下のレールに木の棒が噛み込んでいるのを見つけ、これを取り除いたところ、シャッターが自重(約400kg)で降下し、Dが床とシャッターとの間にはさまれた。Dは病院に搬送されたが、間もなく死亡した。

作業を開始するに当たり、Aはシャッターの状況を確認することなくB~Dに指示しており、作業計画書も作成していなかった。また、B~Dはいずれもシャッターの構造については詳しくなかった。

【原因】

この災害の原因として、次のようなことが考えられる。

1 シャッターの降下防止措置をしないまま、手動に切り替えたこと

シャッターの点検・修理作業を始めるに当たり、シャッターが自重で降下するおそれがあったにもかかわらず、これを防止する措置を講じないまま、手動に切り替えた。

2 シャッターの下への立ち入りを禁止しなかったこと

Aは、Dがシャッターの下に立ち入っているのをいったんは注意したが、立ち入り禁止の措置をしないまま、現場を離れた。

3 現場の確認をせず、また作業計画を作成しないまま作業を始めたこと

現場に到着したAは、故障の状況や周囲の状況を確認しないまま、また作業計画も作成せずに、B~Dにシャッターを下ろすよう作業指示した。

【対策】

同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 降下のおそれがあるシャッターの下での作業では、降下防止措置を講じること

作業を始めるに当たって、作業個所をよく点検し、降下によりはさまれるおそれがある場合には、必要な降下防止措置を講じた上で作業を開始する。

2 降下のおそれがあるシャッターの下への立ち入りを禁止すること

降下により被災するおそれがあるシャッターの下へは、立ち入らなくても作業ができるように作業方法を工夫する。また、職長等、管理者・監督者を指名し、その者が作業中、危険な行動がないことを監視することも重要である。

3 現場の状況をよく確認し、作業計画を作成すること

故障の状況、周囲の状況等の現場の状況をあらかじめ確認した上で、具体的な作業計画を作成し、予想される危険に対して具体的な方策を定め、これを作業者に教育しておく。また、作業内容に応じて十分な知識や経験を持つ者を配置することも重要である。

【業種】

木造家屋建築工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

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ケーブルクレーンの架線作業中、斜面を転落し死亡

   

【労災概要】

この災害は、砂防えん堤工事において、ケーブルクレーンの巻上げ索を盛り替える作業中に発生したものである。

災害発生当日、作業者A、B、Cの3名が現場に入り、ケーブルクレーンのワイヤロープ(巻上げ索と作業索)の点検、滑車の交換等の作業を行っていた。

一連の作業が終了した後、Aは作業道にある立木近くのワイヤロープの通り具合を確認したところ、立木の位置より谷側(斜面側)にワイヤロープを盛り替え(移動すること)た方がよいと判断した。そこで、Aはワイヤロープを盛り替えやすくするため、チェーンソーで立木の上部(1.7mの高さの位置)を切断し、作業索(直径6mm)を立木の谷側に盛り替えた後、巻上げ索(直径10mm)を持ち上げて谷側に移動させようとしたが、重さと張力のため立木の最上部をこえることができなかった。このためAは、Bと一緒になって巻上げ索を持ち上げ谷側に盛り替えたが、ワイヤロープを地面に下した勢いで体のバランスを崩し、作業道の路肩部分から植生された法面(のりめん)をおよそ80m転落し被災した。

Aは、保護帽は着用していたが転落の際に脱げ落ちており、安全帯は着用していなかった。

なお、当該作業では、作業指揮者が作業の指揮をとっていなかったことに加え、ケーブルクレーンの組立、解体等に関する作業手順書を作成しておらず、安全な作業方法について作業者に教育していなかった。

【原因】

この災害の原因として、次のようなことが考えられる。

1 ケーブルクレーンの架線に関する事前の作業計画が適切でなかったこと

ケーブルクレーンの架線を行う際、事前に立木の位置等を考慮して無理のない位置に架線しておけばワイヤロープを盛り替える必要がなかった。

2 転落防止等の措置を講じていなかったこと

当該作業は山肌の作業道の平坦部とはいえ、作業道の路肩部ぎりぎりのところで無理な姿勢をとりながら行ったため、体のバランスを崩したものであり、しかも勾配が約40度~50度ある斜面へと続く路肩部でありながら作業者に安全帯を着用させる等の措置を講じていなかった。

3 作業指揮者が作業の指揮をとっていなかったこと

ケーブルクレーンの架線作業では、作業指揮者の指揮の下に作業を行う必要があるが、作業指揮者の選任は行われていなかった。

4 作業手順書の作成及び作業者への教育を行っていなかったこと

ケーブルクレーンの組立・解体等に関する作業手順書の作成や作業者への教育を行っていなかった。

【業種】

砂防工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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