建設業の労災事例

農業用水管の敷設替え作業中、掘削溝の法(のり)面が崩壊した

   

【労災概要】

この災害は、道路舗装工事に伴う農業用水管の敷設替え作業を行っているときに発生したものである。

災害発生当日、工事現場には7人の作業者が集まり、午前8時より朝礼を行った後、溝の堀削、既設の用水管及びヒューム管の撤去、新しい用水管と防護管の敷設、堀削溝の埋戻しの各作業を順次行った。午後も午前中と同様な手順で作業を進め、新しい用水管と防護管の敷設を行っていた。

午後の作業を始めて1時間半ほど経過し、作業者AとBの2名が堀削構(深さ約1.7m)内で防護管の敷設作業をしていたとき、堀削溝の片側の地表に亀裂(幅0.6~0.8m、長さ3m)が発生したことに気づいた職長Cとドラグ・ショベル運転者DがAとBに逃げるよう叫んだ。その直後、堀削溝脇の地表部分が亀裂に沿って崩落し、AとBは掘削溝に流れ込んだ約2.5m3の土砂により生埋めとなり死亡したものである。

この工事現場では、過去の道路工事や管敷設工事で掘削と埋戻しが繰り返し行われていた。周辺の土質は水を通しにくい粘土質であり、既設の水管からの漏水や地山からの湧水等により粘土質の層と埋め戻した部分との境目に亀裂を生じやすくなっていたが、工事を請け負った元請では、掘削個所周辺の漏水や湧水等の状況、過去の工事による埋め戻しの状況について、事前に確認をしていなかった。そのため、現場に適した土止め支保工等が設置されないまま掘削溝内での作業が行われた。

また、元請や下請では、この工事の工事計画書や作業手順書を作成しておらず、作業者に対し、掘削作業や掘削構内での作業における危険性等に関する安全衛生教育を行っていなかった。

【原因】

この災害の原因として、次のようなことが考えられる。

1 堀削個所の亀裂の状況、湧水等の状況などの点検、確認をしていなかったこと

2 堀削溝周辺は崩壊しやすい状況にあったにもかかわらず、適切な土砂崩壊防止措置を講じずに掘削構内で作業を行わせたこと

3 地山の堀削、溝内作業等について、工事計画書や作業手順書を作成していなかったこと

4 作業者に対し、掘削作業や掘削構内での作業における危険性等に関する安全衛生教育を行っていなかったこと

【対策】

同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 地山の堀削作業を行う場合は、あらかじめ作業個所および周辺の地山の地質、地層の状況、亀裂、湧水、漏水等の状況を点検し、安全な作業方法や手順を確認しておくこと

2 崩壊のおそれのある堀削した溝内での作業は、あらかじめ土止め先行工法を採用するか、土止め支保工を設置した後で行わせること

3 地山の堀削作業及び堀削溝内での作業は、あらかじめ工事計画書を作成し、作業手順書に従って作業させること

4 現場の責任者及び作業者に対し、掘削作業や掘削構内での作業における危険性および安全な作業方法、手順等についての安全衛生教育を実施し、安全に対する意識の向上と安全衛生管理の徹底を図ること

5 元請の現場管理者は、関係請負人の現場監督者に対し、作業個所の土砂崩壊防止措置に関する適切な技術上の指示、指導が行われるよう管理監督者教育を実施し、現場の安全衛生管理を徹底することも必要である

【業種】

道路建設工事業

【被害者数】

死亡者数:2人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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切り株の除去作業中、携帯用丸のこ盤で切創を負い死亡

   

【労災概要】

この災害は、プレハブ倉庫新設工事において、敷地を整備するために敷地内の立ち木を伐採する作業を行っている際に発生した。

作業者Aが所属するZ社は、この工事の2次下請として、倉庫を新設する敷地内の2本の立ち木(いずれも直径約70cm)の伐採と伐採後の敷地の整地の作業を請け負った。

Z社は災害発生の前日までに、2本の立ち木を伐倒したが、整地のためには切り株を取り除く必要があり、ドラグ・ショベルを用いて地上に引っ張り出そうとしたが、根が地中深く張っていたため不可能ということが分かり、1次下請のY社と打合せを行った結果、切り株を地面の高さ以下まで削った後、その周囲を埋め戻す作業に変更した。

災害発生当日、Aは、同僚の作業者Bと2人で切り株を削る作業に従事した。この切り株を削る作業は、元々予定されていなかったことから、Z社は必要な道具類を現場に持ち込んでおらず、AとBは、Y社が現場に持ち込んでいた携帯用丸のこ盤、電動ドリルおよびなたを借りて、作業に当たった。

午前の作業を終了し、昼の休憩の後、取りかかった午後の作業では、Aは携帯用丸のこ盤を使用し、Bはなたを使用して、互いに背を向ける格好で作業していた。しばらくして、Bは、Aの悲鳴を聞き振り返ったところ、Aは切創を負い、出血していた。Aは、直ちに病院に搬送されたが、約2時間後に死亡した。

災害発生の前日のY社とZ社の打合せでは、切り株を削ることは確認したが、具体的な作業方法は検討していなかった

また、切り株があった地面は、傾斜しており、切り株の北側と南側とでは約40cmの高低差があり、AおよびBは、不安定な作業姿勢を強いられていた。

さらに、Z社では作業者に安全衛生教育を実施しておらず、AおよびBは携帯用丸のこ盤の安全な使用方法についての知識が乏しかった。

【原因】

この災害の原因として、次のことが考えられる。

1 斜面の切り株を取り除くために、安全な作業方法等を検討せず、携帯用丸のこ盤を用いるという無理のある作業方法を採用したこと

2 立ち木を代採する作業や携帯用丸のこ盤の使用について、作業者に安全衛生教育を行っていなかったこと

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 携帯用丸のこ盤を用いて斜面の切り株を取り除くこと自体無理な作業であるので、他の機械や工具を用いた安全な作業方法を検討すること

2 立ち木を代採する作業や携帯用丸のこ盤の構造、安全な使用方法等について安全衛生教育を行うこと

作業者に対し、安全衛生教育を行い、携帯用丸のこ盤の構造、安全な使用方法等について周知させるとともに、危険な使用を行なわないよう徹底させる。

【業種】

その他の建築工事

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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