建設業の労災事例

石油タンクの解体中に火災

   

【労災発生状況】

この災害は、油槽所の廃止された石油タンクの解体作業で発生したものである。

災害発生当日は、8000kLの石油タンクの解体を、ドラグ・ショベルにカッターのアタッチメントを取り付けた機械で、石油タンクの側板を上部から底部まで縦方向に切断する方法で行っていた。

午後3時頃、この方法で石油タンクの上部の切断を行っていたところ、突然、石油タンクが燃え上がった。油槽所の所長は、一帯の共同防災センターの消防隊に出動を依頼するとともに、消防署に通報した。その後、消防車が到着して放水した結果、約1時間後に火災は鎮火した。なお、この火災による人的被害はなかった。

火災が発生した石油タンクは、上面が浮き蓋(フローチングルーフ)になっており、浮き蓋の直径は側板の内径より約40cm小さく、浮き蓋と側板との間にはウレタンフォームが内蔵されたゴム製の袋を充填していた。火災は、側板を切断する際に生じた火花が側板の内側に落下し、浮き蓋と側板との間に充填されたゴム製の袋を通し、ウレタンフォームに着火して起きたものである。なお、タンク内の石油は1ヶ月前に抜き取られていた。

石油タンクの解体工事を受注した元請および当日の作業を指揮していた一次下請業者は、タンク内にウレタンフォームが残っていることは知っていたが、ウレタンフォームが容易に着火することの認識がなく、側板の切断時に発生する火花による火災の発生防止を盛り込んだ作業計画書を作成していなかった。

【原因】

この火災の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 ウレタンフォームが内蔵されたゴム製の袋を除去することなく解体作業に着手したこと

元請および一次下請業者は、ウレタンフォームが可燃物であり容易に着火するものであるとの認識がなく、これを除去しないまま解体作業を行ったため、発生した火花によりウレタンフォームが着火し、火災となった。

2 火災の発生防止等を盛り込んだ作業計画書を作成していなかったこと

元請および一次下請業者は、側板の切断時に発生する火花により石油タンクの内部や周辺の可燃物が着火することを想定し、火災を防止するため予め可燃物を除去する等の措置を盛り込んだ作業計画書を作成していなかった。

【対策】

同種事故の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 燃焼するおそれのある可燃物を除去した後で切断作業を行うこと

今回の事例のように燃焼するおそれのあるウレタンフォーム等の可燃物がタンク内の構成材料として使用されている場合には、発注者と解体作業を請負った会社で情報交換を行い、可燃物を撤去した後、解体作業に着手するようにする。

2 解体対象物の材料や構造を検討し、安全な作業を行うための作業計画を作成すること

石油等の危険物を貯蔵していたタンクの解体作業を行うときには、タンク内に貯蔵していた危険物のガス、蒸気等の残存がないかを確認することはもちろんのこと、タンクおよび付属の断熱材等を構成する物について、その危険有害性をあらかじめ検討してタンクの解体方法等を決定し、作業計画書を作成する。

また、作業計画は予め関係労働者に対し周知徹底しておくことが重要である。

【業種】

その他

【被害者数】

人的被害なし

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101078より一部抜粋

また、他万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

 

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旋回したドラグ・ショベルと地山との間にはさまれ死亡

   

【労災発生状況】

この災害は、擁壁造成工事現場において、ドラグ・ショベルを使用して鉄板を敷く作業中に発生した。

災害発生当日、ダンプトラックが工事現場に乗り入れるための仮設道路に、鉄板を敷く作業をドラグ・ショベルのバケットに取り付けられたフックを利用してドラグ・ショベルをクレーンとして使用し行った。作業は、鉄板の仮置き場所から、鉄板をドラグ・ショベルのフックに玉掛けしてつり上げ、ドラグ・ショベルを移動させることなく、そのまま機体を旋回して所定の場所に敷く方法で行われた。

作業者Aは、鉄板の仮置き場での玉掛けと所定の場所へ敷くときの玉外しを担当していた。Aが、2枚目の鉄板を玉外しして設置した後、ドラグ・ショベルの運転者Bは、機体を左旋回させ鉄板の仮置き場を向いた。しばらくの間、Aが来るのを待っていたが、なかなか現れないので、Bは機体を右旋回させて鉄板を敷く方向を向き、運転席から下りて周囲を見回したところ、Aが機体の右後方で倒れているのを発見した。Aは、病院に運ばれたが、死亡した。AはBがドラグ・ショベルを左旋回したとき、機体のカウンターウエイトと地山の間にはさまれたものであった。

災害発生当時、ドラグ・ショベルの周囲には合図者は配置されていなかったが、BはAが機体の旋回範囲から離れていると思い込み、周囲を確認しないまま、機体を旋回させた。

なお、Bは、車両系建設機械の運転資格(技能講習修了)は持っていたが、移動式クレーンの運転資格は持っていなかった。また、Aは、玉掛け作業の資格を持っていなかった。

【原因】

この災害の原因として、次のようなことが考えられる。

1 誘導者を配置せずにドラグ・ショベルの可動範囲内に作業者を立ち入らせたこと

誘導者を配置していないにもかかわらず、ドラグ・ショベルの可動範囲内に作業者を立ち入らせた。このため運転者のAが鉄板の仮置き場を向こうと機体を左旋回したとき、機体のすぐ近くにいたB機体のカウンターウエイトと地山の間にはさまれた。

2 ドラグ・ショベルをクレーンとして使用するために必要な資格を有する作業者が配置されていなかったこと

つり上げ機能付きドラグ・ショベルを使用したクレーン作業であるにもかかわらず、作業者が移動式クレーン運転や玉掛け作業の資格を持っていなかったため、災害の発生につながった。

【対策】

同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 誘導者を配置することなく、ドラグ・ショベルの可動範囲内に作業者を立ち入らせないこと

ドラグ・ショベルの可動範囲内に作業者が立ち入る必要がある場合は、誘導者を配置し、当該合図者にドラグ・ショベルの移動や旋回を誘導させることが必要である。

2 ドラグ・ショベルをクレーンとして使用する場合は、必要な資格を有する作業者に作業を行わせること

ドラグ・ショベルをクレーンとして使用する場合は、運転者にはドラグ・ショベルのみならず移動式クレーンの運転資格が必要であり、また、玉掛け作業者も所定の資格が必要である。なお、これらについては、工事計画においても明確に定めておく。

【業種】

土地整理土木工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101082より一部抜粋

 

また、他万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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