建設業の労災事例

路上設置型変圧器の取替え工事中に感電し、死亡

   

【労災概要】

この災害は、交通事故で損壊した路上設置型の変圧器(1次側6,600V、2次側210/105V)およびケーブル(3相の電線を1本に被覆したもの)を新しいものと取り替える工事において発生したものである。

災害発生当日、作業者Aは、班長Bおよび警備員と3名で現場に赴いた。前日までに損壊した変圧器本体の交換および変圧器の1次側コネクタと電力供給ケーブルの接続は終了しており、当日の午前中に、変圧器の2次側ケーブル2本のうち1本の接続を終了した。当日中には全ての作業が終了して通電が開始できる見通しとなったので、Bは電力会社の担当者Cに連絡をとり、午後の作業はCの立会いのもと午後1時半頃に始められた。作業は残りの2次側ケーブル1本の接続で、Bが午前中と同様に変圧器の1次側開閉器を開(切)にして、Aが変圧器の2次側ケーブルの接続を行った。30分ほどで作業が終わったので、AとBは休憩に入り、Cは帰社した。

その後、Bは、変圧器の1次側開閉器を閉(入)にして、変圧器から2次側ケーブルでつながれた低圧分岐箱の電圧を測定したところ、所定の電圧となっていなかったので原因を調査した結果、変圧器の1次側コネクタと電力供給ケーブルの相が違っていることが分かった。

そこで、電力供給ケーブルを接続し直すことにしたBは、Aに電力供給ケーブルをコネクタからはずす作業を指示した。Aがベルトレンチで1相目をはずし、続いて2相目をはずそうとしたとき、先にはずした1相目の電線に接触して感電した。Aは、病院に搬送されたが既に死亡していた。

災害発生当時、Bは変圧器の1次側開閉器を開にしていたが、この状態では電力供給ケーブルは活線のままであった。Aは、2次側ケーブルの接続作業では、高電圧用の絶縁用ゴム手袋を使用していたが、休憩時に手袋を外し、午後はそのまま電力供給ケーブルの接続し直し作業をしていた。また、Bは、Aが絶縁用ゴム手袋を外したまま作業するのを目撃していたが、停電作業であると勘違いしていたため、注意しなかった。

なお、Bは当日、現場に検電器を持ち込み、2次側ケーブルの接続作業では作業前に検電を実施していたが、電力供給ケーブルの接続し直し作業の前には、検電をしていなかった。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 活線のケーブルを接続し直そうとしたこと

BがAに電力供給ケーブルの接続し直しを指示したとき、当該ケーブルは活線の状態であった。また、Bは開閉器の操作により停電作業になったと勘違いし、作業前の検電をしなかった。そのため、Aは電力供給ケーブルの接続し直し作業中に、はずした電線の充電部に触れて感電した。

2 絶縁用保護具を使用していなかったこと

Aは、午前中の2次側ケーブルの接続作業時には高電圧用の絶縁用ゴム手袋を使用していたが、休憩時に外し、午後はそのまま電力供給ケーブルの接続し直し作業を行った。また、Bは、Aが絶縁用ゴム手袋を使用せずに作業するのを目撃していたが、停電作業であると勘違いしていたため、注意しなかった。

3 電力供給ケーブルの接続作業後に接続結果を確認しなかったこと

この災害は、予定していたすべての作業を終了し、変圧器に通電を開始した後に発見された異常を解消する作業中に発生したが、前日までの作業の実施結果をその都度、確認していなかったために発生した。また、工事の発注者であり通電確認をした電力会社のCが各ケーブルの接続確認を行わなかったことも原因のひとつである。

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 作業前の停電への切り替えは確実に行うこと

ケーブルの接続作業等においては、現場の責任者が回路図等をよく確認し、作業を行うケーブルおよびコネクタの停電を確実に行う。また、作業前に検電を行い、作業を行うケーブルおよびコネクタが停電状態であることを確認することも重要である。

2 絶縁用保護具を必ず使用させること

高圧電路の作業等については停電状態で行うことが望ましいが、やむを得ず活線作業または活線近接作業を行うときは、作業者に絶縁用保護具を使用させる必要がある。また、停電作業を行う場合であっても、作業中に誤って開閉器が開くにされることもあるので、作業者には必ず絶縁用保護具を使用させること。

3 作業の終了の都度、結果の確認を行うこと

変圧器の取替え作業、ケーブルの接続作業等は、作業終了の都度、計画どおりに実施されていることを必ず確認する。とくに、ケーブルの接続は、相を間違えていないことを配線や端子の色等で確認する。

また、発注者である電力会社は、工事終了時に工事業者とともに作業の結果について確認のうえ、通電の手続きをとることも重要である。

【業種】

機械器具設置工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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天井裏の点検中、照明器具のプラグで感電し、死亡

   

【労災概要】

この災害は、食料品製造工場の天井断熱材の張替え工事で発生したものである。

災害発生当日、内装工事、建築板金を営むZ社の作業者Aは、班長Bとともに、天井断熱材の張替え工事を受注した食料品製造工場で朝から作業を開始した。当日の作業は、工場の2階天井裏の断熱材を張り替えた後の点検であった。

AおよびBは、天井裏で照明器具(100V、90Wの白熱灯)を使用するため、2階の壁にあるコンセントにドラム式延長コード(長さ30m)のプラグを差し込んだ後、延長コードのドラムと照明器具を1台ずつ持って天井裏へ上った。

天井裏で、2人は、ドラム式延長コードのコンセントに照明器具のプラグを差し込んで、断熱材の張替え作業の際に天井裏に置いた足場板(幅9cm)の上から断熱材の固定状況等を確認していたが、途中でコードの長さが足りなくなったので、新たに延長コード(長さ10m)を4本持ち込み、順次コードを接続して点検作業を行った。

午後3時頃、点検作業が終了したので延長コードの片付けを始めたが、その手順は照明器具のプラグを抜いた後、末端の延長コードのプラグを抜き、その後、照明器具のプラグをコンセントに差し込んで再び照明を確保して、抜いた延長コードを束ねながら後退するという手順で行っていた。この手順で2本の延長コードを束ね、3本目の延長コードを抜いたところに、Aが照明器具のプラグを差し込んだとき、火花が飛びAが倒れた。Aは病院に移送されたが死亡した。

Aがプラグを差し込んだコンセントのボディは、一部が破損していて内部の充電部が露出していた。Aは暗がりの中、手探りでプラグを差し込もうとしてコンセントの露出していた充電部に触れ、感電したものであった。

断熱材の張替え作業中では、天井裏に電源コードを仮設して照明や電動工具の電源を確保していたが、張替え作業修了とともにすべて撤去する工事計画書になっており、点検作業が行われた当日は、天井裏に照明設備はない状況であった。

また、AおよびBは当日、現場に持ち込んだ延長コードや照明器具を作業前に点検しておらず、Z社では工事作業中の感電災害防止について、作業者に教育を実施していなかったため、作業中の感電の危険性についての作業者の認識が欠けていた。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 延長コードのボディが破損していたこと

延長コードのボディが破損していて充電部が露出していたため、Aが暗がりの中、手探りでプラグを差し込もうとして充電部に触れ、感電した。災害発生当日は、作業前に持ち込んだ照明器具および延長コードを点検していなかった。

2 天井断熱材の張替え工事全体の工事計画書が不十分であったこと

天井裏の照明は、断熱材の張替え作業中には確保されるようになっていたが、点検作業時には照明が撤去されている計画となっていた。そのため、AおよびBは照明器具および延長コードを天井裏に持ち込み、また、延長コードの継ぎ足し時や片付け時には一時、照明がない状態で作業しなければならなかった。

3 作業者に対し、感電防止についての教育を実施していなかったこと

低圧電路であっても、設備の状況や作業方法によって感電する危険性があることを作業者に対し教育していなかった。そのため、作業者に作業中に感電するという認識はなかった。

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 現場に持ち込んだ電気器具類の点検を作業前に行うこと

工事の際、現場に持ち込む電気器具や延長コードは、作業前に点検を行い、損傷がないことを確認する。万が一、損傷が見つかったときは、修理又は交替が済むまで作業では使用しないように区別する。

2 工事期間全体を考慮した工事計画書を作成すること

現場で作業が行われる間は常に照明が確保されるよう、準備作業や点検作業を含めた工事期間全体を考慮した工事計画書を作成する。

なお、出張作業において電源が確保されていない場所で作業を行う場合には、臨時の電源の確保について施設の所有者と工事着工前に十分な打ち合わせを行うようにする。

3 作業者に対し、感電防止についての教育を実施すること

低圧電路であっても周辺の状況によって充電部に接触した場合には感電死することがあるので、作業者に対して、その知識の有無を確認するとともに必要な教育を行う。

【業種】

その他の建築工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

 

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

 

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