建設業の労災事例

林道の法面のコンクリート吹付け作業中、墜落し死亡

   

【労災概要】

この災害は、林道改良工事において、林道脇の高さ約9m(勾配約90度)の法面(のり面)でコンクリート吹付け作業を行っているときに発生したものである。

災害発生当日、2次下請の作業者Aは、吹付け作業を行うため、保護帽および安全帯を着用し、安全帯のロリップを法面の上から垂らした親綱(直径8mm、長さ20m)に取り付けた。さらに、吹付け用ホースに巻き付けたロープの端を安全帯に結び、法面の最上部まで登った後、ロリップ下の親綱に結び目を作って安全帯のフックを掛け、ロリップを外した。その後、Aは、吹付け用ホースを引き上げて、法面へのコンクリート吹付け作業を始めた。

Aが吹付け作業を始めて数分たったとき、親綱から安全帯のフックが外れて、Aは林道の路面に墜落した。Aは、病院に搬送されたが、死亡した。

Aが安全帯のフックを親綱にかけた際、フックの外れ止めは親綱を挟んだ状態で、完全にかかっていなかったため、フックに体重をかけて吹付け作業をするうちに、フックが親綱から外れたものであった。

なお、この工事現場では、勾配の急な法面での吹付け作業があったにもかかわらず、作業者に対して墜落防止措置等についての十分な安全衛生教育等を実施していなかった。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 ロリップを外したことおよび安全帯のフックが親綱から外れたこと

Aは、親綱に安全帯のフックを掛けたものの、フックの外れ止めが親綱を挟んだ状態で完全にかかっていなかったため、フックが親綱から外れた。さらに、このときロリップを外していたため、墜落した。

2 作業者に対し安全衛生教育を実施していなかったこと

勾配の急な法面での作業で、墜落する危険が大きい作業であるにもかかわらず、安全帯の取扱いや安全な作業方法等について十分な安全衛生教育を行っていなかった。

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 高所においてはロリップを外させないようにするとともに、安全帯のフックを確実にかけさせること
高所においてロリップを外さないことおよび親綱への安全帯のフックのかけ方、フックの外れ止めが適正な状態になっていることの確認方法等について、作業者に教育を行うとともに、実際の作業での確認を徹底する。また、近くにいる作業指揮者や共同作業者と声をかけ合い、確認し合うことも重要である。2 作業者に対し安全衛生教育を実施すること
勾配が急な法面での親綱への安全帯のフックのかけ方、吹付け用ホースの取扱い方等について、技能面での訓練はもとより、安全帯の取扱いや安全な作業方法等について安全衛生教育を作業者に対して行う。

【業種】

道路建設工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

 

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

本日も無事故で一日を終えられますように。

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農業用排水路の改修工事で、排水路内を不整地運搬車で走行中に橋に激突

      2023/03/17

【労災概要】

この災害は、既設の農業用排水路をコンクリート製に改修する工事で、掘削した土砂を不整地運搬車で運搬する作業中に発生したものである。

災害発生当日は、排水路の底にたまった土砂の掘削、搬出作業の初日であった。作業内容は、土砂を掘削する排水路の中に小型のドラグ・ショベル1台および不整地運搬車(最大積載量0.9t)1台を入れ、ドラグ・ショベルで掘削した土砂を不整地運搬車で運搬して排水路内の1箇所に集積し、これをドラグ・ショベルで排水路の横に配置したダンプトラックに積み込み、土捨場に運搬するというものであった。

当日は、工事を請け負ったZ社の現場代理人Aと作業者B~Dが朝礼で作業方法と役割分担を確認した後、作業を始めた。役割分担は、Bが不整地運搬車を、Cがドラグ・ショベルを、Dがダンプトラックを運転するというものであった。Aは作業が始まると同時に現場を離れた。

午後5時頃、辺りが暗くなってきたため、この日の作業を終えることになり、Bは最後の土砂を運搬するため不整地運搬車をバックで運転していたところ、土砂の集積場所を通り過ぎ、排水路に架けられていたコンクリート製の橋に激突した。

不整地運搬車が集積場所を通り過ぎたことに気づいたCとDが駆け寄ってみると、Bは橋と荷台の握り棒の間にはさまれており、直ちに病院に搬送されたが、死亡した。

Bは、車両系建設機械の運転資格はあったが、不整地運搬車の運転資格はなかった。Z社では、作業者の資格の確認は行っていたが、通常、不整地運搬車を使用する工事を行っていなかったため、不整地運搬車の運転資格は確認していなかった。

この工事については、工事計画書の作成や安全な作業方法の検討は行われておらず、作業方法や役割分担が、当日の朝、Aから作業者に口頭で指示されただけであった。

【原因】

この災害の原因としては、次のことが考えられる。

1 工事計画の作成や安全な作業方法の検討を行わなかったこと

2 資格がない作業者に不整地運搬車を運転させたこと

3 現場代理人が作業の監視を行っていなかったこと

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 安全な作業方法を検討した上で作業計画を定めて作業を行うこと

工事を行う前に予想される危険や安全な作業方法を検討した上で工事計画書を作成し、その内容を関係作業者に徹底する。激突するおそれのある構造物がある場合は、土砂の集積場所を離すか柵を設置する等の対策を行った上で工事を始める。

2 工事で使用する建設機械や荷役運搬機械は運転資格を有する者に運転させること

不整地運搬車を運転する作業者は、最大積載量が1t以上のものは技能講習を修了していること、1t未満のものは特別教育を受講していること、がそれぞれ必要であるので、計画の段階で作業者の資格の有無を確認し、無資格者には運転させないようにする。

3 責任者が作業状況の監視、確認等を行うこと

現場の責任者は、作業状況を監視、確認し、災害が発生しないよう必要に応じて作業者に指示を行う。

なお、一の荷でその重量が100kgを超えるものを不整地運搬車に積み下ろしをする場合には、作業の指揮者を指名し、次の事項を行わせる必要がある。

[1] 作業手順および作業手順ごとの作業の方法を決定し、作業を直接指揮させること

[2] 器具および工具を点検し、不良品を取り除くこと

[3] 当該作業を行う個所には、関係作業者以外のものを立ち入らせないこと

[4] ロープ解きの作業およびシート外しの作業を行うときは、荷台上の荷の落下の危険がないことを確認した後に当該作業の着手を指示すること

[5] 最大積載量5t以上の不整地運搬車への荷の積み下ろしのため作業者が床面と荷台の間を昇降する設備および保護帽の使用状況を監視すること

【業種】

その他の土木工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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