建設業の労災事例

ガソリンスタンド解体工事において、地下のガソリンタンクの洗浄作業中に爆発

      2023/03/14

【労災概要】

この災害は、ガソリンスタンド解体工事において、地下に設置してあるガソリンタンクを撤去するためにタンク内を洗浄中、発生したものである。

災害発生当日の朝、工事現場のガソリンスタンドには、工事を請け負ったZ社の職長Aおよび作業者BとCの3人が集まり、Aが当日の作業予定を説明した後、電動ファンで送風しながら作業を開始した。午前中はバキューム車によるタンク内のガソリンの残油の吸引・抜き取りを行い、午後は、タンク内への鉱物油洗浄剤(第4類第2石油類)の吹き付けによる洗浄を行った。

この洗浄作業は、Bがエアライン送気マスクを使用して、持ち込んだはしごを使ってタンク内に入り、吹き付け機でタンク内に洗浄剤を吹き付けて行った。タンク内に吹き付けられた洗浄剤は、午前中に使用したバキューム車のホースで吸引した。このとき、Aはタンク上部のマンホール内で、吸引ホースと送風用の電動ファンのダクトを取り扱い、Cは地上にいてAを補助するほかエンジン式発電機と電動ファンのスイッチの操作を行っていた。

洗浄とバキューム車での吸引が終わり、Aが、吹き付け機と吸引ホースを地上に出し、Bが余分な洗浄剤をウエスで拭き取っていたところ、突然、爆発が起こった。2人は病院に搬送されたが、Aは爆発の衝撃で死亡し、またBは火傷を負い入院した。

当日は、午前中から、タンク上部のマンホールに設置された電動ファンによる送風が行われていたが、タンクの開口部が一つしかなく、換気が十分に行われていなかった。そのため、タンクとマンホールの内部にガソリンや洗浄剤の可燃性蒸気が滞留していて、これに鉄製はしごとタンクとの衝撃による火花が点火源となって引火し爆発したものである。なお、AとBは、Z社が支給した帯電防止作業服と静電気帯電防止用安全靴を使用していた。

Z社では、可燃性蒸気が存在する場所において爆発災害を防止するために実施すべき可燃性蒸気の濃度測定、換気、点火源となるものの排除等を盛り込んだ作業手順書は作成していなかった。また、作業者に対して、可燃性蒸気の危険性や爆発防止に関する安全衛生教育を実施していなかったため、作業者の知識が不足していた。なお、Z社は当該現場に可燃性蒸気の濃度測定装置を持ち込んでいたが、Aら3人はこれを使用していなかった。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 電動ファンによる換気が不十分であったこと

電動ファンによる送風が行われていたが、タンクに一つだけ設けられている開口部からの送風で、タンク内の換気が十分に行われていなかった。

2 作業中に可燃性蒸気の濃度測定が行われていなかったこと

Z社は現場には可燃性蒸気の濃度測定装置を持ち込んでいたが、Aら3人はこれを使用していなかった。

3 タンク内で可燃性蒸気の点火源となる火花が発生するはしごを使用していたこと

当日の作業でタンク内に設置されたはしごは、火花が発生しないように処理されたものではなかった。

4 作業手順書を作成していなかったこと

Z社では、可燃性蒸気が存在する場所における作業で、爆発災害を防止するための、可燃性蒸気の濃度測定、換気、点火源となるものの排除等の事項を盛り込んだ作業手順書を作成していなかった。

5 換気の効果や可燃性蒸気の危険性についての十分な知識が作業者になかったこと

Z社では、作業者に対して、可燃性蒸気の危険性や爆発防止に関する安全衛生教育を実施していなかったため、作業者の知識が不足していた。

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 換気が不十分となりやすい構造のタンク内の通風、換気については、ファンの能力、換気ホースの配置場所、換気時間等について検討し、十分な換気を行うこと

2 作業前はもとより、作業中も可燃性ガスや蒸気の濃度を測定し、爆発下限界より低いことを確認すること

3 火花の出ない工具や金属製でない道具を使用し、火花が出るおそれのある工具等の使用を避けること

4 換気、測定および安全な作業方法等を盛り込んだ作業手順書を作成し、作業者に安全な作業方法を徹底すること

5 可燃性蒸気の危険性、換気および濃度測定の方法等について、作業者に対し安全衛生教育を行うこと

【業種】

建築設備工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

休業者数:1人

 

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

 

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道路法(のり)面工事のアンカーを点検中、足を滑らせ転落し死亡

      2023/03/13

【労災概要】

この災害は、道路の法面の安定化工事において、高さ約6m、勾配60度の法肩個所で、親綱を取り付けるためのアンカーの点検作業中に作業者が足を滑らせ転落し死亡したものである。

災害発生当日、現場代理人Aおよび作業者B~Dの4人で、床堀した法面へのラス張り作業と別の法面のモルタル手直し作業を行うことになっていた。作業開始とともに、Bは、アンカー施工済みの法面上の地山に登り、法肩から下方60cmの位置に打ち込んである親綱用のアンカーの点検作業をしていたところ、足を滑らせ、約6m下の小段上に転落し、死亡した。

Bは、保護帽およびスパイク付き長靴は着用していたが、安全帯を着用していなかった。また、地山斜面を登るためのはしご等昇降設備は取り付けられておらず、Bは既設のPCコンクリート受圧板を手がかりにして登った。

なお、この現場では、通常は朝礼で現場代理人から作業指示と安全面の注意が行われていたが、当日は、Aの到着が遅れたため、朝礼が行われることなく作業が開始されていた。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 転落の危険がある高さ約6mの法面個所(作業床の端)で、安全帯を使用しないでアンカーの点検を行ったこと

Bは被災時に、保護帽、スパイク付き長靴は着用していたが、安全帯は着用していなかった。また、アンカー設置場所への昇降設備が設けられていなかった。

2 アンカーが、法面から60cmの位置に設置してあり、点検等の際に転落による危険があったこと

3 作業開始前に昇降方法、アンカーの点検方法等安全な作業方法についての指示が行われなかったこと

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策が必要である。

1 転落の危険がある法面での作業を行わせるときは、昇降設備を設けるとともに、必要に応じ親綱を設け、作業者に安全帯を使用させること

2 アンカーは、作業個所に応じ、できるだけ、点検等の際に転落による危険が生じるおそれのない場所に設置すること

3 作業開始前に朝礼を実施し、当日の作業予定の確認や安全な作業方法についての指示を行うこと

【業種】

道路建設工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

 

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