建設業の労災事例

破袋機のスクリュー羽根の修理中、突然回転し始めたスクリューに巻き込まれて死亡

   

【労災概要】

この災害は、ゴミ処理施設内で、破袋機のスクリューの羽根をアーク溶接で肉盛りする作業中に発生したものである。

この破袋機は、ゴミ処理施設内でゴミ袋等を効率的に破砕するために回転が逆向きの各2本のスクリューを備えたY系列とZ系列が設置されていた。これらのスクリューの回転により、破袋機のホッパーに投入されたゴミ袋が裂かれ、ほぐされながら焼却炉へと移動するようになっている。

災害発生当日、作業を請け負ったW社から現場代理人Aと作業者B~Dの4名が入場し、AとBがY系列、CとDがZ系列のスクリューの羽根をアーク溶接で肉盛りする作業を行うことになった。作業は、1本のスクリューの減肉箇所を肉盛りした後、1名が操作盤で担当の系列のスクリューを寸動操作し、残りの1名が肉盛り状況を確認するという手順で順次行っていった。

作業を開始して3時間ほど経過したとき、Cがスクリューの肉盛り状況を確認するため操作盤でZ系列の寸動操作をしたところ、突然、Y系列のスクリューが回転し始め、Y系列の肉盛り作業をしていたBがスクリューに巻き込まれた。

Cが操作盤でZ系列の寸動操作をしていたとき、誤って身体の一部がY系列の正転ボタンに触れたものであった。

操作盤でY系列とZ系列の操作ボタンは並んで配置されており、ボタンの形状はいずれも正転ボタンと逆転ボタンは突出型、停止ボタンは上半分に“ひさし”が設けられた半埋頭型、非常停止ボタンは外周カバーが設けられた埋頭型となっていた。なお、停止ボタンには鎖に繋がれた安全ピンが設けられており、これを差し込むと正転ボタンや逆転ボタンを押してもスクリューは作動しない構造となっていたが、当日はたびたび寸動操作を行うことが予想されていたため、Aの判断でY系列、Z系列とも安全ピンを抜いた状態で作業を行っていた。

また、この破袋機は、通常、無人で運転されているため、スクリューの起動を知らせるブザー等の警報は設けられていなかった。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 操作盤の起動スイッチが突出型の構造となっていたこと

操作盤の正転ボタンと逆転ボタンの起動スイッチが突出型であったため、作業者Cが操作盤でZ系列のスクリューの寸動操作をした際、誤って身体の一部が操作盤上に並んでいたY系列の正転ボタンに触れて、Y系列のスクリューが回転し始めた。

2 操作盤の安全ピンを使用していなかったこと

当日はたびたび寸動操作を行うことが予想されていたため、正転ボタンや逆転ボタンを押してもスクリューが作動しない安全ピンを現場代理人Aの判断でY系列、Z系列とも抜いて作業を行っていた。

3 破袋機に、スクリューの起動を知らせる警報が設けられていなかったこと

破袋機に、スクリューの起動を知らせるブザー等の警報が設けられていなかったため、作業者Bは、突然、スクリューが回転し始めた際に逃げることができず、巻き込まれた。

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 操作盤の起動スイッチを埋頭型の構造とすること

操作盤の正転ボタン、逆転ボタン等の起動スイッチを埋頭型とし、作業者が誤って触れても起動しにくい構造とする。また、停止ボタンは突出型とし、非常停止ボタンは作業者が必要なときに容易に操作できるように大きなボタンのものとし、ボタンの周囲には外周カバー等を設けないようにする。

2 操作盤に設けられた安全ピンを使用するように作業者に徹底すること

操作盤に設けられた安全ピンを使用し、正転ボタンや逆転ボタンを誤って押してもスクリューが作動しないようにして作業を行わせる。

3 破袋機に、スクリューの起動を知らせる警報を設けること

破袋機に、スクリューの起動を知らせるブザー等の警報を設けるとともに、作業中にブザーが鳴った際は、直ちに退避することを作業者に徹底する。

【業種】

機械器具設置工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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