建設業の労災事例

橋の路面改修後の点検作業中、走行してきたトラックと接触して死亡

   

【労災概要】

この災害は、橋梁の路面改修工事終了後の点検作業中に発生したものである。

災害発生当日、路面改修工事を請け負ったZ社の道路舗装工事部門の責任者であるAは、橋梁の路面改修工事のために走行車線の切替え作業が行われることから、これを監督することになり、いったん本社に出勤したのち午前9時半頃に現場に到着し、午前中は車線切替え作業を監督した。

午後は、午前中に終了した車線切替え作業で使用した車両規制用の標識等の撤去作業が開始され、Aはその状況を監督していた。Aは、柵で仕切られた工事用の占有場所内で残された標識等がないことを確認した後、柵を乗り越えて走行車線に立ち入り、走行車線に標識等が残っていないか点検をしていたとき、走行してきた4tトラックの側面に接触して5mほど引きずられた。Aは直ちに病院に搬送されたが、その後、死亡した。

Aは被災したとき、橋梁上の切替え車線の分岐個所に設けられた導流帯(ゼブラゾーン)の上に立っていたが、午後の作業でゼブラゾーン上に作業者が立つことは想定していなかったため、ゼブラゾーンと走行車線の境にはバリケード等は設けられていなかった。

現場の工事責任者は、車線切替え作業が午前中に終了したことから、午後は他の作業の打合せを行っていて、標識等の撤去作業には立ち会っていなかった。また、この工事現場には2名の交通誘導員が配置されていたが、車線切替え作業時に一般車両の誘導を行うよう指示されており、車線の切替え後には避難させられていた。

現場では、毎日の朝礼時に作業者や交通誘導員の配置、当日の作業スケジュールと現場の状況について、工事責任者が関係作業者に指示していたが、本社からの監督者にはこれらの指示事項を伝えていなかった。

また、Z社は、Aら本社の管理部門の労働者に対して、交通安全、監督時の安全確保等についての安全衛生教育を実施していなかった。

【原因】

この災害の原因としては、次のことが考えられる。

1 Aが監督中に走行車線に立ち入ったこと

Aは、工事部門の責任者として、走行車線の切替え作業やその後の標識等の撤去状況を監督していたものであるが、そのとき、すでに一般車両の走行が可能になっていた車線に立ち入った。

2 走行車線の切替え作業について、監督者の動きも含めた作業手順を定めていなかったこと

走行車線の切替え作業時の人員配置、交通誘導員の配置等については、朝礼時に工事責任者が関係作業者に指示していたが、本社からの監督者とは事前の打合せがなく、その動きを含めた作業手順となっていなかった。

3 本社の管理部門の労働者に対する安全衛生教育が行われていなかったこと

Aは、自らが管理する現場について、それまでにも監督等を行ったことはあったが、Z社はAら本社の管理部門の労働者に対し、交通安全を含め、現場の監督を行う際の安全確保等についての安全衛生教育を実施していなかった。

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 走行車線への立入禁止措置を確実に行うこと
現場の作業者のみならず、すべての関係者が、一般車両の走行車線等の危険エリアに立ち入ることがないよう、バリケード等の立入禁止措置を確実に実施するとともに、作業者や関係者に対し、立入禁止を徹底する。2 走行車線の切替え作業について、監督者の動きも含めた作業手順を定めること
車線切替え作業後の状況の確認では、走行車両による危険があるので、監視範囲、時間、実施者等について打合せを行って作業手順を定め、関係作業者に周知徹底する。
なお、道路の一部を一般車が走行する道路改修工事、舗装工事等においては、走行車線から車両が飛び込む例、速度超過のため曲り切れずに交通誘導員に激突する例等が多いので、誘導員の配置と安全確保、車両の飛び込み防止柵の設置等を行う。3 監督者の安全衛生教育を実施すること
本社の管理部門の労働者は、関係請負人を含めた安全衛生確保の指導について、必ずしも十分な知識、経験を有していない場合もあるので、定期あるいは随時に管理部門の労働者の安全衛生教育を実施する。

【業種】

その他の土木工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

 

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp) より一部抜粋

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

 

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フォークリフトのパレット上で作業中、墜落し死亡

   

【労災概要】

この災害は、コンクリート製品製造工場建屋の入口にひさしを取り付ける工事の準備作業中に発生したものである。

災害発生当日の朝、Y社からひさしの取付け工事を請け負ったZ社の作業責任者Aは、作業者BおよびCとともに材料を持ってY社の工場に到着した。

しかし、建屋入口の上部(高さ5m)には鳩よけ用のネットが張ってあり、作業を行うためには、それを取り外す必要があった。

そこで、Aは、自分がフォークリフトの運転資格を持っていたので、工場のフォークリフトを借りて足場として利用することを考え、借りてきたフォークリフトのフォークを5段積みしたパレットに差し込み、そのパレット上にBを乗せて、鳩よけ用のネットの取り外しができる高さ(地上から約4.5m)にまで上昇させた後、フォークリフトのエンジンを止め、Bに作業させた。

その後、AとCは、ひさしの取り付け方法を打ち合わせていたが、「アッ」という声がしたので振り返ってみたところ、Bがフォークリフトの近く地面に倒れていた。Bは救急車で病院に搬送されたが死亡した。

Z社では、ひさしの取付け工事を請け負った際、高所作業があることが明らかであるにもかかわらずY社と作業床の設置について相談する等必要な機材や作業方法についての検討を十分に行わずに、作業責任者と作業者を現場に派遣していた。

また、BはZ社に2カ月前に採用されたが、Z社はBに対し墜落防止対策等に関する安全衛生教育を実施していなかった。

【原因】

この災害の原因としては、次のことが考えられる。

1 作業計画を作成せずに作業を開始したこと

Z社は、請け負った工事現場の状況に応じて作業に必要となる機材や作業方法について十分検討を行わずに、A,BおよびCを現場に派遣し、作業者まかせで作業を行わせた。

2 墜落防止のための措置を講じた安全な作業床を設けなかったこと

Aは、高さが約5mで作業に際し墜落のおそれがあったにもかかわらず、墜落防止のための手すり等が取り付けられた安全な作業床を設けずに、フォークリフトのフォークに5段積みのパレットを差し込み、この上にBを乗せて不安定な状態で作業を行わせた。

3 安全衛生教育を実施していなかったこと

Z社は、Bに安全衛生教育を実施せず、墜落の危険のある作業に従事させた。

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 作業計画を作成して作業を行うこと

高所の作業では、あらかじめ作業場所の地形、広さ、高さなどの状況を検討した上で作業方法を決定し、必要な人員、材料、足場等を含めた作業計画を作成して、作業を行わせる。

2 高所作業では墜落防止措置を講ずること

高さが2m以上の場所における作業については、墜落防止のための手すり等が取り付けられた作業床を必ず用意する。また、作業用足場の設置、高所作業台または高所作業車を準備し、フォークリフトのフォーク上では作業を行わないようにする。

なお、止むを得ず、フォークリフトを用途外で使用しなければならない場合には、フォークリフトを転倒するおそれのない場所に置き、パレットをフォークに固定し、かつ、パレットの周囲に十分な高さの手すりや枠を設ける等の墜落防止のための措置を講じた上で作業を行わせなければならない。

3 安全衛生教育を実施すること

雇用した作業者に対しては、基本的な安全衛生教育を実施するとともに、特に高所での作業に従事させる場合には、あらかじめ墜落防止対策、安全帯の使用方法等について教育訓練を行う。

【業種】

その他の建設業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp) より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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