建設業の労災事例

鉄骨をトラックから荷降ろし作業中、鉄骨が荷台上で横転し、荷台上にいた玉掛け者が鉄骨とともに転落し死亡

      2022/12/16

【労災概要】

この災害は、建設工事に使用する鉄骨をトラックから移動式クレーンで荷降ろし作業を行っているときに発生したものである。

災害発生当日、トラックで現場に搬入された鉄骨(H鋼)の荷降ろし作業のため、作業指揮者A、作業者BおよびC、移動式クレーンの運転手Dが入場し、BおよびCはトラックの荷台上で鉄骨の玉掛けを担当した。

トラックへの積み方は荷台後方よりみて右側から、短尺(重量約1.5トン)、長尺(重量約4トン)、長尺(重量約3トン)、短尺(重量約1.5トン)に並べられ、それぞれ、2段に積まれた角材の上に載せられていた。

鉄骨の荷降ろし作業は、荷台の右側から順番に行われ、3本目の鉄骨をクレーンでつり上げたときに、1番左側の鉄骨が倒れ、荷台の左端にいたBが鉄骨とともに転落し、鉄骨の下敷きになって死亡したものである。

1番左側の鉄骨を支えていた角材は、トラックの走行により生じた荷台の衝撃により1段目と2段目がずれて鉄骨が不安定になっており、荷台の右側3本の鉄骨を荷降ろししたことにより荷台が傾き倒れたものであった。鉄骨が運び込まれた現場では、トラックが到着し、鉄骨の荷降ろしを開始する際および荷降ろし作業中に、鉄骨の積載状況を確認していなかった。

また、倒れた鉄骨は荷台の左端から50cmの箇所に積まれており、転落した玉掛け者Bはこの50cmの隙間に立っていたため、鉄骨が倒れたときに安全な場所へ逃げることができなかった。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 積み荷である鉄骨が倒れ、荷台から落下したこと

荷台の1番左側の鉄骨を支えていた角材は、トラックの走行により生じた荷台の衝撃により1段目と2段目がずれて鉄骨が不安定になっており、荷台の右側3本の鉄骨を荷降ろししたことにより荷台が傾き鉄骨が倒れた。

2 荷降ろし作業の開始前および作業中に荷台上の荷の安定状況を確認していなかったこと

3 玉掛け者が逃げることが難しい箇所に立っていたこと

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 トラックの走行等による振動によっても不安定とならない荷の積載方法とすること

角材の使用に当たっては、角材の強度、変形などについて検討するとともに、輸送等の際の外力に対するずれや転倒の防止等を考慮した積載方法とする。また、荷降ろし作業では、荷台の左右から交互に降ろす等、荷台が傾かないように工夫する。

2 荷台上の荷の積載状況を確認した後、荷降ろし作業を行うこと

荷降ろしの際には、荷台の振動等による荷の傾き、崩れ等が生じていないかよく確認し作業を開始する。

3 クレーンで荷をつり上げる際は、玉掛け者は安全な場所へ退避すること

トラックに荷台上の荷をクレーンでつり上げる際は、つり荷の落下、荷振れ等による災害や荷台上の荷の転倒等による災害を防止するため十分なスペースがある箇所に退避した後で地切りを行う。

【業種】

鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業

【被害者数】

死亡者:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

 

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坂道に止めていた高所作業車が動き出して電柱にぶつかり、止めようとした作業者がドアと車体にはさまれ死亡

      2022/12/15

【労災概要】

この災害は、光ファイバーケーブルを個人住宅へ引き込む工事の際に発生したものである。

災害発生当日、作業者AとBの2人は、高所作業車で事業場を出発し、午前と午後、合わせて3軒の個人住宅に光ファイバーケーブルを引き込む工事を終了し、事業場に戻ろうと、3軒目の住宅前の坂道(勾配約10度)に駐車していた高所作業車に向かった。輪止めを外し、ドアを開け、乗車しようとしたところ車が急に動き出したので、車の左側にいたAは助手席越しにサイドブレーキを引いて止めようとしたが、車のドアが電柱に衝突したため、ドアと車体の間にはさまれたものである。Aは病院に搬送されたが、死亡した。

3軒目の個人住宅での工事において、高所作業車を使用した高所作業を終え、屋内配線工事に移る際、高所作業車の運転を担当していたBは、輪止めをしていたが、サイドブレーキを十分に引いておらず、ギアはニュートラルのままであった。

この事業場では、高所作業車を坂道に駐車する場合に、輪止めを使用することは作業者に徹底していたが、輪止めをするときや外すときの手順、ブレーキ、ギア等の確認事項を盛り込んだ作業手順書を作成していなかった。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 坂道に駐車した際、サイドブレーキを確実に掛けておらず、ギアをニュートラルとしていたこと

2 高所作業車を坂道に駐車する場合の輪止めをするときや外すときの手順、ブレーキ、ギア等の確認事項を盛り込んだ作業手順書を作成していなかったこと

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 高所作業車を坂道に駐車する場合は、輪止めを使用し、サイドブレーキを確実に掛けるとともに、ギアは坂の勾配と逆に入れておくこと

坂道で高所作業を行わずに高所作業車を駐車する場合は、輪止めを使用するほか、サイドブレーキを確実に引くとともに、ギアを坂の勾配と逆に入れる(下り坂方向に駐車する場合、バックギアに入れる)ようにする。

2 高所作業車を使用する作業について、輪止めをするときや外すときの手順等を含めた作業手順書を作成すること

坂道で輪止めをする前や外した後に高所作業車が逸走することを防止するため、輪止めの手順やブレーキ、ギア等の確認事項を盛り込んだ作業手順書を作成し、作業者に周知徹底する。

【業種】

電気通信工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

 

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