建設業の労災事例

ボーリングに使用するやぐらの組立作業中、墜落して死亡

   

【労災概要】

この災害は、温泉井掘削工事において、ボーリング工事で使用するやぐらの組立作業を行っていた作業者が、安全帯のフックが外れたために、やぐらから墜落したものである。

やぐらは、高さが約30mで、鉄製の柱材、水平方向材および筋かいで構成される四角錐の形状のものである。あらかじめ地上で組立てた5段の部材を1段ずつ移動式クレーンでつり上げて据え付け、ボルト、ナットを使用して部材を固定していく方法で組み立てられる。

災害発生直前、移動式クレーンでつった2段目の部材を1段目の上に取り付ける作業を、工事を請け負ったZ社の作業者A~Dの4人で行っていた。Aは、1段目の柱材に取り付けていたクランプ2個を足場にして、1段目の柱材の最上部で、ネジ穴にボルトを入れ、ナットで1段目の柱材と2段目の柱材を仮締めしようとしたとき、U字づりで使用していた安全帯のフックがフックを掛けていた工具ホルダーのカラビナから外れ、墜落した。Aは病院に搬送されたが、死亡した。災害発生時にAが使用していた安全帯は、一本づり専用のものであった。

また、この現場では、建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者が選任されていたが、作業主任者は、作業方法や作業者の配置の決定、作業の直接指揮、安全帯等の点検と使用状況の確認等、作業主任者の職務を履行していなかった。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 使用の用途が工具ホルダーであるカラビナにU字づりの方法で安全帯のフックを掛けて使用したこと

2 1本づり専用である安全帯をU字づりの方法で使用したこと

3 建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者として選任された者が、作業主任者の職務を履行していなかったこと

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 工具ホルダーとして使用するカラビナには安全帯のフックを掛けさせないようにするとともに、安全帯の正しい使用方法を作業者に周知徹底すること

2 安全帯をU字づりの方法で使用する場合は、U字づり専用の安全帯を使用させるとともに、一本づり専用の安全帯を使用することがないよう作業開始前に十分な確認を行うこと

3 建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者に、次の作業主任者の職務を履行させること

[1] 作業の方法および作業者の配置を決定し、作業を直接指揮すること

[2] 器具、工具、安全帯等および保護帽の機能を点検し、不良品を取り除くこと

[3] 安全帯等および保護帽の使用状況を監視すること

【業種】

土木工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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