建設業の労災事例

住宅地内の配電線の移設工事中、感電して死亡

   

【労災発生状況】

この災害は、住宅地にある配電線の移設工事において発生したものである。

この工事は、100V用電線を高圧用のものに変更するとともに、電柱を移設し、新たに建てた電柱に変圧器および電線を移設するもので、電力会社の1次下請業者(Z社)により実施されていた。

災害発生当日、Z社の作業者Aは、他の作業者5人とともに昼前に作業現場に到着し、KYミーティングを行った後、午前中は電線張替のための資材の準備作業、すでに建ててあった新しい電柱に腕金を取り付ける作業を行った。なお、現場責任者は、当日は現場には来ていなかった。

午後は、1時頃から6人で手分けして電柱から変圧器を取り外す作業、新しい電柱への電線の取り付け準備作業を行うこととなり、Aは作業者Bとともに電柱に上り、住宅への引込み線を接続する作業を2人で行っていたところ、Aが電線を掴み感電した。Bはすぐに電線を掴んでいるAの手を振り払ってAを地上に下ろした。その後、Aは病院に移送されたが、既に死亡していた。

災害発生時のAの服装は、長袖の作業服、保護帽、皮手袋、安全帯、絶縁用ゴム長靴であった。Z社は、皮手袋のほかに高圧活線用ゴム手袋および低圧用ゴム手袋を作業現場に用意していたが、当日は気温が30℃を超えていたことからAは蒸れやすいゴム手袋ではなく、皮手袋を選び使用していた。

元々、当日の工事は、停電作業として計画されていたが、当日の朝、急に活線作業に変更された。しかし、現場作業者がいなかったため、充電電路への絶縁管、絶縁シート等の絶縁用防護具の装着については措置されず、絶縁用保護具の使用については作業者がそれぞれ自分自身で判断して作業を行った。

Z社では、作業者に対し、作業に必要な安全対策等についての安全衛生教育は実施していなかった。このため、100Vの低圧電路の感電の危険性を認識している作業者は少なかった。また、作業手順書には、活線作業を想定した充電電路の絶縁等、安全に作業を行うための対策が盛り込まれていなかった。

【原因】

この災害の原因としては、次のことが考えられる。

1 感電防止措置が講じられないまま活線作業が行われたこと

工事が行われる当日の朝、急に停電作業として計画されていたものが活線作業に変更になったものであるが、充電電路への絶縁管、絶縁シート等の絶縁用防護具が装着されないまま作業が行われた。さらに、絶縁用保護具の使用については作業者任せにされたため、絶縁効果がない皮手袋が使用されていた。

2 作業手順書の内容が不十分であったこと

作業手順書には、活線作業を想定した充電電路の絶縁等の安全に作業を行うための事項が盛り込まれていなかった。

3 安全衛生教育が実施されていなかったこと

Z社では、作業に対し感電危険に関する安全衛生教育を実施していなかった。そのため、作業者は、電気による危険を十分に認識しておらず、低圧電路であるため安全であると誤解していた。

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 充電電路への絶縁用防護具の装着、絶縁用保護具の使用等の感電防止措置を講じること
やむを得ず活線作業を行う場合には、充電電路へ絶縁管、絶縁シート等の絶縁用防護具を装着させる。さらに、作業者には、絶縁用のゴム長靴やゴム手袋を使用させることも必要である。
なお、皮手袋は、絶縁効力がないので充電電路を直接取り扱う作業には使用させないようにする。

2 安全な作業を行うために必要な事項を盛り込んだ作業手順書を作成すること
活線作業において、充電電路への絶縁用防護具の装着、作業者の絶縁用保護具の使用等、感電による危険を防止し安全に作業を行うための必要な事項を盛り込んだ作業手順書を作成する。

3 安全衛生教育を実施すること
停電作業や低圧電路の作業は、安易に行われることが少なくないが、100Vの低圧電気でも感電の危険があるので、電気工事に従事する関係作業者に対し、十分な安全衛生教育を実施する。また、安全衛生教育は繰り返し実施するようにして、関係作業者に周知徹底することも重要である。

【業種】

電気通信工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101072より一部抜粋

 

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