建設業の労災事例

鉄骨組立作業中、足を踏み外し墜落

   

【労災概要】

この災害は、2階建て店舗新築工事の鉄骨組立作業において、高さ約8mにある梁上でリップみぞ形鋼材(C形鋼材)(断面形状100×50×20mm、長さ約4m、重さ約16 kg)を運搬していた作業者が墜落したものである。

災害発生当日、工事現場には複数の作業者グループが入場し、Aを含む6名の作業者は、C形鋼およびブレースの取り付けを行うよう現場責任者Bから指示された。

Aは、移動式クレーンで梁上に荷下ろしされたC形鋼を取り付け位置まで運ぶ作業を担当していたが、作業を開始して約2時間後、C形鋼を両手で抱えて幅10cmの梁の上を歩いて運搬中、足を踏み外して墜落した。Aは、直ちに病院に搬送されたが、死亡した。

当日、別の作業者グループがBからC形鋼およびブレースの取り付けと並行して水平安全ネットを張るよう指示されていたが、Aが墜落したときは、まだ張られていなかった。Aが足を踏み外した梁の上には安全帯用の親綱が設置されており、Aは安全帯を着用していたが、フックを親綱に掛けていなかった。当該現場ではBが建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者に指名されていたが、複数の作業を同時進行させていたため、Aらが安全帯を使用している状況を確認していなかった。

また、Aは当日、初めて当該現場に入場したものであったが、Aに対し入場時安全衛生教育を実施することなく、作業に就かせた。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 被災者に安全帯を使用させていなかったこと

2 水平安全ネットが、設置されない状態のまま、梁の上で運搬作業を行わせる等、作業計画が不適切であったこと

3 建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者に指名されたBが、安全帯の使用状況の監視、作業の直接指揮等、作業主任者としての職務を行っていなかったこと

4 初めて現場に入場した者に対して行うことにしている、作業方法や作業手順に関する安全衛生教育をAに実施しないまま作業に就かせたこと

【対策】

同種災害を防止するためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 鉄骨組立作業においては、安全帯の使用を徹底すること

2 作業者の墜落等の危険を防止する措置を先に実施する作業計画を策定すること

作業者が墜落する危険を防止する措置を講じた後に高所作業を開始するような作業計画を策定する。

3 建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者に次の職務を確実に行わせること

[1] 作業の方法および作業者の配置を決定し、作業を直接指揮する。

[2] 器具、工具、安全帯等および保護帽の機能を点検し、不良品を取り除く。

[3] 安全帯等および保護帽の使用状況を監視する。

4 新規入場者に対し行うことにしている安全衛生教育を実施し、墜落の危険や作業方法等を教育した上で作業に就かせること

【業種】

鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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送水管敷設工事の覆工板開口部から墜落して死亡

      2022/12/28

【労災概要】

この災害は、送水管敷設工事現場において発生したもので、工事は、地中深さ26mの立坑を掘り、深さ25mに埋設されている送水管と深さ3mに埋設されている配水管を接続するための送水管等を新設するものであった。

災害発生直前、作業者Aは同僚の作業者とともに、移動式クレーンで立坑内へつり下げた鋼管を、地中深さ7.5mの立坑の途中の開削水平管路内にチェーンブロックで横引きする作業に従事していた。横引き作業の途中で移動式クレーンの玉掛け用具であるナイロンスリングが地上の覆工板開口部の縁に接近したので鋼管を仮置きする必要が生じ、塗装面の損傷を防止するために角材が必要になった。このため、Aは開削管路から移動はしごで地上に上がって角材を探し出し、移動式クレーンの合図者に角材を開削管路まで下ろすよう依頼し、自らは移動はしごで開削管路まで戻ろうと覆工板開口部に歩み寄ったときに足を滑らせ7.5m下の開削管路の床面まで墜落し、死亡した。

移動はしごは数日前にAら関係作業者が開削管路内に下ろして使用していたもので、脚は開削管路の床面に置き、先端は地上の覆工板開口部から28cm突出して、開削管路に番線で固定していた。

前日の作業打ち合わせおよび当日の朝礼において、この移動はしごの使用は禁止であり、開削管路と地上の移動には立坑内に設置された足場式通路のみを使用するよう指示されたが、作業者は遠回りになることから、移動はしごを架けて使用していた。また、現場監督者等もこの行為を黙認していた。

また、覆工板開口部の周囲には、作業者が墜落することを防止するための柵等は設けられていなかった。

なお、この工事現場では作業者に対し、安全衛生教育を実施していなかった。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 移動はしごの上端が床面から28cmしか突出していなかったこと

2 移動はしごが架けられていた付近の覆口板開口部に、柵等の墜落防止措置が講じられていなかったこと

3 禁止されていた移動はしごの使用が黙認されていたこと

4 作業に必要な損傷防止の角材があらかじめ作業場所に準備されていなかったこと

5 作業の危険性等について安全衛生教育が行われていなかったこと

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 はしごは開口部床面から60cm以上突出させること

2 作業者が墜落するおそれのある開口部には、墜落防止のための柵等を設けること

3 地下の作業場所と地上との間に安全な昇降設備を設け、作業者にその使用を徹底するとともに、移動はしごは撤去し使用させないこと

4 作業の内容や手順について事前に検討し、作業で必要な資材はあらかじめ必要となる場所に用意しておくこと

5 作業に伴う墜落その他の危険性等について、安全衛生教育を実施すること

【業種】

上下水道工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

 

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