ヒューム管を切断中にエンジンカッターが跳ね上がり、研削刃の一部が被災者に接触して死亡
【労災概要】
排水管工事現場の掘削溝で、エンジンカッターを使ってヒューム管の切断作業を行っていた。ヒューム管は2回に分けて切断する必要があり、管の直径に対し半分ずつ切り込みを入れて行った。2回目の切断は、切り込みの角度がずれて1回目と合わなかったため、さらに管の下部(裏側)を切断する必要があった。
管の下部を切断する際、跳ね上がりが生じやすいエンジンカッターの研削刃の上部を使った。研削刃が切断物と切り口に挟み込まれてキックバックを起こし、跳ね上がった研削刃の一部が被災者の頸部に接触した。被災者の頸部から多量の出血があり、病院に搬送されたが間もなく死亡した。
切断幅が短かったため(約40cm)、切断物の下部に枕木を設けることができず、切断物は固定や支持がされていなかった。
【原因】
1 ヒューム管の下部を、エンジンカッターの跳ね上がりが生じやすい研削刃の上部4分の1で切断したこと
2 切断物を固定せず切断作業を行ったため、切断物が切り口を塞ぎ、研削刃上部を挟み込んでしまったこと
3 エンジンカッターの研削刃の延長線上に立って切断作業を行ったこと
4 エンジンカッターを使用した作業の危険性・有害性について、事前に調査が行われておらず、安全な作業を行うための指示がなかったこと
【対策】
1 ヒューム管を複数回に分けて切断する場合は、下部と側面の切断をすべて終えた状態で、最後に上部の切断を研削刃の下部4分の1で行うこと。エンジンカッターの跳ね返りが生じやすい箇所(上部4分の1)で切断作業をしないこと
2 切断物の下部に枕木を設置する等の措置を講じ、切断物を固定して支持すること
3 エンジンカッターが跳ね上がることを想定し、研削刃の延長線上には立たず、エンジンカッターを体の横に抱えた保持姿勢で切断作業を行うこと
4 切断手順や禁止事項等を記載した作業標準書を作成し、十分な安全教育を実施したうえで作業を行うこと
【業種】
建設設備工事業
【被害者数】
死亡者:1人
出典:厚生労働省ホームページ職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)
スプレーガンを用いた吹き付け塗装作業による肺の炎症
【労災概要】
自社作業場(倉庫)内において、被災者2名が建材見本を作成するため、養生フィルムを使って簡易的な塗装ブースを作り、スプレーガンを用いて吹きつけ塗装を行っていた。塗料はフッ素系ポリマーを含むものであった。両名とも徐々に動悸が起こる、喉に違和感を覚え咳が出始める等の症状が発生していたが、作業を継続したところ、後に肺が炎症を起こしていることが判明したもの。防毒マスクは使用していなかった。
【原因】
1 SDSの内容未確認
2 適切な呼吸用保護具未着用
3 リスクアセスメント未実施
4 作業標準書・マニュアル未作成
5 作業標準書・マニュアルの不備
6 安全衛生教育未実施
7 換気・排気装置未設置
8 換気不足
9 作業者の危険有害性認識不足
10 作業主任者・管理責任者等の危険有害性認識不足
【対策】
1 塗装作業時に全体換気装置等による換気を行い、かつ労働者に呼吸用保護具の着用を徹底させること。
2 労働者に対しSDSの周知を行うこと。
3 リスクアセスメントを行い、安全衛生に関する教育を徹底すること。
4 内燃機関を有する機械を使用する際には、当該機械を屋外に設置するか、換気をする等して作業場の通風をよくすること。
【業種】
建築設備工事業
【被害者数】
休業者数:2人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)
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