建設業の労災事例

被災者が、移動式クレーンに取り付けた搭乗設備に乗り、高所の枝打ち作業中に、搭乗設備から墜落し死亡

      2022/09/22

【労災概要】

被災者が、移動式クレーンに取り付けた搭乗設備(高さ約10メートル)に乗って、伐木予定のヒノキの枝打ち作業を行っていた。休憩のために作業を中断し、地上に降りるため、被災者自ら移動式クレーンを操作してジブの格納を開始した際、バランスを崩し搭乗設備から地上に墜落した。被災者は病院に搬送されたが、その後死亡した。

ジブを格納する際、先端に取り付けた搭乗設備の水平機構(搭乗設備の水平を保つ機能)が無効になっていた。そのため、ジブの格納開始と同時に搭乗設備が大きく揺れ、被災者の上半身が木の枝に当たり、体勢を崩し、墜落したものと考えられる。被災者は墜落制止用器具を装着していたが、フックは掛けられていなかった。

【原因】

1 高所作業を行うための設備として、移動式クレーンのジブ先端に取り付けた搭乗設備を使用し、ジブ格納時に搭乗設備の水平機構を無効にしていたこと

2 墜落抑止用器具のフックを外していたこと

【対策】

1 高所での作業について、高所作業車を使用するなど、より安全な方法を検討すること

2 高所での作業では、墜落抑止用器具の適切な使用を徹底させること

【業種】

その他の土木工事業

【被害者数】

死亡者:1人

 

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

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化学プラントの配管をガス溶断中、配管内のトルエンに引火し火傷

   

【労災概要】

この災害は、既設の化学プラントを解体する工事において、プラントの配管をガス溶断する作業中に発生したものでる。

災害発生当日、Y社の化学プラントの解体工事を請け負ったZ社の作業者A~Cの3人は、朝から高所作業車およびローリングタワーを使用してプラントの配管をガス溶断で解体する作業を行っていた。

午前11時頃、AとBは高所作業車の上に、Cはローリングタワーの上に、それぞれ上ってトルエンが貯蔵されていたタンクにつながっている2本の配管をガス溶断により切断し始めたところ、突然「ドーン」という音とともに、配管の下部にあるピットから炎が立ち上り、上方で作業を行っていた3人は火傷を負った。

この工事を開始する前には、高圧水による配管等の洗浄を行っていたものの、配管内のトルエンの残留を測定により確認してはいなかった。また、工事に先立ち配管の端部に閉止板を設置する等の措置を講じていなかったため、配管内に残留していたトルエンの蒸気がピット内に流れ出て滞留し、これにガス溶断の火花が落下して着火したものである。

Z社では、引火性が高いトルエンが残留しているおそれがある配管を安全にガス溶断するための作業方法の検討を事前に行っておらず、作業者に対する安全衛生教育も実施していなかった。

また、Y社は解体工事の発注に際し、Z社にタンクに貯蔵していたトルエンの危険性・有害性等の情報を提供していなかった。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 配管内にトルエンが残留していたこと

解体工事の前に高圧水により配管やタンクの洗浄を行ってはいたが、十分ではなかったため、残留していたトルエンの蒸気がピット内に流れ出て、これに落下したガス溶断の火花が着火した。

また、Z社では、洗浄した後に、トルエンの残留を測定によって確認すること、配管の端部に閉止板を設置することなどの措置を講じていなかった。

2 化学プラントの解体工事の注文者のY社がタンクに貯蔵していたトルエンの危険性・有害性等の情報を請負人のZ社に提供していなかったこと

3 安全な作業方法の検討や作業者に対する安全衛生教育を行っていなかったこと

危険物であるトルエンが残留しているおそれのある配管などをガス溶断するにあたって安全な作業方法の検討や作業者に対する安全衛生教育を実施していなかった。

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 作業開始前に残留物の確認を行うこと  トルエン等の危険物が残留しているおそれのある配管をガス溶断する場合には、あらかじめ高圧水などにより内部を十分洗浄するとともに、測定を行って残留物がないことを確認するとともに、配管の端部に閉止板を設置する。

2 化学プラントの解体等の作業の注文者は、当該設備の中の化学物質の危険性・有害性や取扱上の注意事項等の情報を請負人に提供すること

3 安全な作業方法を検討し、作業者に安全衛生教育を実施すること

危険な設備の解体作業については、事前に想定される危険有害性の検討を行って安全な作業方法を決定し、作業者に対し安全衛生教育を行うことが必要である。

【業種】

機械器具設置工事業

【被害者数】

休業者数:2名

 

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

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