建設業の労災事例

工事現場から会社に戻る途中の交差点にて、乗用車と出会い頭に衝突

   

【発生状況】

本災害は、工事現場から会社に戻るため、会社の所有車に3名が乗って走行中、交差点において乗用車と出会い頭に衝突し、車外に放り出された1名が重傷を負い、残る2名が軽傷を負ったものである。

災害発生当日、午前6時40分頃、Z社の作業者A、B、Cの3名は会社の所有車(マイクロバス)に乗り、Cが運転して工事現場に向かった。午前8時前に3名は工事現場に到着し、午前8時40分から溶接作業を開始し、途中休憩等をはさみ午後7時40分頃まで行なった。午後8時頃、A、B、Cは再び車に乗りCの運転で会社に向かった。午後9時頃、主要地方道を南方向に向かって走行中、交差点において西方向から走行してきた乗用車と出会い頭に衝突した。この衝撃で交差点に進入したとき座席にて眠っていたAが運転席側後部座席のガラスを破り、車外に放り出され、重傷、B、Cは軽傷を負った。このとき、運転者であるCはシートベルトを着用していたが、後部座席に座っていたA及びBはシートベルトを未着用であった。交差点の周囲には立木等があり、交差点に進入する車同士が見えにくくなっている。 また、同交差点の信号は、午後9時から主要地方道側が黄色の点滅信号に、交差する道路側が赤色の点滅信号に変わる。このような交差点を両車とも一時停止または徐行は行わずに進入していた。

なお、Z社の所定労働時間は午前8時~午後5時であるが、工事現場にて作業を行なう日は午前6時40分に出勤して工事現場に向かっている。また、受注した工事の納期の関係から災害発生前1ヶ月間は、午後9時以降に退社することが多い等、作業者に疲労が蓄積していた。

【原因】

この災害の原因として、次のようなことが考えられる。

1 黄色の信号が点滅する交差点に徐行しないで進入したこと

2 後部座席でシートベルトを着用していなかったこと

3 運転していた作業者に疲労が蓄積していたこと

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 点滅信号の交差点では、徐行または一時停止を行うこと

交差点に進入する際、黄色の点滅信号では徐行を、赤色の点滅信号では一時停止をし、交差する道路から車が進入してこない等の安全確認をしなければならない。

2 車に乗る際はシートベルトを着用すること

車に乗る際は、運転席、助手席のみならず後部座席に同乗する者もシートベルトを着用する必要がある。

3 疲労が蓄積した状態で運転させないこと

複数の作業者が同乗する場合には、交互に運転を行うなど一人だけが運転することを避けることも必要である。

【業種】

土木工事業

【被害者数】

休業者数:3人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101015より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

 

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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解体したクライミングクレーンの部材の巻き下げ中、ジブクレーンのボルトが破断しクレーンが倒壊

   

【発生状況】

本災害は、解体されたクライミングクレーンの部材をジブクレーンでつり上げ後、巻き下げを開始したところ、ジブクレーンの旋回ベアリングを取り付けているボルトが破断し、旋回フレームが倒壊したものである。

災害当日は、31階建ビルの建築工事現場の屋上で工事に使用したクライミングクレーンをジブクレーン(定格荷重1t)によって小分け・解体作業を行っているところであった。クライミングクレーンに取り付けられていた巻上げ装置の一部分(1.44t)をつり上げ後、地上に下ろすために巻き下げを開始したところ、ジブクレーンの旋回ベアリングを取り付けているボルトが次々と破断し、旋回ベアリングから旋回フレームの後部が浮き上がり、ジブクレーン上部全体が倒壊し、荷とともに約140m下の地上に落下した。その際に、建物の窓に部材の一部が接触してガラスが割れ、飛散した。このガラスにより、地上のバリケードの外側にいた作業者Aが負傷したものである。

旋回ベアリングは12本のボルトで固定されるべきものが、2本欠落しており、さらに10本のうち2本のボルトはナット部分が半分程度の長さであった。ボルトが欠落していた2個所は旋回フレームのボックス構造部であり、点検時に見落としやすい構造であったため、現場に設置する前の出庫時検査の際、ボルトが2本不足していることを確認できなかった。

また、作業指揮者Bはクライミングクレーン重量表により部材重量を目安として解体していたが、巻上装置取り付けフレームの記載はなかった。なお、Bはクレーン組立・解体作業指揮者に対する安全教育を受講していなかった。

【原因】

災害の発生原因として、次のようなことが考えられる。

1 旋回ベアリングを取り付けるボルトの本数が不足していたこと

本来は12本のボルトで固定されるべきものが、10本であったことに加え、現場に設置する前の出庫時検査の際にもボルトが2本不足していることを確認できなかったことから、ボルトにかかる荷重が破断荷重を超えた。

2 クライミングクレーン重量表にすべての部材の重量が記載されていなかったこと

クライミングクレーン重量表に巻上装置取り付けフレームの記載がなく、作業指揮者Bがフレームの重量を考慮しないまま巻上装置をつり上げたため、過荷重となった。

3 作業指揮者に必要な安全教育を受講していなかったこと

作業指揮者Bはクレーン組立・解体作業指揮者に対する安全教育を受講していなかったことから、必要な知識が不足したまま作業指揮を行っていた。

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 旋回ベアリングは決められたボルト数にて固定すること

旋回ベアリングを固定するボルトは、決められた本数で固定するとともに、現場に設置する前の出庫時や設置後の検査で確認をする。

2 クライミングクレーンの解体は取り付け最小分割になるように接続部を取り外すこと

作業指揮者は、あらかじめクライミングクレーン重量表により部材の重量がジブクレーンの定格荷重を超えていないことを確認するとともに、解体に当たっては最小分割となるようにすること。また、重量表に記載されていない部材があった場合には、その重量を確認してから下ろすことが重要である。

3 作業指揮者にクレーン組立・解体作業指揮者に対する安全教育を受講させること

作業指揮者には、安全衛生教育推進要綱に基づく教育としてクレーン組立・解体作業指揮者に対する安全教育等を受講させ、当該作業の危険防止のため十分な検討を行わせることが必要である。

【業種】

鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事

【被害者数】

なし

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101016より一部抜粋

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

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