建設業の労災事例

ドラグ・ショベルを積んだトラッククレーンが坂道を逸走し、崖下に転落

   

【労災発生状況】

この災害は、土木工事用仮設道路において、車両積載形トラッククレーンの荷台にドラグ・ショベルを積み込む作業中に発生したものである。

災害発生当日、作業者Aは、工事現場でドラグ・ショベルをトラッククレーンに載せて移送するため、林道の平坦な場所にトラックを止め、アウトリガーを張り出してトラッククレーンの車体を20~30度傾けた状態にして、鋼製の道板をトラックの荷台後部に架け、ドラグ・ショベルを自走させ荷台に載せようとしたが、前日の雨等によりドラグ・ショベルのゴム製クローラがスリップして道板を登れなかった。

このため、Aは、林道から河川に通じる傾斜角16度の工事用仮設道路にトラッククレーンを坂の下に向けて駐車し、アウトリガーを張り出してトラックの車体をほぼ水平の状態にして、荷台後部に道板を架け、ドラグ・ショベルを運転して荷台に載せた。

その直後、トラッククレーンが坂道を逸走して、右側の崖下に落ちて横転し、さらにドラグ・ショベルが荷台から転がり落ちて、Aはドラグ・ショベルのアームと地面の間にはさまれて死亡した。

トラッククレーンの最大積載量は4tであったが、クレーンを取り付けていたため、荷台の積載量は、最大2.8tであったにもかかわらず、機体重量6tのドラグ・ショベルを積み込んだ。また、ドラグ・ショベルのゴム製クローラはすり減っていて、乾いた地面でもスリップすることがあった。

さらに、Aは坂道にトラッククレーンを駐車した際、輪止め等の逸走防止をしていなかった。

【原因】

この災害の原因として、次のようなことが考えられる。

1 トラッククレーンの荷台に最大積載量を超える荷を載せたこと

坂道を逸走した車両積載形トラッククレーンは最大積載量4tのトラックにクレーンを取り付けたものであり、荷台の積載量は、最大2.75tであったのに対し、ドラグ・ショベルの機体重量は、6tであった。

2 坂道において、逸走防止措置を講じずにトラッククレーンの荷台に荷を載せる作業を行ったこと

坂道に駐車した際、輪止め等の逸走防止措置を講じないまま、荷台に荷を載せる作業を行った。

3 ドラグ・ショベルのゴム製クローラがすり減っていたこと

クローラがすり減っていたため、傾斜のある鋼製道板をスリップし、ドラグ・ショベルが登ることができなかったため、傾斜した仮設道路上で積み込むことになった。

【対策】

同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 トラッククレーン荷台に、最大積載量以上の荷を載せないこと

車両系積載形トラッククレーンの場合、トラック荷台の最大積載量は、クレーンを取り付けた時に減少しているので、これを考慮して荷を載せる。

2 トラッククレーン荷台への荷の積み込みは平坦な場所で行うこと

やむを得ず傾斜地で荷の積み込みを行う場合は、輪止め等トラックの逸走防止措置をとった上で、積み込み作業を行う。

3 ドラグ・ショベルは、定期的に点検を行い、故障個所等は修理しておくこと

ドラグ・ショベル等の車両系建設機械については、作業前の点検、月次検査、年次検査を定期的に実施するほか、工事現場に持ち込む前にも点検を行い、故障や消耗している箇所があれば、修理・部品の交換を行っておく。

【業種】

砂防工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101089より一部抜粋

 

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また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com) へ是非ご相談ください。

 

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