建設業の労災事例

車両積載形トラッククレーンを用いて鉄道用枕木の積み込み作業中、クレーンのジブが鉄道架線に触れ、感電

   

【労災発生状況】

この災害は、Y鉄道の枕木交換作業に使用する枕木の運搬作業中に発生した感電災害である。

災害発生当日は、工事を請け負ったZ社によるX駅構内の枕木交換作業が予定されていた。

X駅構内の交換作業に使用する枕木は、W駅構内に置いてあったため、Z社の作業所長および軌道作業責任者の指示により作業者AとBの2名が車両積載形トラッククレーン(つり上げ荷重2.63t)を使用してW駅構内で積み込むこととなった。枕木の積み込み作業の分担は、Aがクレーンの運転操作を行い、Bが荷振れを防ぐため車両積載形トラッククレーンの荷台上でつり荷の枕木を押さえるというものであり、作業監視員は配置されなかった。

AとBは、枕木をトラックの荷台に16本積み込み、さらに枕木8本をつってトラックの荷台に積み込もうとした時に、Aが操作する車両積載形トラッククレーンのジブが作業場所の上に張られていた架線(22kV)に接触し、A、Bとも感電し、Aが死亡、Bは休業災害を負った。

災害発生当日の3日前に発注者であるY鉄道からZ社に「枕木をW駅構内に置くので、置き場所を確認しに来るよう」指示があったので、その日のうちにZ社の作業者CがW駅に行き、後で分かりやすいように上り線脇に枕木を積んでおくことをY鉄道の担当者に依頼していた。Cが指定した枕木の置き場所の上には、Y鉄道の上り線の架線と繋がっている架線が張られていることをCは確認していたが、Z社に戻って行った置き場所の報告では、架線の存在については触れなかった。

また、枕木の置き場所を指定されたY鉄道では、置き場所の上に張られている架線への給電停止や、絶縁用防護具の装着等の措置を講じていなかった。

なお、Z社では、従業員に対し、移動式クレーンの運転に係る資格取得を奨励し、Aも小型移動式クレーン運転技能講習を修了していたが、資格取得者以外の従業員に対しクレーン作業に係る安全衛生教育は実施していなかった。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 発注者であるY鉄道と工事を請け負ったZ社の連絡、それぞれの社内での報告において、安全作業に必要な情報が伝わらなかったこと
事前の枕木の置き場所の確認では、置き場所の上に充電された架線があることが確認されていたにもかかわらず、これが作業者や関係者に伝わらなかったため、作業者は感電の危険性を認識せずに作業を行った。2 高圧の架空電線の付近におけるクレーン作業であるにもかかわらず、当該架線への給電を一時的に停止する、充電電路に絶縁用防護具を装着する等の感電防止措置が講じられていなかったこと3 車両積載形トラッククレーンによる作業の状況を監視する作業監視員が配置されていなかったこと4 クレーン作業に従事する作業者全員に、従事する作業の安全についての安全衛生教育が実施されていなかったこと

【対策】

同種災害を防止するためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 枕木が置いてある場所やその付近の状況等、安全に作業を行うために必要な情報の提供が円滑に行われるよう発注者、元請、下請事業場間の連絡調整等に常に努めること

2 高圧の架空電線に近接する場所で移動式クレーン等を使用して作業を行わなければならない場合には、架線への給電を停止するか架空電線の充電電路に絶縁用防護具を装着すること等の措置を講ずること

3 架空電線に接触するおそれがある等の危険な場所でクレーン作業を行わなければならないときは、監視員を配置して、直ちに作業を中止できるようにして行うこと

4 クレーン作業を行う場合には、クレーン運転操作者のみならず、クレーン運転資格を持たない補助作業に従事する作業者に対しても、クレーン作業に関する安全衛生教育を実施すること

【業種】

鉄道軌道建設工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

休業者数:1人

 

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101039より一部抜粋

 

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その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

 

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灯油バーナーで雑草を焼却中にズボンに引火

   

【労災発生状況】

この災害は、グランドおよびその周辺の雑草を灯油バーナーで焼却する作業中に発生したものである。

被災者の所属するZ社は、ネット・フェンスの取り付け、グランドの整備等のスポーツ関連工事およびスポーツ用品の販売を行っているが、雑草の処理作業等については、作業の依頼があるときのみアルバイトを採用して実施していた。

今回の依頼は、3週間の工期で請け負った、雑草の刈り取り、除草剤散布、刈り取った雑草の焼却およびグランドの整地という一連の作業であり、災害はこのうち、雑草の焼却作業で発生した。

災害発生当日の午前8時に、現場代理人Aは、作業現場で2名のアルバイト作業者と合流し、それぞれが可搬式の灯油バーナー(灯油5Lが入るタンク付きのもので、重さ約4kg)を使用してグランド内に散在して積まれた雑草の焼却作業を開始した。

その後、休憩を約10分とり、それぞれが18L容器から手動ポンプでバーナーのタンクに灯油を補給した。その際、Aは他の作業者に「補給中に灯油がズボンにかかって濡れてしまった」と言っていたが、そのまま作業を再開した。このとき3名は、それぞれ約30mずつ離れて作業を行っていた。作業再開後、約30分経ったときAの悲鳴が聞こえたので、他の作業者がAの方を見ると、Aが炎に包まれていた。Aは病院に運ばれたが死亡した。

Z社では、灯油バーナーの使用手順を、[1]タンクに灯油を注入する、[2]タンクに付属しているポンプにより圧力を高める、[3]バーナー先端部をライター等により予熱し着火する、[4]バーナーの火が安定した後に燃料開閉レバーにより火の量を調節する、と定めていたが、灯油の補給時における注意事項、灯油が作業服にかかったときの措置、作業服の特定等安全上必要な事項については定めていなかった。また、現場には、消火器は用意されていなかった。

なお、Z社では、Aや他の作業者に対して安全衛生教育を実施していなかった。

【原因】

この災害の原因としては、次のことが考えられる。

1 作業服に灯油がかかったまま、焼却作業を行ったこと

休憩後の灯油の補給中に、Aはズボンに灯油がかかったが、そのまま雑草の焼却作業を再開したため、燃え上がった雑草の火がズボンに染みた灯油に引火し、そこから全身が炎に包まれた。また、作業服が燃えやすい材質であったことも引火の一因となった。

2 安全な作業の手順を定めておらず、安全衛生教育も実施していなかったこと

Z社では、灯油バーナーの使用手順を定めていたが、灯油の補給時における注意事項、灯油が作業服にかかったときの措置等については、定めておらず、安全衛生教育も実施していなかった。

3 現場に火災等に備えた消火器を配置していなかったこと

4 適切な作業服(難燃性の材質でできたもの)を着用していなかったこと

【対策】

4 適切な作業服(難燃性の材質でできたもの)を着用していなかったこと

 

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 作業手順書を作成し、これをもとに作業者に安全衛生教育を実施すること

刈り取った雑草の焼却作業は、火気を取り扱うものであることから、次のような事項についてあらかじめ検討し、安全な作業のポイントを盛り込んだ作業手順書を整備し、その内容を作業者に教育しておく。

[1] 安全な作業の順序

[2] バーナーへの灯油補給時の取り扱い

[3] 消火器の取り扱い

[4] 適切な作業服(難燃性の材質でできたもの)の着用

2 消火器を設置すること

火を扱う現場には、火災等に備えて消火器を設置する必要がある。

3 適切な作業服を着用すること

火を扱う際には難燃性の材質でできた作業服を着用する。

【業種】

その他

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101041より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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