木造倉庫の解体作業中、梁が落下して作業者が転倒し死亡
【労災発生状況】
この災害は、木造倉庫の解体作業中、丸太梁が急に落下し、作業者が抱えていた金属パイプに当たって、作業者が転倒したものである。
災害発生当日は、作業者AとBの2名で木造平屋建て資材倉庫の解体作業を行っていた。解体する倉庫は、隣接する倉庫と梁の一部が連結していたので、その連結を外すため、チェーンソーで梁を切断する必要があった。チェーンソーによる梁の切断は、具体的な作業方法が決められておらず、現場にいたAとBの話し合いで、まず梁を完全に切断せずに切り込みを入れた後、ロープで縛って引き倒すこととした。また、作業の分担は、Bが踏み面のない「ウマ」を脚立の代わりとしてこれに上りチェーンソーで梁を切断し、Aが地上で切断の補助をすることにした。
Bが梁に切り込みを入れた後、補助をしていたAが、転がっていた金属パイプを抱え、これで梁を下から突いて落とそうとしたとき、突然、梁が落下してAが抱えていた金属パイプに当たり、Aは転倒して被災した。
災害が発生した倉庫の解体工事については、工事計画や作業手順書が作成されないまま、作業が開始された。現場には、現場責任者は派遣されず、作業者同士が話し合いながら作業を進めていた。そのため、各作業者がばらばらの行動をとることも多かった。
また、作業者が所属する会社では、社員に対する安全衛生教育は実施されていなかった。
【原因】
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 倉庫の解体工事について、安全な工事計画や作業手順書が定められていなかったこと
これらが定められていなかったため、現場で作業者同士が話し合って作業方法を決めていたが、役割分担や安全な作業方法について十分に検討されずに作業が行われていた。
2 現場責任者が派遣されていなかったこと
現場に責任者がいなかったため、作業者の行動が統一されていなかった。また、作業者の不安全な行動が放置されていた。
3 作業者に対する安全衛生教育が実施されていなかったこと
作業者に危険に対する意識が欠落しており、丸太という重量物を人力で落下させて解体する、ウマにまたがってチェーンソーで梁を切断する、切り込みの入った梁を下から金属パイプで突く等の危険な方法で作業が行われた。
【対策】
同種災害防止のためには、次のような対策が必要である。
1 重量物の解体工事については、安全な工事計画や作業手順書を定めること
安全な工事計画とともに、解体工事の個々の作業について安全対策を十分に検討して、作業方法を決定し、作業手順書を整備する。また、作業者に、工事計画、作業手順等を周知させた上で、作業を開始させることが必要である。
2 現場責任者を選任し、必要な安全管理を行わせること
工事現場ごとに選任した現場責任者に、現場で作業者に対する適切な作業指示を行わせるとともに、各作業者がバラバラに行動することのないよう、適切な安全管理等を行わせることが重要である。
3 作業者に対して安全衛生教育を繰り返し実施すること
日頃から、作業者に対し、繰り返し安全衛生教育を実施し、安全衛生意識の向上を図る。
【業種】
木造家屋建築工事業
【被害者数】
死亡者数:1人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)
No.101035より一部抜粋
万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。
本日も無事故で一日を終えられますように。
鉄橋を走行中のトロッコから、河原に墜落し死亡
【労災発生状況】
この災害は、鉄道の鉄橋の塗装工事現場で、作業用照明設備の設置作業のためトロッコで作業現場に向かっているときに発生した。
災害発生当日は、作業開始前ミーティングが行われた後、作業者全員でトロッコに資材を積み込んだ。作業者Bが最初のトロッコを出発させようとしたところ、作業者Aが「一緒に乗せて行ってくれ」と言ってトロッコに乗りこんできたため、BはAとともに作業現場へ向けて出発した。
トロッコには推進のための動力がないため、Bはトロッコの前方で左足をトロッコに乗せ、右足で枕木を蹴ってトロッコを前進させていた。Aはトロッコ後方で後ろ向きに座り、枕木を蹴ってトロッコを前進させていた。
鉄橋上で3つ目のトラスの中央付近に差し掛かったとき、突然、Aがトロッコから転落し、さらに上り線と下り線の間にある約1mの隙間から、約14m下の河原に墜落した。
トロッコは、資材を運搬するためのものであり、事業場では運転者のみ乗車させ、他の作業者の同乗は禁止していたが、作業者には周知徹底されておらず、普段から移動のためにトロッコに同乗していた。
トロッコには作業者が転落するのを防止するための柵等の設備はなく、また、トロッコに乗る作業者は、運転者作業者とも、普段から安全帯を所持していたが、乗車時にこれを使用することはなかった。
なお、塗装工事が行われる鉄橋では、安全ネットの設置等、塗装作業中の作業者が河原に墜落するのを防止するための措置は講じられていなかった。
【原因】
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 トロッコに乗車した作業者が転落するのを防止するための設備がなく、作業者も安全帯を使用していなかったこと
トロッコはもともと作業者の同乗を前提にしたものではないので、柵等の転落防止の設備が設けられていなかった。これは、運転者が乗る部分についても同様であった。
また、作業者も安全帯を所持していたが、トロッコ上で使用していなかったため、走行中のトロッコから転落した。
2 塗装工事が行われる鉄橋に作業者が墜落するのを防止するための措置が講じられていなかったこと
鉄橋に安全ネット等、作業者が転落しても被害が最小限で済むような設備が設けられていなかったため、トロッコから転落した作業者が鉄橋の隙間から河原に墜落した。
3 作業者が、禁止されていたトロッコに同乗したこと
トロッコへの同乗が禁止されていたにもかかわらず、作業者に周知徹底されていなかったため、作業者が自身の移動のために同乗し、転落した。
【対策】
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 トロッコに転落防止の措置を講じること
トロッコに乗車した作業者(運転者および同乗者)が転落することのないような設備をトロッコに設ける。なお、トロッコの構造上、こうした設備を設けることができない場合には、乗車した作業者に確実に安全帯を使用させ、転落防止を図ることが必要である。
2 高所作業の現場では墜落防止の措置を講じること
塗装作業が行われる鉄橋などの高所には、作業者が作業場所から墜落することのないよう、安全ネットを張る等の墜落防止のための措置を講じる必要がある。
3 作業者にトロッコへの同乗禁止を周知徹底すること
禁止されているトロッコへの同乗については、作業開始前のミーティング等で繰り返し教育し、作業者への周知徹底を図るようにする。また、運転者に対しても安全帯の使用とともに、他の作業者を同乗させないことを徹底させる。
【業種】
建築設備工事業
【被害者数】
死亡者数:1人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)
No.101036より一部抜粋
万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
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本日も無事故で一日を終えられますように。