建設業の労災事例

高所作業車で電気ケーブル撤去作業中、感電し死亡

   

【労災発生状況】

この災害は、工場の1次電源断線工事における電気ケーブル撤去作業において、ケーブルの切断部分が作業中の高所作業車の搬器に接触し、搬器全体が通電状態となり、搬器の中にいた作業者が感電したものである。

災害発生当日は、工事の1次下請Y社の現場責任者の指揮のもと、2次下請Z社の作業者7名でケーブル撤去作業を行うことになっており、午前中は高圧ケーブル及び低圧幹線ケーブルの撤去作業が、午後は別の低圧幹線ケーブルの撤去作業が予定されていた。作業者Aは、他の作業者とともに高所作業車の搬器に乗り、天井近くまで上昇した。このとき、天井から垂れ下がっていた通電状態の低圧幹線ケーブルの切断部分が高所作業車の搬器の床面に接触し、搬器全体が通電状態となった。その直後、Aは、ケーブルの撤去作業の前に安全帯のフックを搬器の枠に掛けようと左手で鉄製の枠を握ったため、感電し被災した。ケーブルの切断面は、テーピング等による感電防止処理はされず、剥き出しのままであった。

ケーブルの撤去作業は停電状態で行われる前提であったが、作業手順書では、念のために、まず検電作業を行い、停電状態を確認した上で高所作業車を使って撤去作業を行うことになっていた。午前中の作業では作業手順どおりに検電作業の後、撤去作業が行われたが、午後の作業では、ケーブルの撤去作業前の検電作業が省略されていた。

ところが、午後の作業現場のケーブルは未だ通電状態となっており、しかも、Z社の現場責任者が、停電状態であると勘違いし、作業者に誤った指示をしていた。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 発注者および請負事業者間の連絡が不十分であったため、通電状態のまま作業が行われたこと

災害発生当日は、通電状態のままになっており、感電の危険があった。このように安全上の重要な情報について関係事業者間の連絡が不十分であったため、配線担当の現場責任者に伝わらず、停電状態と勘違いしたまま作業指示が行われた。

2 作業手順書に従わないで、作業を行ったこと

作業手順書では、ケーブルの撤去作業開始前に検電作業を行うことになっていたが、作業手順書に従わずに検電作業を省略して作業を始めた。

3 ケーブルの切断部分に感電防止処理が施されていなかったこと

ケーブルの撤去作業は、停電状態で行われる前提であったため、切断面がテーピングされる等の処理が施されていなかった。

【対策】

1 電気工事は、停電状態で行うことが原則であり、特に複数の事業者が介在する電気工事においては、通電・停電の確実な連絡を行うこと

今回のように、複数の施工業者が作業する場合には、発注者から末端の下請まで通電・停電の連絡を確実に行うことは、災害防止には不可欠である。

2 作業手順書に従って作業させること

この工事では、停電状態で作業を行うことになっており、作業前に検電して停電状態を確認するという作業手順が決められていた。これは、感電防止対策として重要であり、作業者には作業手順を守るよう周知徹底するとともに、作業手順どおりの作業を行っていることを現場責任者が確認することが重要である。

3 ケーブルの切断部分に感電防止処理を施すこと

停電状態での作業が前提であっても、ケーブル切断部分にはテーピング等により絶縁処理を行っておくことも重要である。

【業種】

電気通信工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101037より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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建築資材倉庫において、天井走行クレーンのトロリ線に接触し、感電して死亡した

   

【労災発生状況】

この災害は、木造家屋建築工事用資材を収納する倉庫において角材を棚の上に積み上げているときに発生した感電災害である。

災害発生当日は、作業者AとBの2人が資材倉庫2階の通路付近に立て掛けてある10cm×20cm×長さ4mの角材18本が通行の邪魔になるので、天井走行クレーンで1階に下ろした後、1階北側の棚に積み上げる作業を行うことにした。

午後2時過ぎに角材を1階にすべて下ろし終えたので、18本の角材を1度で棚に積み上げようと、1階の天井走行クレーンを用いてBがクレーンの操作と玉掛けを行い、Aが補助者となり、角材18本を崩れないようにバンドで束ねたうえで棚の位置までつり上げたが、クレーンの揚程の制限からこれ以上巻き上げることができず、荷を棚に下ろすことが出来なかった。

そこで、クレーンでつり上げる角材を9本に変更してやり直し、バンドで結束された9本の角材を棚に下ろした後、残り9本を1本ずつその上に手積みしたが、そのままにしておくと崩れるおそれがあり危険なので同様にバンドで両端を束ねることとした。

Aが手積みした角材の上に乗り角材の束の一端をバンドで縛り、反対側の端を縛ろうとして背をかがめて移動しているときに背中が天井走行クレーンのトロリ線に接触し感電したものである。

クレーンでの積み上げを終えた際、クレーンの電源を切ることはなく、角材を手積みしているときはトロリ線に給電されたままであり、トロリ線との接触を防止するための覆いや絶縁用防護具はなかった。

また、資材倉庫で行われている資材の運搬、積み下ろし等についての作業手順書は作成されておらず、作業方法については、監督者からの指示はなく、作業者同士が話し合って決めていた。

なお、同事業場では、作業者に対する安全衛生教育は実施されていなかった。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 角材の手積み作業時にトロリ線に接触するおそれがあるにもかかわらず、電源 を切らずに作業を行ったこと

2 通電状態のトロリ線に、絶縁用防具を装着する等の感電防止措置を講じていなかったこと

3 作業者に対し、感電災害の防止等の安全衛生教育を実施していなかったこと

4 建築資材の運搬、積み下ろし等の作業手順書を整備していなかったこと

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 天井走行クレーンのトロリ線の近くで作業する場合は、作業を開始する前に電源を遮断し、作業中のトロリ線への給電を停止すること

2 他の作業等との関係でトロリ線への給電を停止できない場合で、トロリ線に接近して作業を行わなければならない場合には、トロリ線の充電電路に絶縁用防具を装着する等の措置を講じること

3 作業者に対し、感電災害の防止等に関する安全教育を実施すること

4 建築資材の運搬、積み下ろし等の作業の安全に関する作業手順書を作成し、その内容を作業者に周知徹底すること

【業種】

木造家屋建築工事

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101038より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
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