可搬式グラインダーの砥(と)石が割れて当たり死亡
【労災概要】
この災害は、鉄骨造り建物の新築工事において、天井ボードの切断作業を行っているときに発生したものである。
当日、午前8時頃、下請業者の職長Aと作業者2人の計3人が現場に入り、前日までに終了した内装工事の後片付けをしていた。その後、12時前に、元請の担当者Bから天井に点検口を設置するよう指示されたAは、点検口の設置は自分ひとりで行うこととして、午後1時から作業を始めた。このとき、他の作業者2人には午前中に行っていた片づけ作業を続けるよう指示した。
作業は、点検口を設置する天井の下に置いた脚立と積み重ねた床材にAが乗り、可搬式グラインダーで天井に切れ込みを入れて開口部を設ける方法で行われた。作業を始めて30分ほど経過したとき、グライダーの研削砥石が天井ボード裏の金属製下地材に接触して割れ、飛来した砥石の破片が作業者に当たって被災したものである。Aは防護面などの保護具を使用していなかった。
Aが使用していた可搬式グラインダーは、砥石の覆いがなく、割れた砥石の飛来を防止することができなかった。また、砥石がグラインダーの性能に適合しておらず、最高使用周速度を超えて使用していた。
【原因】
この災害の原因として、次のようなことが考えられる。
1 作業個所の状況を確認しないまま、切断作業を行ったこと
Aは、切断する天井ボードの裏の状況を確認しないまま作業を開始し、ボード裏の金属製下地材に気づかず、これに砥石が接触して割れ、飛散した。
また、作業指示をしたBも天井ボードの裏の状況については説明していなかった。
2 研削砥石の覆いがない可搬式グラインダーを使用したこと
覆いがなかったため、飛散した砥石を防ぐことができなかった。
3 グラインダーの性能に合わない研削砥石を使用したこと
グラインダーに適合しない砥石を使用したため、砥石の最高使用周速度を超えて使用した結果、軽く接触しただけでも砥石が耐えられる以上の力が加わり飛散した。
4 保護具を使用していなかったこと
Aが防護面を使用していなかったため、負傷の程度が大きくなった。
【対策】
同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 作業開始前に現場の状況を十分に確認し、作業に適した工具を使用すること
作業を始めるに当たって、作業個所の状況を見えない部分も含めて確認し、状況に適した工具を選定して作業する。
また、作業指示者もあらかじめ状況を確認して、指示の際に確認した状況を説明する。
2 現場に持ち込む工具は、点検を行い、基準に合っていないものは使用しないこと
現場で使用する工具類は、あらかじめ点検を行い、覆いが欠けている等の不具合があるものは現場に持ち込まないようにする。
3 グラインダーに適合した研削砥石を使用すること
研削砥石には、それぞれ最高使用周速度が決められている。最高使用周速度を超える回転数で使用すると、砥石が割れるおそれがある。このため、グラインダーの回転数を確認し、適合している最高使用周速度の研削砥石を使用することが必要である。
4 必要な保護具を使用させること
作業を計画するときには、予想される労働災害を防止するために必要な保護具を決め、作業者には作業中必ず使用させる。
【業種】
鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業
【被害者数】
死亡者数:1人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)
万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
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本日も無事故で一日を終えられますように。
鉄骨をトラックから荷降ろし作業中、鉄骨が荷台上で横転し、荷台上にいた玉掛け者が鉄骨とともに転落し死亡
2022/12/16
【労災概要】
この災害は、建設工事に使用する鉄骨をトラックから移動式クレーンで荷降ろし作業を行っているときに発生したものである。
災害発生当日、トラックで現場に搬入された鉄骨(H鋼)の荷降ろし作業のため、作業指揮者A、作業者BおよびC、移動式クレーンの運転手Dが入場し、BおよびCはトラックの荷台上で鉄骨の玉掛けを担当した。
トラックへの積み方は荷台後方よりみて右側から、短尺(重量約1.5トン)、長尺(重量約4トン)、長尺(重量約3トン)、短尺(重量約1.5トン)に並べられ、それぞれ、2段に積まれた角材の上に載せられていた。
鉄骨の荷降ろし作業は、荷台の右側から順番に行われ、3本目の鉄骨をクレーンでつり上げたときに、1番左側の鉄骨が倒れ、荷台の左端にいたBが鉄骨とともに転落し、鉄骨の下敷きになって死亡したものである。
1番左側の鉄骨を支えていた角材は、トラックの走行により生じた荷台の衝撃により1段目と2段目がずれて鉄骨が不安定になっており、荷台の右側3本の鉄骨を荷降ろししたことにより荷台が傾き倒れたものであった。鉄骨が運び込まれた現場では、トラックが到着し、鉄骨の荷降ろしを開始する際および荷降ろし作業中に、鉄骨の積載状況を確認していなかった。
また、倒れた鉄骨は荷台の左端から50cmの箇所に積まれており、転落した玉掛け者Bはこの50cmの隙間に立っていたため、鉄骨が倒れたときに安全な場所へ逃げることができなかった。
【原因】
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 積み荷である鉄骨が倒れ、荷台から落下したこと
荷台の1番左側の鉄骨を支えていた角材は、トラックの走行により生じた荷台の衝撃により1段目と2段目がずれて鉄骨が不安定になっており、荷台の右側3本の鉄骨を荷降ろししたことにより荷台が傾き鉄骨が倒れた。
2 荷降ろし作業の開始前および作業中に荷台上の荷の安定状況を確認していなかったこと
3 玉掛け者が逃げることが難しい箇所に立っていたこと
【対策】
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 トラックの走行等による振動によっても不安定とならない荷の積載方法とすること
角材の使用に当たっては、角材の強度、変形などについて検討するとともに、輸送等の際の外力に対するずれや転倒の防止等を考慮した積載方法とする。また、荷降ろし作業では、荷台の左右から交互に降ろす等、荷台が傾かないように工夫する。
2 荷台上の荷の積載状況を確認した後、荷降ろし作業を行うこと
荷降ろしの際には、荷台の振動等による荷の傾き、崩れ等が生じていないかよく確認し作業を開始する。
3 クレーンで荷をつり上げる際は、玉掛け者は安全な場所へ退避すること
トラックに荷台上の荷をクレーンでつり上げる際は、つり荷の落下、荷振れ等による災害や荷台上の荷の転倒等による災害を防止するため十分なスペースがある箇所に退避した後で地切りを行う。
【業種】
鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業
【被害者数】
死亡者:1人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)
万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
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