建設業の労災事例

木造2階床梁の足場上で墨出し作業中、墜落

   

【発生状況】

この災害は、木造2階床梁の足場上で墨出し作業中に発生したものである。

この工事は、個人住宅の木造家屋2階建建築工事であり、4月1日から工事を開始し、基礎工事、軸組建方工事、屋根部分の野地張り作業等が行われていた。

災害発生当日の現場の状況は、1階および2階の床面の根太等は設けられておらず、2階床部分の梁と梁、梁と桁の間に、数枚の足場板、垂木が渡されていて、開口部がいたる所に見られる状況であった。

朝8時30分頃、現場に到着した被災者ら5人は、一階屋根部分の野地板張り作業を行っていたが、午後3時頃から雨が降り出したので屋内の作業に変更した。

その後、被災者ら5人は、建屋南側2階の床を張る作業を開始したが、被災者は梁の根太の設置のため2階床の梁部の「墨出し」作業を行っていた。

墨出し作業を開始してから約30分たった午後4時12分頃、建家南東側から「がらがらん」と音がしたのでその方向に作業員らが駆け付けたところ、被災者は、高さ約4.5mの2階床梁上の足場板とともに1階土間コンクリート床上に墜落し、横たわっていた。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1  被災者は、高さ約4.5mの2階床部分で床材の設置の作業を行うため、一枚の鋼製の足場板(長さ約4.5m×幅25cm×板厚4cm)を3本の梁の上に乗せ、5番梁上で墨出し作業を行っていたが、墜落を防止する手段として次のような措置を講じていなかったこと。

(1) 作業を安全に行うに足りる足場板を準備し、足元が安定した状態で作業ができるよう足場板2~3枚を束ねて固定してから作業を行う。

(2) 作業範囲全体に梁間を支点とする安全(養生)ネットを適切に設置する。

2 被災者は保護帽を着用していなかったこと。また、安全帯も準備していなかったこと。

3 木造建築物組立等作業主任者が選任されておらず、適切な作業方法について直接の指導や指揮が行われていなかったこと。

4 現場の工事責任者をはじめ、工事に参画した労働者全員の安全に対する意識が十分でなく、また、安全教育も行われていなかったこと。

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 2階床材の設置作業という作業の性質上、安全に作業を行うに足りる足場板2~3枚を準備し、それを梁材に固定すること。また、その上で墨出し等の作業を行うか、作業範囲全体に安全(養生)ネットを梁間を支点として適切に設置すること。

なお、作業の移動に伴って、足場板を適切に移動し、梁等に固定して使用すること。

2 工事現場に入場する作業者全員に必ず保護帽を着用させ、必要に応じて安全帯の着用と使用を励行させること。

3 構造部材の組立て、またはこれに伴う屋根下地取り付け作業を行う際には、木造建築物の組立等作業主任者の資格のある者を選任し、[1]作業の方法および順序を決定し、作業を直接指揮すること [2]器具、工具、安全帯および保護具の機能の点検、管理、使用状況の監視を行わせること。

4 定期的に作業の危険性に関する危険予知訓練、ヒヤリハット訓練など、作業員に対する安全教育を行うこと。

 

【業種】

木造家屋建築工事

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.100790より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

 

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工場の屋根に設置されたダクトの破損部分の確認・計測作業中、屋根の天窓のガラス板を踏み抜き墜落

   

【発生状況】

この災害は、機械加工工場(大型旋盤工場)の屋根に設置されたダクトの腐食部分取り替え工事の準備のため、腐食部位の確認と詳細な寸法の計測等で工場屋根を移動中に、採光用の天窓ガラス板を踏み抜いたものである。

災害発生当日、被災者の作業は、午前中には他社のダクトの調整を行い午後3時から発生現場の工場の屋根(高さ10m)に同僚と2名で上がり、腐食したダクトの取り替え部分の確認と取り付け位置の測定を行うものであった。

計測作業は、被災者が寸法を計測し、同僚が手帳に記録するもので、まず工場屋根の東側の2カ所を計測した。その後、西側の3カ所を計測するために屋根の上を歩行中、天窓のガラス板を踏み抜き工場内の大型旋盤の上に墜落したものである。

機械加工工場は、隣接工場(6階建)の北側に付設して建築されており、鉄骨造で屋根は片流れ5°の勾配で、屋根用波形鋼板(折板鋼板 30cmピッチ)が使用され、地上までの高さは10mであった。

工場の屋根には、天窓(幅630mm 長さ9.25m)が6mの等間隔で9カ所設けられていたが、このうち東側の6カ所は鋼板で塞がれていたものである。

踏み抜いた天窓のガラス板は、粉じんなどの付着により汚れが激しく、塞いだ天窓の鋼板や工場屋根の波形鋼板などと同色となっており、見分けのつきにくい状態であった。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 事前の作業の打ち合わせをせず高所作業に従事したこと

事業者は、作業の開始にあたって作業者に作業場所の状況を説明せず、具体的な危険箇所の確認を怠っていた。

作業者2名も発注者側に連絡・調整をしないまま、工場の屋根に上がり作業場所の状況の説明を受けずに作業を開始した。

2 踏み抜いた天窓のガラス板が屋根の他の部分と見分けられなかったこと

天窓には、通常の板ガラスが使用されていたが、汚れが激しく鋼板により塞がれていた天窓部と同じような色に変化しており、被災者は見分けがつかなかったと見られる。

3 踏み抜き・墜落防止のための措置を行わなかったこと

天窓を踏み抜くことを防止するための防網の設置、ふた板の設置などの措置がとられていなかった。(天窓に強化ガラスなどが使用されていない。)

4 安全教育が実施されなかったこと

事業者は、日常の作業に関わる一般的な注意を作業者にしていたが、個別の作業や工事の危険について認識が低く、また、不安全行動や不安全状態に対する対策・知識を有さず、 安全教育を実施していなかった。

【対策】

同種災害を防止するためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 作業開始前の打ち合わせの徹底をはかること

発注者と請負った事業者との連絡・調整を確実に行い、当日の作業の方法や危険箇所の指示や確認を作業現場に徹底することが必要である。

2 踏み抜き防止対策の徹底をはかること

踏み抜き・墜落のおそれがある天窓、開口部についてはその危険を排除するため、防網もしくはふたを設置し、標識を設置する必要がある。また、作業中に工場屋根の端部に立ち入ることも予想されるので、親綱を設置し安全帯を使用させるなど、天窓のみでなく屋根からの転落防止対策をあわせて行う必要がある。

3 安全教育の徹底をはかること

高所作業に関して安全な作業手順の策定をし、安全な作業の方法、作業の危険性、不安全行動や状態、安全な設備、保護具の使用などについて、作業者に具体的な安全教育を行う必要がある。

4 屋根のダクトの点検・整備は、定期的に実施されるので安全な点検通路を確保するとともに、天窓そのものの安全化を図ること

屋根に安全な点検通路を設置し表示する。

工場の天窓としての機能は汚損により損なわれているので、天窓の廃止(鋼板による閉塞)もしくは恒久的な金網の設置、強化ガラスの設置などを検討する必要がある。

【業種】

建設設備工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.100792より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

 

 

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