建設業の労災事例

下水道工事現場で残土排出用バケット車の下敷きになり死亡

   

【労災概要】

この災害は、下水道工事現場のずい道内において、掘削残土を排出する作業中に発生したものである。

この工事現場では、土圧式推進工法で掘削を行っており、掘削した残土をバッテリーカーで牽引したバケット車で搬出していた。

災害発生当日、下請Z社の作業者Aは、同僚の作業者3人、元請の現場代理人Bおよび下請Y社の作業者Cとともに現場に入った。作業分担は、バッテリーカーの運転をCが行い、AはCに合図する役割であった。当日の作業を終了するまで約1時間となったとき、CがAの合図で、バッテリーカーを徐々に後退させていたところ、最後尾のバケットが軌道の終端から落下し、Aは、転落したバケットの下敷きとなった。Aは救出されて病院に搬送されたが、死亡した。

災害が発生した工事現場では、軌道の終端に車止め装置を設置しておらず、施工計画書も軌道の終端に車止め装置を設置する内容となっていなかった。また、関係作業者も軌道の終端でバケット車を確実に止める方法について確認していなかった。

しかも災害発生当日、Aは、軌道の終端という危険な位置に立ちCに合図を送っていた。

なお、Cは動力軌条運搬車等の運転業務に係る特別教育を受けておらず、元請のBもCの特別教育実施の有無等について確認していなかった。

【原因】

この災害の原因として、次のようなことが考えられる。

1 バッテリーカーの軌道の終端に、確実な車止め装置が設置されていなかったこと

2 合図者が、軌道の終端の危険な位置に立っていたこと

3 バッテリーカーの運転者が、動力軌条運搬車等の運転業務に係る特別教育を受けていなかったこと

【対策】

同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 軌道の終端には確実な車止め装置を設けること

工事施工計画には、軌道の終端に車止め装置を設置することを含めるとともに、工事開始後は、車止め装置が有効であるか点検することが必要である。

2 軌道装置の運転者への合図の方法を関係者に周知徹底すること

軌道装置の運転者への合図について、合図者の立つ位置や合図の方法を定め、関係作業者に周知徹底する。また、定められた位置や方法で合図が行われていることを定期的に点検し、確認することも重要である。

3 軌道装置の動力車の運転は、有資格者に行わせること

軌道装置で使用するバッテリーカー等の動力車の運転は、動力軌条運搬車等の運転業務に係る特別教育を受けた者に行わせなければならない。

【業種】

トンネル建設工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

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農業用水管の敷設替え作業中、掘削溝の法(のり)面が崩壊した

   

【労災概要】

この災害は、道路舗装工事に伴う農業用水管の敷設替え作業を行っているときに発生したものである。

災害発生当日、工事現場には7人の作業者が集まり、午前8時より朝礼を行った後、溝の堀削、既設の用水管及びヒューム管の撤去、新しい用水管と防護管の敷設、堀削溝の埋戻しの各作業を順次行った。午後も午前中と同様な手順で作業を進め、新しい用水管と防護管の敷設を行っていた。

午後の作業を始めて1時間半ほど経過し、作業者AとBの2名が堀削構(深さ約1.7m)内で防護管の敷設作業をしていたとき、堀削溝の片側の地表に亀裂(幅0.6~0.8m、長さ3m)が発生したことに気づいた職長Cとドラグ・ショベル運転者DがAとBに逃げるよう叫んだ。その直後、堀削溝脇の地表部分が亀裂に沿って崩落し、AとBは掘削溝に流れ込んだ約2.5m3の土砂により生埋めとなり死亡したものである。

この工事現場では、過去の道路工事や管敷設工事で掘削と埋戻しが繰り返し行われていた。周辺の土質は水を通しにくい粘土質であり、既設の水管からの漏水や地山からの湧水等により粘土質の層と埋め戻した部分との境目に亀裂を生じやすくなっていたが、工事を請け負った元請では、掘削個所周辺の漏水や湧水等の状況、過去の工事による埋め戻しの状況について、事前に確認をしていなかった。そのため、現場に適した土止め支保工等が設置されないまま掘削溝内での作業が行われた。

また、元請や下請では、この工事の工事計画書や作業手順書を作成しておらず、作業者に対し、掘削作業や掘削構内での作業における危険性等に関する安全衛生教育を行っていなかった。

【原因】

この災害の原因として、次のようなことが考えられる。

1 堀削個所の亀裂の状況、湧水等の状況などの点検、確認をしていなかったこと

2 堀削溝周辺は崩壊しやすい状況にあったにもかかわらず、適切な土砂崩壊防止措置を講じずに掘削構内で作業を行わせたこと

3 地山の堀削、溝内作業等について、工事計画書や作業手順書を作成していなかったこと

4 作業者に対し、掘削作業や掘削構内での作業における危険性等に関する安全衛生教育を行っていなかったこと

【対策】

同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 地山の堀削作業を行う場合は、あらかじめ作業個所および周辺の地山の地質、地層の状況、亀裂、湧水、漏水等の状況を点検し、安全な作業方法や手順を確認しておくこと

2 崩壊のおそれのある堀削した溝内での作業は、あらかじめ土止め先行工法を採用するか、土止め支保工を設置した後で行わせること

3 地山の堀削作業及び堀削溝内での作業は、あらかじめ工事計画書を作成し、作業手順書に従って作業させること

4 現場の責任者及び作業者に対し、掘削作業や掘削構内での作業における危険性および安全な作業方法、手順等についての安全衛生教育を実施し、安全に対する意識の向上と安全衛生管理の徹底を図ること

5 元請の現場管理者は、関係請負人の現場監督者に対し、作業個所の土砂崩壊防止措置に関する適切な技術上の指示、指導が行われるよう管理監督者教育を実施し、現場の安全衛生管理を徹底することも必要である

【業種】

道路建設工事業

【被害者数】

死亡者数:2人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

 

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