建設業の労災事例

河川護岸工事において、川岸斜面にコンクリート基礎部を構築するため生コンを入れたホッパーでコンクリート打設中に落雷

   

【発生状況】

この災害は、ブロック積による河川護岸工事において発生したものである。

災害発生当日、午前中に護岸斜面における型枠組立を行い、午後からは型枠への生コン打設する予定であった。午前中に型枠組立作業が終了し、午後1時より、予定どおり、ホイールクレーンでつるしたホッパーにより、トラックに積載した生コンの打設作業を開始した。15時00分過ぎに2台目の生コンの打設が終了したところで、雨が本格的に降り出し、現場代理人がクレーンオペレータ以外の作業員にブルーシートでコンクリートを養生するよう指示した。15時15分頃、雨がさらに激しくなり、現場代理人の指示により作業を中止した。その後、雨もパラパラ程度の小降りとなり、空模様も明るくなったので、現場代理人は天候も回復に向かうと判断し、3台目の生コンの打設作業を開始したところ、15時45分、生コン打設中に突然「バシャー!」という轟音とともに落雷があり、ホッパーを操作していた3名、バイブレーター操作者1名、コンクリート表面仕上げ作業者1名の計5名が電撃症による熱傷等により負傷したものである。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 工事現場から遠方とは言え雷鳴が聞こえていたこと、ホイールクレーンのブーム先端の高さが地面から24.8mもあり、他の近隣の建物等に比較して最も高所にあり、落雷を一番受けやすいと考えられることなどの現場状況から、落雷発生の可能性があるにもかかわらず、被雷の危険性を考慮せず作業を再開したこと。

2 落雷発生の可能性が高い場合には、最寄りの気象台等に連絡して、作業場所近辺の雷の発生状況や雷雲の移動状況等の気象情報を確認し、また現場においても、しばらく天候の状況を観察し、落雷の危険性の有無を判断してから、作業の開始あるいは中止を決定すべきであるにもかかわらず、落雷の危険性を十分に確認せずに作業を開始したこと。

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 工事現場で降雨があり、更に雷鳴が聞こえていたこと、現場付近ではクレーンのブーム先端が他の建物等に比較して最も高所にあり、落雷を受けやすい可能性があることなど、現場での状況を十分に配慮し、被雷の危険性を十分に考慮して作業の再開あるいは中止の判断をすること。

2 落雷による危険を回避するためには、日々の気象情報をチェックし、また、天候の急変が発生した場合には、雷鳴の大小及び発生地点の遠近に関係なく、即座に作業を中止するとともに、最寄りの気象台等に連絡して、作業場所近辺の雷の発生状況や雷雲の移動状況等の気象情報を確認すること。また、現場においても、しばらく天候の状況を観察し、落雷の危険性の有無を判断してから、作業の開始あるいは中止を決定する必要があること。

【業種】

河川土木工事業

【被害者数】

休業者数:5人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.100967より一部抜粋

 

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