建設業の労災事例

吊り足場用部材を作業構台上に仮置き作業中、作業構台が倒壊して、構台上の作業者2名が被災

   

【発生状況】

この災害は、橋梁補修工事に使用する足場部材を作業構台上に荷揚げ作業中、作業構台が倒壊したものである。

作業は、中洲に作業構台を組み立て、橋上に配置したラフターレンクレーンを使用し、地上にある吊り足場用部材を作業構台上に一旦仮置きした後、作業構台から橋脚へ手渡しで搬入する計画であった。

災害発生当日午前中、吊り足場用部材を仮置きするための作業構台を中洲に組み立てた。午後から、橋上にラフターレンクレーンを配置し、吊り足場用部材を作業構台に仮置きする作業にとりかかった。

部材の吊り降ろし作業中、9回目の部材を仮置きした際に、作業構台の東側の根太単管が約10cm程たわんだことを被災者Fが確認している。(図)

しかし、その後も、そのまま作業を続け、13回目の吊り足場用緊結金具の入ったドラム缶を仮置きし、14回目の緊結金具の入ったドラム缶を仮置きするため、吊り下ろそうとしていたとき、作業構台の上部床面が北側へ少しずつ水平に移動し、作業構台が平行四辺形状に変形が進み、横倒れ状態で倒壊した。作業構台の上で作業していた被災者Eは、倒壊した作業構台の下敷きになって死亡、また、同Fは打撲傷を負った。

【原因】

この作業構台の倒壊の原因としては、次の様なことが考えられる。

1 建枠の枠面方向(交差筋交い直行する方向)に筋交いが全く取り付けられていなかったため、構台上部が水平方向へ移動変形するのを防止するための抵抗力がなかったこと。

2 つり足場用部材を仮置きしたとき、北側への単管根太への荷重が南側へのそれよりも大きいため、北側の根太単管が大きくたわみ、作業構台の建枠の枠面方向に、このたわみによる2次的な層せん断力が生じ、これが作業構台全体を倒壊させたと推定されること。

3 地盤は、やや軟弱であったため、作業構台に部材を積載した際、その仮置き荷重の分布の状況から、沈下量が、南側の基礎部より北側のそれ大きく、上部床面に傾きが生じる可能性があり、作業構台にとって、より不安定な要素となったこと。

4 被災者が組み立てを終えたときに交わした会話から、作業構台は既に不安定であったこと。

5 作業構台の最大積載荷重を定めておらず、作業員に見やすい場所に掲示す等の周知はなされていなかったこと。

6 作業構台を組立てる前に、組立図を作成せず、組立てたこと。

【対策】

同種災害を防止するためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 作業構台を設置するとき、元請が配置位置を計画し、また、組立図を作成するときは、最大積載荷重を設定して構台の構造等を決定し、部材各部の強度および倒壊防止対策の検討を行い、下請業者に組み立ての仕事を受注させること。

2 下請業者に作業構台の設計および組み立てを請け負わせるときは、元請業者が作業構台の設置位置を計画し、下請業者は、これにより強度計算書および組立図を作成し、元請業者は、設計図書の安全性および、組立終了後、組立図に従い組立てられていることを確認すること。

3 作業構台の計画においては構造等に応じ定めた最大積載荷重をよく見える場所に掲示し、関係者に周知させること。

4 作業構台を組み立てた時に点検して危険が認められるときおよび作業中に作業構台に異常なたわみ、変形等が認められるときは、直ちに倒壊防止のための補強を行うこと。

5 元請事業者と関係請負人は、共同し作業場所の危険性の有無の確認を日常的に行い、安全管理を徹底すること。

【業種】

橋梁建設工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

休業者数:1人

 

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.100619より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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休憩時間に吊り足場を移動中、川に墜落

   

【発生状況】

この災害は、橋梁塗装工事用の吊り足場解体作業において発生したものである。

この現場では橋梁の塗装工事が行われていたが、それが終了したので作業用吊り足場の解体作業が始められており、前日までに墜落防止用の防網等は撤去されていた。

災害発生当日は、吊り足場板の解体・撤去作業が行われることになり、2次下請3社の7名の作業員により災害発生時までに足場板緊結用の番線の切断、足場板の取外しと移動式クレーンによる搬出のための積み重ね作業等が行われていた。

2次下請に所属する被災者は、職長の指示により午後2時頃から船が通る際の目印としていた赤布(20cm)の取外し作業を一人で行っていたが、午後3時の休憩になったので作業を行っていた足場板の上で休憩をしていた。

被災者の近くの足場上では、他の4名の作業員が休憩をしていたが、そのうち一人が被災者に側に来るように声を掛けた直後に「ぼちゃん」という音が聞こえたので、被災者の居た箇所を見たところ、足場上に姿はなく川に墜落していた。

その後、4名は、救出作業を試みたが被災者を発見できなかったので、消防署へ通報しレスキュー隊が捜索したところ川底にいた被災者を発見して引き上げたが、すでに溺死していた。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 墜落防止措置を行っていなかったこと

被災者が行っていた吊り足場の番線切断、船舶用の目印の取外し箇所は、川の水面から2m以上の箇所で解体作業中に墜落による危険があったにもかかわらず、安全帯を使用させていなかった。

なお、解体作業時に安全帯を使用するための吊りチェーンはあったが、移動の際に安全帯を掛けるための親ロープ等の取り付け設備は設けられていなかった。

2 未成年者に高所で作業を行わせたこと

被災者は、雇入れ後9日しか経過していない18歳未満の者であり、しかも鳶職の経験もないのに墜落危険のある場所で作業を行わせていた。

3 作業計画が作成されていなかったこと

この工事現場では、足場の解体作業の手順等についての作業計画を定めないまま作業を行わせていた。

4 統括安全管理等が不十分であったこと

この現場では3次までの重層構造で作業が進められていたが、元方事業者による連絡調整、指導援助が十分に行われていなかった。

また、足場の組立等作業主任者は、安全帯の使用状況監視等の職務を履行していなかった。

なお、被災者を雇用する事業者は、作業者に対して墜落災害対策等に関する安全教育を実施していなかった。

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 吊り足場の組立、解体等の作業を行わせるときには、作業者に安全帯の使用など墜落を防止するための措置を徹底すること

安全帯の使用については、作業時だけでなく移動の際も確実に取り付けができるよう親綱を張ること等を行うとともに、その使用方法を教育訓練する。(安衛則第519~521条関連)

2 18歳未満の者を足場の解体・変更等の作業に従事させないこと

満18歳に満たない者は、足場の解体・変更(地上または床上における補助業務を除く)等の作業には従事させない。(労基法第62条・年少則第8条関連)

3 作業主任者の職務を確実に履行させること

吊り足場の組立・解体の作業を行う場合には、足場の組み立て等作業主任者を選任し、作業方法および労働者の配置を指示するとともに、安全帯や保護帽の使用状況の監視などの職務を確実に履行させる。(安衛則第566条関連)

4 統括安全管理等を実施すること

元方事業者は関係下請業者を含めた安全協議組織を設置し、作業に関する連絡調整を行うとともに、作業場所を巡視し必要な指導援助を行う。(安衛法第30条関連)

また、労働者を雇用する事業者は、あらかじめ墜落危険とその防止対策等について安全教育を実施する。(安衛法第59条、安衛則第35条関連)

 

【業種】

橋梁建設工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

 

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.100620より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

 

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