建設業の労災事例

コンクリートブロック壁の解体中に壁が倒壊し死亡

   

【労災発生状況】

この災害は、鉄筋コンクリート造建屋の改修工事において、コンクリートブロック壁の解体作業を行っているときに発生したものである。

災害発生当日、午前8時頃から現場作業者全員が集合し、元請業者のY社による朝礼と危険予知活動を実施した後、下請業者のZ社の職長および作業者A~Cの4名は、地下1階に下りて、旧機械室と旧自家発電機室との間仕切りの鉄筋コンクリート壁、旧自家発電機室と通路との間仕切りのコンクリートブロック壁等の解体作業を開始した。

午前中、鉄筋コンクリート壁の解体を終え、午後、Aは、コンクリートブロックの解体を行うため、足場を架設し、天井との接合個所をハンマーで取り壊した。一方、Bは、壁の下部(床上40cmの位置)に横方向一列に孔をあけた後、Aと二人で残っている壁をハンマーで繰返し叩いていたところ、突然壁が2人の方に倒れかかってきた。Bはとっさに横に逃げたが、Aは倒れた壁の下敷きとなって死亡した。Y社、Z社とも、壁の解体作業について、壁の倒壊による危険性を考慮した作業手順書を作成することなく、作業者に作業を行わせていた。このため、コンクリートブロック壁の解体作業中、倒壊を防止する措置は講じられていなかった。また、Y社、Z社とも、関係作業者に対して、壁の解体作業の危険性等について教育を実施しておらず、当日の朝礼でも安全な作業方法についての指示はなかった。

【原因】

1 壁の上部を取り壊し、下部に孔をあけた際、壁の倒壊を防止する措置を講じていなかったこと

2 壁の解体作業について、壁の倒壊による危険性や安全な作業方法等を盛り込んだ作業手順書を作成することなく、また、これをもとに関係作業者に対し安全衛生教育を実施することなく作業を行わせたこと

【対策】

同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 壁の解体作業を行う場合で、倒壊による危険が予想されるときは、壁の倒壊防止措置を講じること

壁に人力で衝撃を加える、押したり引いたりする等により解体作業を行う場合は、壁の倒壊による危険が予想されるため、作業前に必ず、ワイヤロープ、チェーンブロックを使用する等により、壁の倒壊防止のための措置を講じること

2 壁の倒壊による危険性や安全な作業法等を盛り込んだ作業手順書を作成し、これをもとに関係作業者等に対し、安全衛生教育を実施すること

壁のはつり・解体作業を行う際は、壁の倒壊による作業者の危険を防止するため、あらかじめ、壁の形状、作業場所等を十分に確認し、適切な作業方法を盛り込んだ作業手順書を作成し、工事責任者および関係作業者に対し、安全衛生教育を実施すること。さらに、工事責任者が作業開始前に関係作業者に対し安全な作業方法の指示、指導を徹底する。

【業種】

鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

 

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101110より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の 札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

 

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鋼管骨組みから防護シートを取り外す作業中に墜落し死亡

   

【労災発生状況】

この災害は、6階建て鉄筋コンクリート造りのビル解体工事において、防護シートの取り外し作業を行っているときに発生したものである。

災害発生当日、予定されていた作業内容は、鋼管を組み合わせて作られた「骨組み」から防護シート(防じん・防音用シート)を取り外す作業と「骨組み」を解体する作業であり、防護シートの取り外し作業を請け負った3次下請の作業指揮者Aおよび作業者B~Eの計5人により作業が始められた。

Aは、C~Eに「骨組み」に上って防護シートを取り外す作業を、Bに地上で防護シートを受け取る作業をそれぞれ指示し、A自身はC~Eとともに「骨組み」に上って防護シートの取り外しに取り掛かった。まず南面の防護シートの取り外しを終え、次に東面の作業に取り掛かって間もなく、Bが「骨組み」に上ってC~Eの作業を補助しているのを見つけたAは、Bに地上に戻るよう指示したところ、その直後、Bは足を滑らせて約8m下の地上に墜落した。Bは直ちに病院に搬送されたが、死亡した。

当日、ビルはすでに解体されており、防護シートを取り付けた「骨組み」が工事現場を囲うように設置されていた。解体されたビルと周辺の建物との間隔が狭かったため、元々、足場ではなく鋼管を組んだだけの「骨組み」として設置されており、防護シートの取り外し作業が1日のみであったため、足場の設置等、墜落防止措置が講じられない作業計画になっていた。

また、Aは、「骨組み」に上って作業する際に安全帯を使用するよう指示しておらず、A~Eはいずれも安全帯を着用していたが、Bはこれを使用していなかった。

【原因】

この災害の原因として、次のようなことが考えられる。

1 足場の設置等の墜落防止措置が講じられていなかったこと

高所で防護シートの取り外し作業を行っていたにもかかわらず、足場の設置、安全帯の使用等の墜落防止措置を講じていなかった。

2 作業指揮者が安全帯の使用を徹底していなかったこと

作業者は安全帯を着用していたが、作業指揮者Aは安全帯の使用を徹底せず、安全帯の使用は作業者まかせとなっていた。そのため、安全帯を使用していなかったBは、足を滑らせた際にそのまま8m下の地上に墜落した。

3 安全衛生管理が不十分だったこと

災害が発生したビル解体工事現場は、元請、1次下請、2次下請、3次下請の重層請負体制となっており、防護シートの取り外しの作業を足場を設置せず、安全帯の使用も徹底しないで実施する作業計画とする等、安全衛生管理が十分に機能していなかった。また、作業指揮者の指示や監督も不十分であった。

 

【対策】

同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 高所作業を行う際には足場の設置等の墜落防止措置を講じること

防護シートの取り外し作業等、高所作業を実施する際には、足場を設置して作業を行わせることが原則であるが、これが困難な場合には、安全帯を使用できる設備を整備するとともに、作業者に安全帯の使用を徹底する必要がある。

2 安全衛生管理を十分に実施できる体制とすること

重層請負体制となっている工事現場では、安全管理の指揮、監督権限を有する者を明確にし、作業における安全衛生管理体制を確立したうえで、元請が指導して、作業における具体的な安全衛生管理上の措置を徹底することが重要である。

【業種】

その他の建築工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101111より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の 札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

 

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