建設業の労災事例

床掘りした箇所にコンクリートを打設する作業中に法面が崩壊して被災

   

【労災発生状況】

この災害は、道路災害復旧工事現場において、道路面から約8m下の床掘りした箇所にコンクリートを打設する作業中、法面が崩壊し、コンクリートの打設作業に従事していた作業者3名が被災したものである。

当該災害現場は、既存水路のずい道上の道路が豪雨により崩壊したため、ブロック積の擁壁を設置し、重力式擁壁、一般基礎、アーチ補強などで補強の上、舗装をする道路復旧工事現場であった。法面は災害発生より約2カ月前の掘削により、道路東側に水道管があることが分かり、本来5分(約63度)で掘削するところが、法面の角度が3分(約73度)から2分(約78度)の急勾配になっていた。現場責任者はこの水道管について問い合わせをしたが、対処されないまま工事が進められた。

災害発生当日、道路西側の基礎部分にコンクリート打設のため、生コンをドラグ・ショベルのバケットで投入していた。被災した作業者A、B、Cの3名は、道路から約8m下の床掘りした個所に基礎コンクリートを打設する作業に従事していた。1台目の生コン車が工事現場を出て行こうとするときに、打設していた基礎部分の東側法面上部が崩壊し、3名が被災した。

【原因】

1 崩壊した地山は、過去に盛土した粘土混じりの土で、前日の降雨により、もろくなり崩壊しやすい状態であったこと。

2 地山の掘削作業を行うにあたって、その日の作業を開始する前に浮石、および亀裂の有無の状態、ならびに含水、湧水及び凍結の状態を点検していなかったこと。

3 道路東側の水道管について、計画の変更の必要性の有無を判断しないまま、掘削を進めたため、本来5分(約63度)で掘削すべき個所が、上部が水道管のところまでの掘削となり、実際の法面勾配が3分(約73度)から2分(約78度)の急勾配となってしまったこと。

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 地山を安全な勾配とし、落下のおそれのある土砂を取り除き、または擁壁、土留め支保工等を設けること。

2 地山の崩壊の原因となる雨水、地下水等を排除すること。

3 明り掘削の作業を行う場合、地山の崩壊を防止するために、点検者を指名してその日の作業開始前に浮石、および亀裂の有無及び状態ならびに含水、湧水および凍結の状態を点検させること。

4 埋設物等により工事の変更を要する場合には、掘削の勾配、使用する機械および作業方法等について、十分な検討を行い、安全な作業計画を作成したうえで作業を行うこと。

【業種】

上下水道工事業

【被害者数】

休業者数:3人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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