建設業の労災事例

屋外プラントの床を溶断作業中、近くの作業者が金属ヒュームを吸って中毒になる

   

【労災発生状況】

この災害は、ガラス工場の屋外プラントの床補修工事において発生したものである。
災害発生当日、作業者A~Cの3人は、ガラス工場の屋外プラントの床をアセチレンガスで溶断し、撤去する作業を行っていた。
作業は、まずBとCが鉄製の床を撤去しやすい大きさにアセチレン溶断し、それをAが撤去・はつり作業を行うというもので、朝から作業を開始し、午後も作業を継続した。
午後の作業を開始して間もなく、Aは体調不良を覚えたため、工場内の診療所に行ったところヒューム熱と診断され治療を受けたが、回復しなかったので、近くの病院に搬送され、さらに治療を受けた。
災害が発生した場所は壁のない屋外プラントであったが、アセチレン溶断を行っていたBおよびCは呼吸用保護具としてエアラインマスクを使用していたのに対し、Aは防毒マスクを使用し、しかも暑いため作業中に何度か着脱を行っていた。
工場では、屋外プラントの床補修工事を行うに当たり、アセチレン溶断で発生する有害ガスや金属ヒュームへの対策を含めた作業計画書を作成していなかった。また、関係作業者に対し、安全衛生教育を実施していなかったため、アセチレン溶断作業の危険有害性についての作業者の認識が乏しかった。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 有害ガスや金属ヒュームが発生する近くで適切な保護具を使用しないで作業していたこと

アセチレン溶断は、有害ガス、金属ヒューム等が発生する有害な作業であるにも関わらず、近くいたAはエアラインマスクを使用しないで、防毒マスクを使用して作業を行っていた。さらに、保護具の着用方法、効果に関しての教育・訓練が行われていなかったためAは、ときどき防毒マスクを外して作業を行っていた。

2 作業計画書を作成していなかったこと

作業における安全衛生対策等を含めた作業計画書を作成していなかった。

3 安全衛生教育を実施していなかったこと

作業者に対し安全衛生教育を実施していないため、作業者がアセチレン溶断作業の危険有害性に関する十分な認識がなかった。

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 適切な保護具を使用させること

アセチレン溶断作業を行わせる場合には、有害ガス、金属ヒューム等の発生による健康障害を防止するため、作業者にエアラインマスクを使用させる。 また、呼吸用保護具については、正しい装着方法とともに、作業中に外さないこと、外す場合には作業場所の風上等の安全な場所で外すこと等について作業者に教育、訓練を行い徹底する。

2 作業計画書を作成すること

有害ガス、金属ヒューム等が発生するアセチレン溶断作業を行う際は、安全な作業を行うための作業計画書を作成し、その内容を関係作業者に徹底する。

3 安全衛生教育を実施すること

関係作業者に対し、アセチレン溶断作業の危険有害性と保護具の使用等、その対策について十分な安全衛生教育を行う。

【業種】

その他の建築工事業

【被害者数】

休業者数:1人

 

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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