焼却炉でゴミを燃やしていたところ、作業服に引火し、死亡
【労災発生状況】
この災害は、寄宿舎前の駐車場敷地内において、管理人Aが焼却炉で寄宿舎のゴミを焼却していたところ、発生した火の粉がAの作業服に燃え移り、火傷により死亡したものである。
災害発生当日、Aは、いつものように寄宿舎に寝泊りする作業者達を送り出したあと、寄宿舎内の清掃に取りかかった。約4時間後、Aは、清掃中に回収したゴミを焼却炉で燃やしはじめたところ、火の勢いが強くなり、舞い上がった火の粉がAの作業服に燃え移って火傷を負った。Aは病院に搬送されたが、その後死亡した。
Aが、被災時に着用していた作業服の材質はポリエステル65%、綿35%のものであり、ほかにゴム手袋と布製の作業帽を着用していた。
焼却炉は、ドラム缶の天板を取り外し、下部に通風孔を開けたものを使用していた。また、焼却炉で燃やしたゴミは、Aが各居室のゴミ箱から回収したもので、中身を確認しないまま大きいビニル袋に入れ、焼却炉に投入していた。
なお、Aは、ゴミの焼却に当たり、防火用水や消火器は用意していなかった。
【原因】
1 作業計画の作成時に安全の検討が不十分なまま、安易に活線作業を行ったこと
Z社では全体の作業計画を作成する際、饋電線への絶縁用防護管の装着を夜間作業や短時間の停電作業で行う方法について十分検討することなく、安易に活線作業を行ったため感電災害につながった。
2 作業指揮者が監視の業務を果たせなかったこと
当日は、Z社が現場に派遣した作業指揮者は1人であり、ほかに監視人がいなかったため、複数の架線柱で同時に行われた活線作業をすべて監視することができなかった。
3 作業開始前の打ち合わせで伝達や指示が十分に行われなかったこと
作業発生当日の朝礼において、活線作業における感電防止の措置や安全上の留意事項に関する伝達や指示が十分に行われなかった。
【対策】
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 作業の安全確保を十分に検討した上で、より安全な作業計画を作成すること
高圧電路、低圧電路を問わず作業中の感電を防止するためには、停電作業とすることを原則とし、作業計画の作成時に、停電作業の可能性について、発注者である鉄道会社と打ち合わせることが重要である。なお、やむを得ず活線作業とする場合には、作業個所の防護の手順、作業指揮者の配置等について十分な検討を行って安全を確保することが必要である。
2 作業指揮者等に監視を確実に行わせること
やむを得ず活線作業を行う場合は、同時に行われる作業をすべて監視できるように必要な人数の作業指揮者や監視人を現場に派遣し、活線作業が安全に行われていることを監視させる。
3 作業開始前の打ち合わせで、伝達と指示を十分に行うこと
作業開始前の打ち合わせは特に重要であり、慣れた柱上作業であっても架線柱の状況、人員配置等、現場によって作業条件が異なるので、工事指揮者は、それらを把握した上で適切な作業の指示や伝達を行う必要がある。さらに、朝礼では、ヒヤリ・ハット活動やKY活動を実施し、作業者に危険個所と安全な作業方法を確認させることも効果的である。
【業種】
電気通信工事業
【被害者数】
死亡者数:1人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)
No.101091より一部抜粋
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