事業場に付属する寄宿舎で火災が発生し、逃げ遅れた労働者が死亡
【労災発生状況】
この災害は、事業場に付属する2階建ての寄宿舎で夜間、火災が発生し、就寝中であった労働者1名が逃げ遅れて死亡したものである。
火災の発生現場となった寄宿舎は、Z社の事業場に隣接する場所にあり、4棟からなる建物には計73名が寝泊りしていた。Z社では、この事業場で数カ所の有期建設事業を請け負っており、労働者はここから社有車に分乗して建設現場へと向っていた。
災害発生当日、火災があった寄宿舎では翌日の作業に備え、ほとんどの労働者は自室で就寝しようとするところであった。寄宿舎の2階に部屋がある労働者Aは、布団が電気ストーブに触れ、着火したのに気がつき、一旦部屋の外に逃げた。その後、Aは消火を試みようと部屋に戻ったが火の勢いがさらに強まっていたことから消火を断念し、周囲の居室にいる労働者に対し廊下から大声で火災を知らせ、避難を呼びかけた。これに対しほとんどの労働者は廊下・階段伝いに逃げるか、窓から飛び降りるなどして避難したが、労働者Bが逃げ遅れ、駆けつけた消防隊員により自室で死亡しているのが発見された。
Aが使用していた電気ストーブは、A自身が購入し、居室に持ち込んだものであった。
火災があった寄宿舎には2階の廊下の中央付近に押しボタン式の火災報知機が備え付けられていたが、火災発生時には故障していて使用できなかった。また、2階の廊下には消火器が2本備え付けられていたが、労働者が使い方を知らず、使用されなかった。
【原因】
この災害の原因として、次のようなことが考えられる。
1 寄宿舎内でのストーブ等火器の使用について管理が十分ではなかったこと
2 設置されていた警報装置が故障していたこと
3 火災発生に備えた、消火器の使用方法や避難等についての訓練が行われていなかったこと
【対策】
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 寄宿舎内でのストーブ等火器の使用について規定を定め、適切に管理すること
2 警報装置は定期的に保守点検を行い、常に有効に作動するようにしておくこと
3 労働者に対し、消火器の使用方法や避難等についての訓練を行うこと
【業種】
電気通信工事業
【被害者数】
死亡者数:1人
休業者数:3人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)
No.101095より一部抜粋
万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の 札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。
本日も無事故で一日を終えられますように。
トンネル工事現場において、ダンプトラックが燃える
【発生状況】
この災害は、トンネル工事現場において、坑内に駐車していたダンプトラックから出火、炎上し、避難中の作業者が煙を吸い込んだものである。
災害発生当日、この工事現場では監督者を含め7名の作業者がおり、坑口から約800m奥の切羽部での作業と履工作業、残土処理作業等を行っていた。
作業を始めて3時間後、切羽部での作業とダンプトラックによる掘削残土の抗外への搬出作業が終了した。その日はダンプトラックの使用予定がないので、運転手は坑口から約600m入った坑内に駐車し、キーを抜いて、ダンプトラックを離れた。その30分後、ダンプトラックのエンジンルームから炎と煙が上がっているのを付近にいた作業者が発見した。坑内にいた作業者は、備え付けられていた消火器による初期消火を行ったが、火が消えなかったので、坑外へ避難した。このとき、徒歩で避難中の作業者5人が煙を吸い込み、近くの病院で手当てを受けた。
その後、到着した消防署により消火活動が行われ、鎮火した。なお、煙を吸い込んだ5人以外、人的な被害はなかった。
火が出たダンプトラックは、エンジンルーム内の排気管が外れており、排気ガスの熱でエンジンルーム内にたまっていたすすやほこりが発火したものであった。このダンプトラックは、工事現場内のみを走行し、公道を走行するための車検は受けていなかったが、トラックの所有者は公道を走行する車両と同様の定期検査を半年ごとに行っていた。また、作業開始前の日常点検は毎日行われていたものの、点検項目はブレーキ、前照灯、方向指示器等であり、エンジンルーム内の点検を行われていなかった。
このトンネル工事現場では、坑内に消火器のほか、空気呼吸器が備え付けられていたが、作業者は空気呼吸器の使用方法を知らなかった。また、坑内で火災が発生したことを想定した消火訓練や避難訓練は実施されていなかった。
【原因】
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 ダンプトラックの点検を適切に実施していなかったため、排気管が外れていたこと
ダンプトラックについては、毎朝、作業開始前の日常点検を実施していたが、エンジンルームの中は点検していなかった。そのため、エンジンルーム内で排気管が外れていることに気づかず、たまったすすやほこりが発火し、火災が発生した。
2 長時間使用しないダンプトラックを坑内に駐車したこと
当日中の使用予定がないダンプトラックを坑内に駐車したため、火災発生時に煙が坑内に充満し、作業者5人が被災した。
3 消火訓練や避難訓練を行っていなかったこと
坑内での火災を想定した消火訓練や避難訓練を行っていなかったため、初期消火や避難の際に作業者は備え付けられていた空気呼吸器を使用することができず、被害が拡大した。
【対策】
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 ダンプトラック等について作業開始前等の点検や修理を適切に行うこと
坑内で使用するダンプトラック等、内燃機関を有する機械については、火災の発生が重篤な事態を引き起こすことから、エンジンルーム内も含めて点検を行うようにする。また、走行中に音、振動等の異常を感じた場合には、直ちに坑外に移動し、原因を突き止め、必要な修理を行うことも重要である。
2 坑外の安全な場所にダンプトラック等の駐車場所を設けること
坑内で使用するダンプトラックであっても、坑外に駐車場所を設け、長時間使用しない場合は坑外に停めることが重要である。
3 坑内で発生した火災等を想定した消火訓練や避難訓練を実施すること
坑内で火災等の異常が発生したときの措置をよく検討し、その措置を作業者に周知徹底するため消火訓練や避難訓練を実施する。特に、坑内に備え付けられた消火器や空気呼吸器については、訓練を通じてその使用方法を周知させることが重要である。
【業種】
トンネル建設工事業
【被害者数】
不明
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)
No.101097より一部抜粋
万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の 札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。
本日も無事故で一日を終えられますように。
- ■前の記事へ
- トンネル工事現場において、ダンプトラックが燃える
- ■次の記事へ
- 焼却炉でゴミを燃やしていたところ、作業服に引火し、死亡