建設業の労災事例

ドラグ・ショベルが横転し、運転者が死亡

   

【労災発生状況】

この災害は、河川改修工事において、ドラグ・ショベルを使用して土嚢(土のう)を運搬する作業中に発生したものである。

災害発生当日の作業は、2台のドラグ・ショベルを使用して、右岸上に置かれた土嚢を左岸側の河川敷に運搬するものであった。

1台目のドラグ・ショベルで、右岸上にある土嚢を2袋ずつバケットのフックに繊維ロープにより玉掛けしてつり上げた後、仮設道を通り、河川敷まで運んで下ろし、そこに待機しているもう1台のドラグ・ショベルで運ばれてきた土嚢を同様の方法でつり上げて、左岸側の所定の位置まで運搬するという作業を行った。

何回目かの運搬作業のため、右岸上においてドラグ・ショベルにより土嚢をつり上げて旋回したところ、ドラグ・ショベルが横転し、3m下の河床まで回転しながら転落した。転落した際、ドラグ・ショベルの運転者は機体の外に放り出され、ドラグ・ショベルのクローラの下敷きになった。なお、ドラグ・ショベルが横転した個所の路肩には崩壊等の変化は見られなかった。

土嚢の運搬作業に当たっては、移動式クレーンや運搬車の手配を考えることなく、現場にあったドラグ・ショベルを用途外使用することを前提に工事計画書が作成されていた。また、ドラグ・ショベルによる運搬作業において、ドラグ・ショベルの構造や能力から一度に運搬できる土嚢の数をあらかじめ検討することもしていなかった。そのため、当日は、ドラグ・ショベルの運転者の感覚に頼って2個の土嚢をつり上げて旋回したとき、地面が傾斜していたこともあって、ドラグ・ショベルが横転したものである。

なお、現場で使用していた作業計画書には、土嚢運搬作業は盛り込まれていなかった。また、ドラグ・ショベルの運転者に対し、安全衛生教育を実施していなかった。

【原因】

この災害の原因として、次のようなことが考えられる。

1 ドラグ・ショベルを主たる用途以外の用途に使用したこと

2 ドラグ・ショベルの種類や能力、運行経路、作業方法について示された作業計画書が作成されていなかったこと

3 ドラグ・ショベルの運転者に対し安全衛生教育を実施しなかったこと

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 ドラグ・ショベル等の車両系建設機械を主たる用途以外の用途に使用しないこと

荷を運搬する作業の場合は、移動式クレーンやクレーン機能付き車両系建設機械等荷を運搬することができる機械を使用する。また、クレーン機能付き車両系の建設機械で荷をつり運搬する場合は、クレーン作業そのものであるので、運転資格者、玉掛け資格者の確保その他の移動式クレーン作業にかかる安全対策を講じた上で作業を行う。

なお、止むを得ず車両系建設機械を主たる用途以外の用途に使用する場合は、一定の要件を満たすつり上げ用の器具を取り付けた上で、車両系建設機械の転倒または転落を防止するため合図者を指名して、その者に合図をさせるとともに、構造、出力等に応じ、安全に作業することができる荷重を超えてつり上げないようにする等の措置が必要である。

2 すべての作業について使用するドラグ・ショベル等の車両系建設機械の能力、用途等を検討した作業計画書を作成すること

工事中に行われるすべての作業について、使用する車両系建設機械の種類、用途、能力、運行経路、作業方法を事前によく検討して作業計画書を作成する。

3 ドラグ・ショベル等の車両系建設機械の運転者等関係労働者に対し安全衛生教育を行うこと

車両系建設機械の運転操作について、安全衛生教育を行う。

【業種】

河川土木工事業

【被害者数】

死亡者:1人

 

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101086より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の 札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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移動式クレーンにつられたシートパイルに激突される

   

【労災発生状況】

この災害は、ビル新築工事現場において、移動式クレーンでつられたままのシートパイルが、近くで旋回したドラグ・ショベルがワイヤロープを引っ掛けたために振られ、作業者に激突したものである。

災害発生当日、工事現場に資材を搬入するトラックが到着したため、現場にいた複数の下請業者の作業者数人が、場内の整理を始めた。

まず、トラックが入場したときに邪魔になるシートパイルを移動式クレーンでつり上げて、既に置いてあったシートパイルの上に、つったままで仮置きした。

次に、ドラグ・ショベルを使用してトラックの搬入路を整地し、鉄板を敷いた。

その後、トラックの搬入路を確保するため、ドラグ・ショベルを移動式クレーンの脇に移動させたが、ドラグ・ショベルの運転者は、このままの状態では移動式クレーンの作業に支障をきたすものと判断し、ドラグ・ショベルの機体を旋回させた。そのとき、ドラグ・ショベルのバケットがシートパイルに掛けてあったワイヤロープを引っ掛けたため、シートパイルが振れて、近くにいた作業者に激突した。被災者は病院に運ばれたが、死亡した。

トラックが工事現場に資材を搬入するのは、当初の工事計画では災害発生の2日後となっていたが、下請業者の判断で搬入日を早め元請業者に連絡していなかった。そのため、工事現場にいた複数の下請業者の作業者だけで、方法や手順を確認することなく急遽、場内の整理を行った。

【原因】

この災害の原因として、次のようなことが考えられる。

1 ドラグ・ショベルの運転者が、周囲の安全を確認せずに機体を旋回させたこと

2 移動式クレーンでシートパイルをつった不安定な状態のまま仮置きしたこと

そのため、つり荷のシートパイルが振られて、作業者に激突した。

3 元請業者から連絡や指示がない作業を下請業者だけで行ったこと

トラックによる資材の搬入日が早まったことが元請業者に連絡されていなかったため、工事現場ではトラック受け入れの準備ができていなかった。そのため、元請業者から下請業者への連絡や指示もなく、現場では、複数の下請業者が方法や手順を確認することなく、急遽、場内の整理を行った。

【対策】

同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 ドラグ・ショベルの運転者に対し、定期的に能力向上のための安全衛生教育を実施すること

2 荷を移動式クレーンでつりさげたまま仮置きしないこと

移動式クレーンでつった荷を仮置きする場合は、荷は玉外しした状態とする。

3 関係請負業者は、元請業者が行う連絡調整、作業指示等に従うこと

(1)関係請負業者は、事前に元請業者と打ち合わせた作業および元請業者から指示された作業以外の作業は行わないことを原則とする。

(2)下請業者が予定されていない作業を行う場合には、元請業者に報告するとともに、元請業者が工事現場にいる関係請負業者と作業内容等について連絡調整を行った後に作業を行う。

【業種】

鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業

【被害者数】

死亡者:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101088より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の 札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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