建築資材倉庫において、天井走行クレーンのトロリ線に接触し、感電して死亡した
【労災発生状況】
この災害は、木造家屋建築工事用資材を収納する倉庫において角材を棚の上に積み上げているときに発生した感電災害である。
災害発生当日は、作業者AとBの2人が資材倉庫2階の通路付近に立て掛けてある10cm×20cm×長さ4mの角材18本が通行の邪魔になるので、天井走行クレーンで1階に下ろした後、1階北側の棚に積み上げる作業を行うことにした。
午後2時過ぎに角材を1階にすべて下ろし終えたので、18本の角材を1度で棚に積み上げようと、1階の天井走行クレーンを用いてBがクレーンの操作と玉掛けを行い、Aが補助者となり、角材18本を崩れないようにバンドで束ねたうえで棚の位置までつり上げたが、クレーンの揚程の制限からこれ以上巻き上げることができず、荷を棚に下ろすことが出来なかった。
そこで、クレーンでつり上げる角材を9本に変更してやり直し、バンドで結束された9本の角材を棚に下ろした後、残り9本を1本ずつその上に手積みしたが、そのままにしておくと崩れるおそれがあり危険なので同様にバンドで両端を束ねることとした。
Aが手積みした角材の上に乗り角材の束の一端をバンドで縛り、反対側の端を縛ろうとして背をかがめて移動しているときに背中が天井走行クレーンのトロリ線に接触し感電したものである。
クレーンでの積み上げを終えた際、クレーンの電源を切ることはなく、角材を手積みしているときはトロリ線に給電されたままであり、トロリ線との接触を防止するための覆いや絶縁用防護具はなかった。
また、資材倉庫で行われている資材の運搬、積み下ろし等についての作業手順書は作成されておらず、作業方法については、監督者からの指示はなく、作業者同士が話し合って決めていた。
なお、同事業場では、作業者に対する安全衛生教育は実施されていなかった。
【原因】
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 角材の手積み作業時にトロリ線に接触するおそれがあるにもかかわらず、電源 を切らずに作業を行ったこと
2 通電状態のトロリ線に、絶縁用防具を装着する等の感電防止措置を講じていなかったこと
3 作業者に対し、感電災害の防止等の安全衛生教育を実施していなかったこと
4 建築資材の運搬、積み下ろし等の作業手順書を整備していなかったこと
【対策】
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 天井走行クレーンのトロリ線の近くで作業する場合は、作業を開始する前に電源を遮断し、作業中のトロリ線への給電を停止すること
2 他の作業等との関係でトロリ線への給電を停止できない場合で、トロリ線に接近して作業を行わなければならない場合には、トロリ線の充電電路に絶縁用防具を装着する等の措置を講じること
3 作業者に対し、感電災害の防止等に関する安全教育を実施すること
4 建築資材の運搬、積み下ろし等の作業の安全に関する作業手順書を作成し、その内容を作業者に周知徹底すること
【業種】
木造家屋建築工事
【被害者数】
死亡者数:1人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)
No.101038より一部抜粋
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車両積載形トラッククレーンを用いて鉄道用枕木の積み込み作業中、クレーンのジブが鉄道架線に触れ、感電
【労災発生状況】
この災害は、Y鉄道の枕木交換作業に使用する枕木の運搬作業中に発生した感電災害である。
災害発生当日は、工事を請け負ったZ社によるX駅構内の枕木交換作業が予定されていた。
X駅構内の交換作業に使用する枕木は、W駅構内に置いてあったため、Z社の作業所長および軌道作業責任者の指示により作業者AとBの2名が車両積載形トラッククレーン(つり上げ荷重2.63t)を使用してW駅構内で積み込むこととなった。枕木の積み込み作業の分担は、Aがクレーンの運転操作を行い、Bが荷振れを防ぐため車両積載形トラッククレーンの荷台上でつり荷の枕木を押さえるというものであり、作業監視員は配置されなかった。
AとBは、枕木をトラックの荷台に16本積み込み、さらに枕木8本をつってトラックの荷台に積み込もうとした時に、Aが操作する車両積載形トラッククレーンのジブが作業場所の上に張られていた架線(22kV)に接触し、A、Bとも感電し、Aが死亡、Bは休業災害を負った。
災害発生当日の3日前に発注者であるY鉄道からZ社に「枕木をW駅構内に置くので、置き場所を確認しに来るよう」指示があったので、その日のうちにZ社の作業者CがW駅に行き、後で分かりやすいように上り線脇に枕木を積んでおくことをY鉄道の担当者に依頼していた。Cが指定した枕木の置き場所の上には、Y鉄道の上り線の架線と繋がっている架線が張られていることをCは確認していたが、Z社に戻って行った置き場所の報告では、架線の存在については触れなかった。
また、枕木の置き場所を指定されたY鉄道では、置き場所の上に張られている架線への給電停止や、絶縁用防護具の装着等の措置を講じていなかった。
なお、Z社では、従業員に対し、移動式クレーンの運転に係る資格取得を奨励し、Aも小型移動式クレーン運転技能講習を修了していたが、資格取得者以外の従業員に対しクレーン作業に係る安全衛生教育は実施していなかった。
【原因】
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 発注者であるY鉄道と工事を請け負ったZ社の連絡、それぞれの社内での報告において、安全作業に必要な情報が伝わらなかったこと
事前の枕木の置き場所の確認では、置き場所の上に充電された架線があることが確認されていたにもかかわらず、これが作業者や関係者に伝わらなかったため、作業者は感電の危険性を認識せずに作業を行った。2 高圧の架空電線の付近におけるクレーン作業であるにもかかわらず、当該架線への給電を一時的に停止する、充電電路に絶縁用防護具を装着する等の感電防止措置が講じられていなかったこと3 車両積載形トラッククレーンによる作業の状況を監視する作業監視員が配置されていなかったこと4 クレーン作業に従事する作業者全員に、従事する作業の安全についての安全衛生教育が実施されていなかったこと
【対策】
同種災害を防止するためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 枕木が置いてある場所やその付近の状況等、安全に作業を行うために必要な情報の提供が円滑に行われるよう発注者、元請、下請事業場間の連絡調整等に常に努めること
2 高圧の架空電線に近接する場所で移動式クレーン等を使用して作業を行わなければならない場合には、架線への給電を停止するか架空電線の充電電路に絶縁用防護具を装着すること等の措置を講ずること
3 架空電線に接触するおそれがある等の危険な場所でクレーン作業を行わなければならないときは、監視員を配置して、直ちに作業を中止できるようにして行うこと
4 クレーン作業を行う場合には、クレーン運転操作者のみならず、クレーン運転資格を持たない補助作業に従事する作業者に対しても、クレーン作業に関する安全衛生教育を実施すること
【業種】
鉄道軌道建設工事業
【被害者数】
死亡者数:1人
休業者数:1人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)
No.101039より一部抜粋
万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
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