建設業の労災事例

うま足場を利用した天井の塗装作業中、過荷重のため足場板が折れ、足場から作業者4名が墜落した

   

【労災発生状況】

この災害は、うま足場を利用した天井の塗装工事中、作業者4名が同時に足場に乗ったため、過荷重で足場板が折れ、足場から墜落したものである。

災害当日は、建物の外壁塗装工事を予定していたため、建物の外側にうま足場と養生シートを設置した。しかし作業開始直後に雨が降り始め、「塗料が雨に濡れると艶が抜けるので問題である」という理由で作業を中止し、当初予定していなかった天井面の塗装工事を行うことにした。

新たに設置した足場は、うまに足場板を1枚渡したもの2つを並行に2組並べ、それに直交する足場板を3枚乗せて井形に組んだものであった。

災害発生当時、この3枚の足場板に作業者4名が乗って塗装を行っていたが、全員が一方のうまに片寄って乗ったとき、土台となる足場板が折れ、墜落したものである。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 強度不足の足場を用いて作業を行っていたこと。

2 足場の最大積載荷重を検討したことがなく、適当にこれを決めていたこと。

3 被災者らは安全帯を着用していたが、安全帯のフックをかける設備がなかったこと。

4 予定外の作業のため、安全に対する配慮が欠けていたこと。

5 工事の予定変更について、責任者に連絡をとっておらず、勝手に作業変更を行ったこと。

6 安全衛生教育を全く実施していなかったこと。

7 うま足場には、集中荷重が作用する構造となっていたが、この点に対する作業者の危険感覚が欠如していたこと。

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 うま足場を利用する場合には、当該足場の最大積載荷重を定め、これを超えて使用しないようにすること。

2 うま足場に使用する足場板は、端部を固定して使用すること。

3 墜落防止のための設備を設置し、保護帽や安全帯の確実な使用を周知・徹底すること。

4 元請は、下請に対して安全な作業方法あるいは安全衛生に関する知識を付与し、現場責任者の適切な指導・管理のもとで作業を行わせること。

5 作業変更があった場合は、責任者にその旨を連絡し、指示を仰ぐこと。

6 作業者に対しては、安全衛生教育を実施し、適切な作業方法や安全意識の向上に努めること。危険予知活動も災害防止のため、効果的である。

【業種】

鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業

【被害者数】

休業者数:4人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.100970より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

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床掘りした箇所にコンクリートを打設する作業中に法面が崩壊して被災

   

【労災発生状況】

この災害は、道路災害復旧工事現場において、道路面から約8m下の床掘りした箇所にコンクリートを打設する作業中、法面が崩壊し、コンクリートの打設作業に従事していた作業者3名が被災したものである。

当該災害現場は、既存水路のずい道上の道路が豪雨により崩壊したため、ブロック積の擁壁を設置し、重力式擁壁、一般基礎、アーチ補強などで補強の上、舗装をする道路復旧工事現場であった。法面は災害発生より約2カ月前の掘削により、道路東側に水道管があることが分かり、本来5分(約63度)で掘削するところが、法面の角度が3分(約73度)から2分(約78度)の急勾配になっていた。現場責任者はこの水道管について問い合わせをしたが、対処されないまま工事が進められた。

災害発生当日、道路西側の基礎部分にコンクリート打設のため、生コンをドラグ・ショベルのバケットで投入していた。被災した作業者A、B、Cの3名は、道路から約8m下の床掘りした個所に基礎コンクリートを打設する作業に従事していた。1台目の生コン車が工事現場を出て行こうとするときに、打設していた基礎部分の東側法面上部が崩壊し、3名が被災した。

【原因】

1 崩壊した地山は、過去に盛土した粘土混じりの土で、前日の降雨により、もろくなり崩壊しやすい状態であったこと。

2 地山の掘削作業を行うにあたって、その日の作業を開始する前に浮石、および亀裂の有無の状態、ならびに含水、湧水及び凍結の状態を点検していなかったこと。

3 道路東側の水道管について、計画の変更の必要性の有無を判断しないまま、掘削を進めたため、本来5分(約63度)で掘削すべき個所が、上部が水道管のところまでの掘削となり、実際の法面勾配が3分(約73度)から2分(約78度)の急勾配となってしまったこと。

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 地山を安全な勾配とし、落下のおそれのある土砂を取り除き、または擁壁、土留め支保工等を設けること。

2 地山の崩壊の原因となる雨水、地下水等を排除すること。

3 明り掘削の作業を行う場合、地山の崩壊を防止するために、点検者を指名してその日の作業開始前に浮石、および亀裂の有無及び状態ならびに含水、湧水および凍結の状態を点検させること。

4 埋設物等により工事の変更を要する場合には、掘削の勾配、使用する機械および作業方法等について、十分な検討を行い、安全な作業計画を作成したうえで作業を行うこと。

【業種】

上下水道工事業

【被害者数】

休業者数:3人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

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