電柱上で作業中、電柱が倒れ、地上に激突し死亡
2023/01/10
【労災概要】
この災害は、農道の改良工事に伴う電柱移設のため、木製電柱(直径25cm、高さ約8m)を撤去する作業中に発生したものである。
当該作業は、木製電柱を引き倒し撤去するものであるが、直接引き倒すには新設した電柱間に引かれている電話線をかわす必要があったため、撤去する電柱に登りその上部を切り取った後に、電柱にワイヤロープを取り付け、ドラグ・ショベルを使用して引き倒すというものであった。
被災者は電柱に登り、電柱倒壊防止のための仮支線を取り付けた後、電柱上部約4mを2回に分けてチェーンソーで切断した。その後、ドラグ・ショベルで引き倒すための台付けワイヤロープを取り付けたところ、電柱が傾き、命綱を電柱に取り付けていた被災者が地上約4mから電柱と共に地上に激突したものである。
当該電柱は地表面(砂地)から深さ約20cmの地中で折れており、断面は全体にわたって腐食していた。また、事業場で定めた抜柱の作業手順書には電柱の腐食状態を調査するよう定められていたが、腐食の調査は行っていなかった。また、電柱の倒壊防止のための仮支線は、計画では三方向に3本張る予定であったが、電柱が東側に傾いていたため、倒壊した反対側の西側2方向に2本張っただけであった。
なお、当該事業場では安全に作業を行うための作業計画を作成しておらず、作業者に対する安全衛生教育も行っていなかった。
【原因】
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 電柱の腐食状態を調査せず、腐食した電柱に登ったこと
当該事業場の抜柱の作業手順書には電柱の腐食状態を調査するよう定められていたにもかかわらず、腐食の調査を行わなかったため、埋没部分が腐食した電柱に登り被災した。
2 電柱の倒壊防止対策として電柱に設置する仮支線は、三方向に3本張る予定であったが、実際は2本張っただけであり、電柱を支える強度が欠けていたこと
3 作業開始前に作業計画を作成しておらず、また、作業者に対する安全衛生教育も行っていなかったこと
【対策】
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 電柱の撤去作業を行う場合は、撤去する電柱の腐食状態を事前に調査し、その結果に基づき、電柱の倒壊防止措置を講じること
作業手順書に定められているとおり、電柱の腐食状況、土質の状態等、電柱の倒壊又は折損の要因等について事前に調査を行い、腐食等が認められた場合は、電柱の倒壊防止措置として、仮支線、副木等で電柱を補強する必要がある。また、電柱に張る仮支線は三方向に3本張ることが必要である。
2 予め、安全に作業を行うための作業計画を作成するとともに、これを基に作業者に対し安全衛生教育を行うこと
【業種】
電気通信工事業
【被害者数】
死亡者数:1人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)
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道路の中央線の塗替え作業中、トラックに激突され被災
2023/01/06
【労災概要】
この災害は、道路(片側一車線)の中央線の塗替え作業中、塗替え作業区間に8トントラックが進入し、3名の作業者がトラックに激突され被災したものである。
災害発生当日は、元請けの現場代理人1名、下請け作業者5名(塗替え作業及び交通誘導)、の計6名で塗替え作業を行っていた。
作業は、手押し式の溶融ペイントハンドマーカー(塗替え用機械)を用い、道路の中央線の塗替えを行うものであり、作業者のAが操作し、後方確認及び冷却のための水撒きをBが行い、塗替え前の旧ラインの清掃作業をCが担当していた。また、元請けの現場代理人Dが歩道上で検測作業を行い、他の作業者のE、Fは、通行車両の誘導を行っていた。
塗替え作業の途中で、溶融ペイントハンドマーカーの塗料が少なくなったため、塗料を補充することになり、一旦作業者全員が歩道にもどり、塗料の補充を行った。その後、車両誘導担当のEが、西方向から進行してくる車両を車道に出て誘導を開始した。次いで作業者A、B、Cが車道に戻り、塗替え作業を再開した。また、Fは東方向から向かってくる車両の誘導を行うことになっていたが、誘導する位置に行く途中、すでに、東方向からトラックが進入してきたため、当該トラックを通した。
トラックは、そのまま作業区間に進入したが、突然センターラインを越え、塗替え作業中の作業者に激突し、A,B,Cの3名が被災したものである。
当該塗替え作業の道路使用許可条件は、「片側交互通行」「防護車の配置」であったが、これらの措置を講じずに工事を行っていた。また、元請けの現場代理人は施工方法等について、下請け作業者に対し具体的な指示を行っていなかった。また、当該作業に係る安全作業手順が定められておらず、作業者に対する安全教育も実施していなかった。
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 道路使用許可条件を遵守せず、トラック運転手に対する安全運転指示、運転管理等の問題もあるが、作業現場の安全管理については、車両を通行させながら塗替え作業を行ったこと
「片側交互通行」「防護車の配置」等が道路使用許可条件であったが、災害当日、上り下り車線とも車両を通行させていたことに加え、防護車の配置も行っていなかった。
2 当該塗替え作業の施工方法等について、元請けの現場代理人は下請け作業者に対して安全な作業を行うための具体的な指示を行っていなかったこと
3 当該塗替え作業では作業手順を定めておらず、また、作業者への安全教育も実施していなかったこと
【原因】
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 道路上で作業を行う場合は、道路使用許可条件を含む次の措置を講じて工事を施工すること
[1] 作業には必ず防護用として作業車を配置する。
[2] 作業現場の両端には交通整理員を配置して交通整理にあたらせ片側交互通行とする。
[3] 作業現場手前の道路上には、運転者が視認できるように、作業の予告案内板を設置する。
2 元請現場代理人は、全ての下請けを含めた関係作業者に対して作業前打合せを行い、安全な作業を行うための施工方法等について具体的に指示し、周知徹底すること
3 工事開始の前に、安全な作業を行うための作業手順を定め、作業者に安全衛生教育を実施することにより、周知徹底すること
【業種】
道路建設工事業
【被害者数】
死亡者数:1人
休業者数:2人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)
万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
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