ドラグ・ショベルが転倒し、運転手がはさまれて死亡
2023/02/17
【労災概要】
この災害は、残土埋立て工事現場において、ドラグ・ショベルを運転中に発生したものである。
災害発生当日、作業者AとB(被災者)の2名は、事務所で作業内容と注意事項の指示を受けた後、ダンプトラックに残土を積込み、残土埋立ての作業現場まで運搬し、ドラグ・ショベル2台で、作業現場の指定された場所に残土を移動させる作業を行っていた。その後、Aは残土の移動作業を終了し、ドラグ・ショベルのエンジンを切って停止させ「そろそろ終わろうか」とBに声を掛けたとき、Bはドラグ・ショベルのバケットをあげたままの状態で残土を盛っている斜面(傾斜角18度)からドラグ・ショベルを運転して下降しようとしていた。
その直後、Bのドラグ・ショベルのバランスが崩れて傾き、Bは運転席から前方に放り出され、転倒してきたドラグ・ショベルのヘッドガートの支柱と地面との間にはさまれ、被災した。
なお、Bは今回初めてこの作業に従事することとなったが、ドラグ・ショベルの運転に必要な資格(車両系建設機械(整地・運搬・積み込み用及び掘削用)は持っていなかった。
この事業場では、残土埋立て作業について事前に作業計画を作成しておらず、具体的な安全対策についての安全衛生教育も行われていなかった。
また、ドラグ・ショベルを使用する作業について、現場責任者による管理監督も行われていなかった。
【原因】
この災害の原因として、次のようなことが考えられる。
1 ドラグ・ショベルを運転するために必要な技能講習を修了していない者に運転させたこと
2 ドラグ・ショベルのバケットを高くあげたまま下降運転をしたこと
3 事前に作業計画を作成しておらず、具体的な安全対策についての安全衛生教育が行われていなかったこと
4 この事業場では、ドラグ・ショベルを使用する作業について、現場責任者による管理監督が行われていなかったこと
【対策】
同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 ドラグ・ショベルを使用して作業を行わせる場合には、就業制限に係る有資格者であることを確認して作業を行わせること
ドラグ・ショベル(機体重量3トン以上)を使って作業を行うためには、技能講習資格の中でも車両系建設機械(整地・運搬・積み込み用及び掘削用)運転技能講習修了証が必要である。
2 ドラグ・ショベルの基本操作と安全な運転操作を作業者に習熟させること
ドラグ・ショベルの ブームやバケットをあげたまま、斜面を下降させることなどの危険な運転操作を行わないよう、基本操作と安全な運転操作方法について教育を徹底する。
3 ドラグ・ショベルを使用して作業を行わせる場合には、あらかじめ現場の状況を調査し、それに基づいた作業計画を作成するとともに、これに基づいて具体的な安全対策についての安全衛生教育を行うこと
4 現場責任者に対し、現場において作業計画に基づいた適切な作業指示を行わせる等、現場の管理監督を徹底すること
【業種】
その他の土木工事業
【被害者数】
死亡者数:1人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)
万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。
本日も無事故で一日を終えられますように。
可搬式グラインダーの砥(と)石が割れて当たり死亡
2023/02/16
【労災概要】
この災害は、鉄骨造り建物の新築工事において、天井ボードの切断作業を行っているときに発生したものである。
当日、午前8時頃、下請業者の職長Aと作業者2人の計3人が現場に入り、前日までに終了した内装工事の後片付けをしていた。その後、12時前に、元請の担当者Bから天井に点検口を設置するよう指示されたAは、点検口の設置は自分ひとりで行うこととして、午後1時から作業を始めた。このとき、他の作業者2人には午前中に行っていた片づけ作業を続けるよう指示した。
作業は、点検口を設置する天井の下に置いた脚立と積み重ねた床材にAが乗り、可搬式グラインダーで天井に切れ込みを入れて開口部を設ける方法で行われた。作業を始めて30分ほど経過したとき、グライダーの研削砥石が天井ボード裏の金属製下地材に接触して割れ、飛来した砥石の破片が作業者に当たって被災したものである。Aは防護面などの保護具を使用していなかった。
Aが使用していた可搬式グラインダーは、砥石の覆いがなく、割れた砥石の飛来を防止することができなかった。また、砥石がグラインダーの性能に適合しておらず、最高使用周速度を超えて使用していた。
【原因】
この災害の原因として、次のようなことが考えられる。
1 作業個所の状況を確認しないまま、切断作業を行ったこと
Aは、切断する天井ボードの裏の状況を確認しないまま作業を開始し、ボード裏の金属製下地材に気づかず、これに砥石が接触して割れ、飛散した。
また、作業指示をしたBも天井ボードの裏の状況については説明していなかった。
2 研削砥石の覆いがない可搬式グラインダーを使用したこと
覆いがなかったため、飛散した砥石を防ぐことができなかった。
3 グラインダーの性能に合わない研削砥石を使用したこと
グラインダーに適合しない砥石を使用したため、砥石の最高使用周速度を超えて使用した結果、軽く接触しただけでも砥石が耐えられる以上の力が加わり飛散した。
4 保護具を使用していなかったこと
Aが防護面を使用していなかったため、負傷の程度が大きくなった。
【対策】
同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 作業開始前に現場の状況を十分に確認し、作業に適した工具を使用すること
作業を始めるに当たって、作業個所の状況を見えない部分も含めて確認し、状況に適した工具を選定して作業する。
また、作業指示者もあらかじめ状況を確認して、指示の際に確認した状況を説明する。
2 現場に持ち込む工具は、点検を行い、基準に合っていないものは使用しないこと
現場で使用する工具類は、あらかじめ点検を行い、覆いが欠けている等の不具合があるものは現場に持ち込まないようにする。
3 グラインダーに適合した研削砥石を使用すること
研削砥石には、それぞれ最高使用周速度が決められている。最高使用周速度を超える回転数で使用すると、砥石が割れるおそれがある。このため、グラインダーの回転数を確認し、適合している最高使用周速度の研削砥石を使用することが必要である。
4 必要な保護具を使用させること
作業を計画するときには、予想される労働災害を防止するために必要な保護具を決め、作業者には作業中必ず使用させる。
【業種】
鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業
【被害者数】
死亡者数:1人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)
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