建設業の労災事例

移動式クレーンにつられたシートパイルに激突される

   

【労災発生状況】

この災害は、ビル新築工事現場において、移動式クレーンでつられたままのシートパイルが、近くで旋回したドラグ・ショベルがワイヤロープを引っ掛けたために振られ、作業者に激突したものである。

災害発生当日、工事現場に資材を搬入するトラックが到着したため、現場にいた複数の下請業者の作業者数人が、場内の整理を始めた。

まず、トラックが入場したときに邪魔になるシートパイルを移動式クレーンでつり上げて、既に置いてあったシートパイルの上に、つったままで仮置きした。

次に、ドラグ・ショベルを使用してトラックの搬入路を整地し、鉄板を敷いた。

その後、トラックの搬入路を確保するため、ドラグ・ショベルを移動式クレーンの脇に移動させたが、ドラグ・ショベルの運転者は、このままの状態では移動式クレーンの作業に支障をきたすものと判断し、ドラグ・ショベルの機体を旋回させた。そのとき、ドラグ・ショベルのバケットがシートパイルに掛けてあったワイヤロープを引っ掛けたため、シートパイルが振れて、近くにいた作業者に激突した。被災者は病院に運ばれたが、死亡した。

トラックが工事現場に資材を搬入するのは、当初の工事計画では災害発生の2日後となっていたが、下請業者の判断で搬入日を早め元請業者に連絡していなかった。そのため、工事現場にいた複数の下請業者の作業者だけで、方法や手順を確認することなく急遽、場内の整理を行った。

【原因】

この災害の原因として、次のようなことが考えられる。

1 ドラグ・ショベルの運転者が、周囲の安全を確認せずに機体を旋回させたこと

2 移動式クレーンでシートパイルをつった不安定な状態のまま仮置きしたこと

そのため、つり荷のシートパイルが振られて、作業者に激突した。

3 元請業者から連絡や指示がない作業を下請業者だけで行ったこと

トラックによる資材の搬入日が早まったことが元請業者に連絡されていなかったため、工事現場ではトラック受け入れの準備ができていなかった。そのため、元請業者から下請業者への連絡や指示もなく、現場では、複数の下請業者が方法や手順を確認することなく、急遽、場内の整理を行った。

【対策】

同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 ドラグ・ショベルの運転者に対し、定期的に能力向上のための安全衛生教育を実施すること

2 荷を移動式クレーンでつりさげたまま仮置きしないこと

移動式クレーンでつった荷を仮置きする場合は、荷は玉外しした状態とする。

3 関係請負業者は、元請業者が行う連絡調整、作業指示等に従うこと

(1)関係請負業者は、事前に元請業者と打ち合わせた作業および元請業者から指示された作業以外の作業は行わないことを原則とする。

(2)下請業者が予定されていない作業を行う場合には、元請業者に報告するとともに、元請業者が工事現場にいる関係請負業者と作業内容等について連絡調整を行った後に作業を行う。

【業種】

鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業

【被害者数】

死亡者:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101088より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の 札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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ドラグ・ショベルを積んだトラッククレーンが坂道を逸走し、崖下に転落

   

【労災発生状況】

この災害は、土木工事用仮設道路において、車両積載形トラッククレーンの荷台にドラグ・ショベルを積み込む作業中に発生したものである。

災害発生当日、作業者Aは、工事現場でドラグ・ショベルをトラッククレーンに載せて移送するため、林道の平坦な場所にトラックを止め、アウトリガーを張り出してトラッククレーンの車体を20~30度傾けた状態にして、鋼製の道板をトラックの荷台後部に架け、ドラグ・ショベルを自走させ荷台に載せようとしたが、前日の雨等によりドラグ・ショベルのゴム製クローラがスリップして道板を登れなかった。

このため、Aは、林道から河川に通じる傾斜角16度の工事用仮設道路にトラッククレーンを坂の下に向けて駐車し、アウトリガーを張り出してトラックの車体をほぼ水平の状態にして、荷台後部に道板を架け、ドラグ・ショベルを運転して荷台に載せた。

その直後、トラッククレーンが坂道を逸走して、右側の崖下に落ちて横転し、さらにドラグ・ショベルが荷台から転がり落ちて、Aはドラグ・ショベルのアームと地面の間にはさまれて死亡した。

トラッククレーンの最大積載量は4tであったが、クレーンを取り付けていたため、荷台の積載量は、最大2.8tであったにもかかわらず、機体重量6tのドラグ・ショベルを積み込んだ。また、ドラグ・ショベルのゴム製クローラはすり減っていて、乾いた地面でもスリップすることがあった。

さらに、Aは坂道にトラッククレーンを駐車した際、輪止め等の逸走防止をしていなかった。

【原因】

この災害の原因として、次のようなことが考えられる。

1 トラッククレーンの荷台に最大積載量を超える荷を載せたこと

坂道を逸走した車両積載形トラッククレーンは最大積載量4tのトラックにクレーンを取り付けたものであり、荷台の積載量は、最大2.75tであったのに対し、ドラグ・ショベルの機体重量は、6tであった。

2 坂道において、逸走防止措置を講じずにトラッククレーンの荷台に荷を載せる作業を行ったこと

坂道に駐車した際、輪止め等の逸走防止措置を講じないまま、荷台に荷を載せる作業を行った。

3 ドラグ・ショベルのゴム製クローラがすり減っていたこと

クローラがすり減っていたため、傾斜のある鋼製道板をスリップし、ドラグ・ショベルが登ることができなかったため、傾斜した仮設道路上で積み込むことになった。

【対策】

同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 トラッククレーン荷台に、最大積載量以上の荷を載せないこと

車両系積載形トラッククレーンの場合、トラック荷台の最大積載量は、クレーンを取り付けた時に減少しているので、これを考慮して荷を載せる。

2 トラッククレーン荷台への荷の積み込みは平坦な場所で行うこと

やむを得ず傾斜地で荷の積み込みを行う場合は、輪止め等トラックの逸走防止措置をとった上で、積み込み作業を行う。

3 ドラグ・ショベルは、定期的に点検を行い、故障個所等は修理しておくこと

ドラグ・ショベル等の車両系建設機械については、作業前の点検、月次検査、年次検査を定期的に実施するほか、工事現場に持ち込む前にも点検を行い、故障や消耗している箇所があれば、修理・部品の交換を行っておく。

【業種】

砂防工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101089より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com) へ是非ご相談ください。

 

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