建設業の労災事例

灯油バーナーで雑草を焼却中にズボンに引火

   

【労災発生状況】

この災害は、グランドおよびその周辺の雑草を灯油バーナーで焼却する作業中に発生したものである。

被災者の所属するZ社は、ネット・フェンスの取り付け、グランドの整備等のスポーツ関連工事およびスポーツ用品の販売を行っているが、雑草の処理作業等については、作業の依頼があるときのみアルバイトを採用して実施していた。

今回の依頼は、3週間の工期で請け負った、雑草の刈り取り、除草剤散布、刈り取った雑草の焼却およびグランドの整地という一連の作業であり、災害はこのうち、雑草の焼却作業で発生した。

災害発生当日の午前8時に、現場代理人Aは、作業現場で2名のアルバイト作業者と合流し、それぞれが可搬式の灯油バーナー(灯油5Lが入るタンク付きのもので、重さ約4kg)を使用してグランド内に散在して積まれた雑草の焼却作業を開始した。

その後、休憩を約10分とり、それぞれが18L容器から手動ポンプでバーナーのタンクに灯油を補給した。その際、Aは他の作業者に「補給中に灯油がズボンにかかって濡れてしまった」と言っていたが、そのまま作業を再開した。このとき3名は、それぞれ約30mずつ離れて作業を行っていた。作業再開後、約30分経ったときAの悲鳴が聞こえたので、他の作業者がAの方を見ると、Aが炎に包まれていた。Aは病院に運ばれたが死亡した。

Z社では、灯油バーナーの使用手順を、[1]タンクに灯油を注入する、[2]タンクに付属しているポンプにより圧力を高める、[3]バーナー先端部をライター等により予熱し着火する、[4]バーナーの火が安定した後に燃料開閉レバーにより火の量を調節する、と定めていたが、灯油の補給時における注意事項、灯油が作業服にかかったときの措置、作業服の特定等安全上必要な事項については定めていなかった。また、現場には、消火器は用意されていなかった。

なお、Z社では、Aや他の作業者に対して安全衛生教育を実施していなかった。

【原因】

この災害の原因としては、次のことが考えられる。

1 作業服に灯油がかかったまま、焼却作業を行ったこと

休憩後の灯油の補給中に、Aはズボンに灯油がかかったが、そのまま雑草の焼却作業を再開したため、燃え上がった雑草の火がズボンに染みた灯油に引火し、そこから全身が炎に包まれた。また、作業服が燃えやすい材質であったことも引火の一因となった。

2 安全な作業の手順を定めておらず、安全衛生教育も実施していなかったこと

Z社では、灯油バーナーの使用手順を定めていたが、灯油の補給時における注意事項、灯油が作業服にかかったときの措置等については、定めておらず、安全衛生教育も実施していなかった。

3 現場に火災等に備えた消火器を配置していなかったこと

4 適切な作業服(難燃性の材質でできたもの)を着用していなかったこと

【対策】

4 適切な作業服(難燃性の材質でできたもの)を着用していなかったこと

 

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 作業手順書を作成し、これをもとに作業者に安全衛生教育を実施すること

刈り取った雑草の焼却作業は、火気を取り扱うものであることから、次のような事項についてあらかじめ検討し、安全な作業のポイントを盛り込んだ作業手順書を整備し、その内容を作業者に教育しておく。

[1] 安全な作業の順序

[2] バーナーへの灯油補給時の取り扱い

[3] 消火器の取り扱い

[4] 適切な作業服(難燃性の材質でできたもの)の着用

2 消火器を設置すること

火を扱う現場には、火災等に備えて消火器を設置する必要がある。

3 適切な作業服を着用すること

火を扱う際には難燃性の材質でできた作業服を着用する。

【業種】

その他

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101041より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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住宅地内の配電線の移設工事中、感電して死亡

   

【労災発生状況】

この災害は、住宅地にある配電線の移設工事において発生したものである。

この工事は、100V用電線を高圧用のものに変更するとともに、電柱を移設し、新たに建てた電柱に変圧器および電線を移設するもので、電力会社の1次下請業者(Z社)により実施されていた。

災害発生当日、Z社の作業者Aは、他の作業者5人とともに昼前に作業現場に到着し、KYミーティングを行った後、午前中は電線張替のための資材の準備作業、すでに建ててあった新しい電柱に腕金を取り付ける作業を行った。なお、現場責任者は、当日は現場には来ていなかった。

午後は、1時頃から6人で手分けして電柱から変圧器を取り外す作業、新しい電柱への電線の取り付け準備作業を行うこととなり、Aは作業者Bとともに電柱に上り、住宅への引込み線を接続する作業を2人で行っていたところ、Aが電線を掴み感電した。Bはすぐに電線を掴んでいるAの手を振り払ってAを地上に下ろした。その後、Aは病院に移送されたが、既に死亡していた。

災害発生時のAの服装は、長袖の作業服、保護帽、皮手袋、安全帯、絶縁用ゴム長靴であった。Z社は、皮手袋のほかに高圧活線用ゴム手袋および低圧用ゴム手袋を作業現場に用意していたが、当日は気温が30℃を超えていたことからAは蒸れやすいゴム手袋ではなく、皮手袋を選び使用していた。

元々、当日の工事は、停電作業として計画されていたが、当日の朝、急に活線作業に変更された。しかし、現場作業者がいなかったため、充電電路への絶縁管、絶縁シート等の絶縁用防護具の装着については措置されず、絶縁用保護具の使用については作業者がそれぞれ自分自身で判断して作業を行った。

Z社では、作業者に対し、作業に必要な安全対策等についての安全衛生教育は実施していなかった。このため、100Vの低圧電路の感電の危険性を認識している作業者は少なかった。また、作業手順書には、活線作業を想定した充電電路の絶縁等、安全に作業を行うための対策が盛り込まれていなかった。

【原因】

この災害の原因としては、次のことが考えられる。

1 感電防止措置が講じられないまま活線作業が行われたこと

工事が行われる当日の朝、急に停電作業として計画されていたものが活線作業に変更になったものであるが、充電電路への絶縁管、絶縁シート等の絶縁用防護具が装着されないまま作業が行われた。さらに、絶縁用保護具の使用については作業者任せにされたため、絶縁効果がない皮手袋が使用されていた。

2 作業手順書の内容が不十分であったこと

作業手順書には、活線作業を想定した充電電路の絶縁等の安全に作業を行うための事項が盛り込まれていなかった。

3 安全衛生教育が実施されていなかったこと

Z社では、作業に対し感電危険に関する安全衛生教育を実施していなかった。そのため、作業者は、電気による危険を十分に認識しておらず、低圧電路であるため安全であると誤解していた。

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 充電電路への絶縁用防護具の装着、絶縁用保護具の使用等の感電防止措置を講じること
やむを得ず活線作業を行う場合には、充電電路へ絶縁管、絶縁シート等の絶縁用防護具を装着させる。さらに、作業者には、絶縁用のゴム長靴やゴム手袋を使用させることも必要である。
なお、皮手袋は、絶縁効力がないので充電電路を直接取り扱う作業には使用させないようにする。

2 安全な作業を行うために必要な事項を盛り込んだ作業手順書を作成すること
活線作業において、充電電路への絶縁用防護具の装着、作業者の絶縁用保護具の使用等、感電による危険を防止し安全に作業を行うための必要な事項を盛り込んだ作業手順書を作成する。

3 安全衛生教育を実施すること
停電作業や低圧電路の作業は、安易に行われることが少なくないが、100Vの低圧電気でも感電の危険があるので、電気工事に従事する関係作業者に対し、十分な安全衛生教育を実施する。また、安全衛生教育は繰り返し実施するようにして、関係作業者に周知徹底することも重要である。

【業種】

電気通信工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101072より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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