足場資材を移動式クレーンでつり下ろし、玉外し作業中、隣にあったはいが崩壊し、はさまれて死亡
【労災発生状況】
この災害は、工事現場から引き上げてきた足場資材を、自社の資材置き場において、車両積載形トラッククレーンでつり下ろし、玉外し作業を行っていたところ、下ろした荷の隣にあった高さ約4mのはい(同寸法の建枠50枚を番線で結束して1束として、積み重ねたもの)が崩壊し、倒壊したはいに押された足場資材と隣の足場資材との間に作業者がはさまれて被災したものである。
災害発生当日、2名の作業者(AとB)および資材置場の管理責任者Cは、工事現場の足場組立で使用されなかった足場資材を2台のトラック(車両積載形トラッククレーン)で引き取り、資材置場に到着した。このとき、Cは、資材置き場の状況からトラック2台を同時に駐車できないと判断し、1台のトラックを移動するため、資材置き場を離れ、もう1台は、Cの指示によりBが資材置場に駐車させた。
AおよびBは、Cから「自分が戻るまで待て」と指示されていたが、Bは自らの判断で車両積載形トラッククレーンを操作し、荷台にあった足場資材のつり下ろし作業を開始した。Aは、下ろされた足場資材と元々資材置き場に積まれていた足場資材の間に入り、玉外し作業を行い始めた。このとき、下ろされた足場資材の反対側に積まれていた建枠のはいが崩壊し、建枠に押された足場資材にAがはさまれたものである。
災害が発生した資材置き場では、Cが管理責任者として、はいの配置や積み方を管理していた。しかし、保管されている資材のほとんどは、崩壊防止の措置も取られず、不安定な形のまま、4mの高さに積み上げられていた。また、Cをはじめとする社員全員の中ではい作業主任者技能講習を修了した者はいなかった。
なお、同社では、資材置き場で保管する資材等の数量、場所、方法等を定めた保管計画および資材等の建築資材のトラックへの積み下ろし作業やはい付け作業の作業手順書がいずれも整備されてなく、作業者への安全衛生教育も実施されていなかった。
【原因】
この災害の原因として、次のようなことが考えられる。
1 足場資材が不安定な状態で積み上げられていたこと
災害が発生した資材置き場では、番線で結束した建枠や他の足場資材が不安定な形のまま、4mの高さまで積み上げられていた。
2 はい作業主任者が選任されていなかったこと
足場資材を高さ2m以上の高さにはい付けして保管していたにもかかわらず、社員の中に、はい作業主任者技能講習を修了した者がおらず、はい作業主任者の職務を誰も遂行していなかった。
3 作業手順書がなく、作業者に安全衛生教育が実施されていなかったこと
はい付け作業やトラックへの積み下ろし作業など、資材置き場において行われる作業について作業手順書が整備されていなかった。また、作業者に安全衛生教育が実施されていなかった。そのため、作業者に、安全な作業方法の実施や責任者の指示に従うことについて徹底されていなかった。
【対策】
同種災害を防止するためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 資材等の保管計画を定め、はいの崩壊等防止措置を講じること
崩壊や倒壊の危険が大きい資材等を保管する場合には、数量、場所、安全な保管方法等を盛り込んだ保管計画をあらかじめ定めるとともに、保管されている資材等の崩壊や倒壊を防止するための堅固な間仕切りを設置する等崩壊防止のための措置を講じる必要がある。
2 はい作業主任者の選任等、安全衛生管理体制を整備すること
当該現場のように、足場資材を高さ2m以上にはい付けして保管する場合には、はい作業主任者技能講習を修了した社員の中から、はい作業主任者を選任し、その者に作業の方法及び順序の決定と作業の直接指揮、器具・工具の点検等の職務を行わせる必要がある。
3 作業手順書を整備し、作業者に安全衛生教育を実施すること
安全に作業を行うためのポイントを盛り込んだ作業手順書を整備するとともに、作業者に安全衛生教育を実施し、作業手順書の内容について作業者に周知徹底しておく。
特に、
[1] 複数の作業者により作業を行う場合には、現場責任者や作業主任者の指示に従うこと
[2] 崩壊の危険性がある個所に立ち入る場合には、崩壊防止に必要な措置を講じた上で安全を確認すること
を作業者に徹底することが重要である。
【業種】
その他の建築工事業
【被害者数】
死亡者数:1人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)
No.101034より一部抜粋
万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の 札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。
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木造倉庫の解体作業中、梁が落下して作業者が転倒し死亡
【労災発生状況】
この災害は、木造倉庫の解体作業中、丸太梁が急に落下し、作業者が抱えていた金属パイプに当たって、作業者が転倒したものである。
災害発生当日は、作業者AとBの2名で木造平屋建て資材倉庫の解体作業を行っていた。解体する倉庫は、隣接する倉庫と梁の一部が連結していたので、その連結を外すため、チェーンソーで梁を切断する必要があった。チェーンソーによる梁の切断は、具体的な作業方法が決められておらず、現場にいたAとBの話し合いで、まず梁を完全に切断せずに切り込みを入れた後、ロープで縛って引き倒すこととした。また、作業の分担は、Bが踏み面のない「ウマ」を脚立の代わりとしてこれに上りチェーンソーで梁を切断し、Aが地上で切断の補助をすることにした。
Bが梁に切り込みを入れた後、補助をしていたAが、転がっていた金属パイプを抱え、これで梁を下から突いて落とそうとしたとき、突然、梁が落下してAが抱えていた金属パイプに当たり、Aは転倒して被災した。
災害が発生した倉庫の解体工事については、工事計画や作業手順書が作成されないまま、作業が開始された。現場には、現場責任者は派遣されず、作業者同士が話し合いながら作業を進めていた。そのため、各作業者がばらばらの行動をとることも多かった。
また、作業者が所属する会社では、社員に対する安全衛生教育は実施されていなかった。
【原因】
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 倉庫の解体工事について、安全な工事計画や作業手順書が定められていなかったこと
これらが定められていなかったため、現場で作業者同士が話し合って作業方法を決めていたが、役割分担や安全な作業方法について十分に検討されずに作業が行われていた。
2 現場責任者が派遣されていなかったこと
現場に責任者がいなかったため、作業者の行動が統一されていなかった。また、作業者の不安全な行動が放置されていた。
3 作業者に対する安全衛生教育が実施されていなかったこと
作業者に危険に対する意識が欠落しており、丸太という重量物を人力で落下させて解体する、ウマにまたがってチェーンソーで梁を切断する、切り込みの入った梁を下から金属パイプで突く等の危険な方法で作業が行われた。
【対策】
同種災害防止のためには、次のような対策が必要である。
1 重量物の解体工事については、安全な工事計画や作業手順書を定めること
安全な工事計画とともに、解体工事の個々の作業について安全対策を十分に検討して、作業方法を決定し、作業手順書を整備する。また、作業者に、工事計画、作業手順等を周知させた上で、作業を開始させることが必要である。
2 現場責任者を選任し、必要な安全管理を行わせること
工事現場ごとに選任した現場責任者に、現場で作業者に対する適切な作業指示を行わせるとともに、各作業者がバラバラに行動することのないよう、適切な安全管理等を行わせることが重要である。
3 作業者に対して安全衛生教育を繰り返し実施すること
日頃から、作業者に対し、繰り返し安全衛生教育を実施し、安全衛生意識の向上を図る。
【業種】
木造家屋建築工事業
【被害者数】
死亡者数:1人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)
No.101035より一部抜粋
万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
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