建設業の労災事例

仮設桟橋上でクローラクレーンを用いて荷のつり上げ作業中、荷振れを起こし、その反動で転落

   

【労災発生状況】

この災害は、橋梁建設工事において、下請業者の作業者が仮設桟橋上でクローラクレーンを用いて荷のつり上げ作業を行っていたところ、操作方法を誤り、荷振れを起こしたため、その反動でクレーンが約8mの高さから作業者とともに転落したものである。

災害発生当日は、クローラクレーンを用いて、掘削作業に使用するケーシングパイプのつり上げ作業が行われていた。ケーシングパイプはその重量とクレーンの定格荷重との関係で、1本ずつつり上げることが事前の元請と下請業者との打合せで確認されていたが、当日は、作業時間を短縮するため下請業者の判断でケーシングパイプを2本つなげた状態で、つり上げ作業を行った。そのときの荷の重さは、定格荷重に近かったため、過負荷防止装置が作動し、連続的な警告音と黄色のランプが点滅していた。

そこでクレーンの運転者は、荷をつったままジブを急激に起こした。そのため荷振れをおこし、その反動で仮設桟橋から、クローラクレーンとともに墜落したものである。

なお、当日の作業方法の変更については、下請業者から元請に伝えられていなかった。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 荷の重量やクレーンの性能を考慮せずに下請業者の判断で作業工程を変更したこと

作業工程は、ケーシングパイプの重量、クレーンの定格荷重、作業半径等を考慮して、元請と下請業者との事前の打合せにより決定されていたが、これを下請業者が独断で作業工程を変更した結果、定格荷重に近い荷を、無理につり上げる作業となった。

2 作業工程の変更について元請に伝えられていなかったこと

作業工程の変更等の作業についての情報が下請業者から元請に伝えられていない等、安全管理体制に問題があった。

3 作業者がクレーンの急激な操作を行ったこと

過負荷防止装置が作動した際、クレーンの運転者がとっさに判断を誤り、クレーンのジブを急に起伏させたため、クレーンを仮設桟橋から転倒に至らしめるような、大きな荷振れが生じた。  作業工程は、元請と下請業者との打合せが行われた際に決定されていたが、当該作業を実際に担当する下請のみの判断で、作業省略等の変更が行われた結果、安全面での配慮がなされなかった。

【対策】

同種災害を防止するためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 安全に作業できるよう計画された作業工程を変更しないこと

クレーン作業の工程は、作業の内容、荷の重量、クレーンの定格荷重、作業半径などを考慮して、安全に作業が行えるよう計画されているので、安全に配慮することなく変更しないようにする。また、下請業者はその内容に忠実に従って作業を行うこと。また、やむを得ない変更が必要な場合は、元請に連絡を取り、相談をした上で変更する。

2 安全管理体制を整備すること

元請と下請業者の連絡・協力体制を強固なものとし、現場で生じた問題点の早期解決を図ることができる、あるいはその情報伝達機能を有する安全管理体制を整えること。

3 クレーンの運転は、急激な操作を行わないようにすること

特に、過負荷防止装置が作動した際には、あわてないで、かつ速やかに、荷のつり上げ作業の中止をすることが重要である。

【業種】

橋梁建設工事業

【被害者数】

不休者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101018より一部抜粋

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

 

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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脚立を用いて既設配管の移設作業中、脚立が仮設配線を踏み、作業者が感電

   

【労災発生状況】

この災害は、工場増設に伴う既存配管の移設工事において、作業者4名が感電したものである。

災害発生当日、作業者2名がアルミ製脚立を用いて、既設配管の移設作業を行っていたところ、脚立の足で200ボルトの仮設配線を踏んでしまった。そのため配線の被覆が剥がれ落ち、脚立に上っていた作業者2名が感電したものである。また、このとき感電した2名が大声を出し、脚立から墜落しそうになったため、これを助けようとした別の作業者2名がアルミ脚立に近づいた際に、脚立に触れ、この2名も感電したものである。

仮設配線は、絶縁被覆が完全ではなく、養生もされていなかった。また、作業に用いていた脚立は、滑り止めのゴムが損傷した状態であり、このため高所での作業者の動きに反応して容易に移動する状態であった。

なお、本工事において、感電による被災者の救出方法などを定めた緊急時の対応マニュアルは用意されていなかった。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 絶縁被覆が完全ではない仮設配線を使用したこと

2 仮設配線を踏まないような養生をしないまま、作業を行ったこと

3 脚立の滑り止めゴムの損傷を改善しないまま、作業を行ったこと

脚立の滑り止めゴムの損傷した脚立は摩擦抵抗が小さくなっており、作業者の動きに反応して水平移動しやすい状態であった。

4 感電による被災者の救出方法などを定めた緊急時の対応マニュアルが用意されていなかったこと

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 使用する仮設配線の絶縁被覆を作業前に点検すること

仮設配線の絶縁被覆の状況を作業前に点検し、絶縁被覆が損傷している場合には、交換または補修などの措置を講じることが必要である。

2 仮設配線を踏まないように養生をして、作業を行うこと

床を這わせる仮設配線には、これを踏むことがないように覆いをするなど養生をした上で作業を行う。

3 脚立が作業者の動きによっても容易に移動しないようにすること

脚立の滑り止めが損傷している場合には速やかに交換又は補修を行い、作業中に脚立が容易に動かないようにすることが必要である。

4 緊急時の対応マニュアルを整備すること

感電による被災者の救出方法など緊急時の対応マニュアルを整備するとともに、その内容を作業者に周知徹底すること。

【業種】

建築設備工事業

【被害者数】

休業者数:2人

不休者数:2人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101019より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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