コンクリート打設中、フラットデッキが抜け作業員5名が3階から墜落
【発生状況】
本災害は、3階エレベーターピット床のコンクリート打設中にフラットデッキが抜け、作業者の5名が2階床フラットデッキに墜落、さらに2階のフラットデッキも抜けて1階床に墜落したものである。
災害発生現場は、地上20階、地下2階のビル新築工事現場であった。災害発生当日はエスカレーターピット床スラブの打設作業を行っており、3階床から1.2m下がった位置で鉄骨梁の下フランジにフラットデッキをかけわたしてあった。11:50頃、圧送工1名、土間工4名がエスカレーターピットに下りてコンクリートの打設作業を開始した。12:20頃、土間工4名がコンクリートの均し作業を行っていたところ、フラットデッキの片側が外れて、打設したばかりのコンクリート及び配筋とともに崩壊し、ピット内で作業していた土間工4名と圧送工1名が崩れたコンクリートとともに転落し、フラットデッキ下部に張られていた落下防止ネットを突き破り、さらに2階デッキプレートも突き破り、約11.35m下の養生敷き鉄板上に墜落した。
崩壊したフラットデッキのスパンは3.55mであったが、今回の条件での許容スパンは2.6mまでであり、スパン3.0mを超える場合、安全性を考慮して中間支保工を設けることが必要とされている。崩壊個所にもフラットデッキ割付図には中間支保工を設けることが表示されていたが、これが行われていなかった。
これは、当初の施行計画では、2階スラブコンクリート打設後に3階スラブコンクリートを打設する予定であったが、設計仕様の変更により2階エスカレーターピット下部のスラブコンクリートも打設されずフラットデッキのままであり、中間支保工による補強ができなくなったためであった。
また、フラットデッキの強度が不足しており、中間支保工による補強が必要であることについて、現場関係者は認識していなかった。
【原因】
この災害の原因として、次のようなことが考えられる。
1 フラットデッキに中間支保工を設置していなかったこと
設計仕様の変更に伴い施行計画が変更になり、当初の計画にあった中間支保工による補強ができなくなった。中間支保工がない場合での強度計算では曲げモーメント、たわみともに基準を満足せず、フラットデッキがコンクリートの重さに耐えられなかった。
2 中間支保工の必要性が認識されていなかったこと
フラットデッキの設置には、強度上、中間支保工が必要不可欠であることが関係者に認識されていなかったため、危険な施行計画変更が行われた。
【対策】
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 施工計画が変更となる場合には、関連個所への影響を確認すること
施工計画が変更になる場合には、関連個所への影響を確認し、必要な措置をとることが重要である。なお、工事の安全が確保できない変更は行わないこと。
2 強度上必要不可欠な部材の設置については関係者に周知徹底すること
フラットデッキには強度上中間支保工が必要不可欠であった。そのような重要な情報については関係者に周知徹底し、打ち合わせを行い、設置を確認した上で作業を行うこと。
【業種】
鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業
【被害者数】
休業者数:4人
不休者数:1人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)
No.101014より一部抜粋
万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。
本日も無事故で一日を終えられますように。
工事現場から会社に戻る途中の交差点にて、乗用車と出会い頭に衝突
【発生状況】
本災害は、工事現場から会社に戻るため、会社の所有車に3名が乗って走行中、交差点において乗用車と出会い頭に衝突し、車外に放り出された1名が重傷を負い、残る2名が軽傷を負ったものである。
災害発生当日、午前6時40分頃、Z社の作業者A、B、Cの3名は会社の所有車(マイクロバス)に乗り、Cが運転して工事現場に向かった。午前8時前に3名は工事現場に到着し、午前8時40分から溶接作業を開始し、途中休憩等をはさみ午後7時40分頃まで行なった。午後8時頃、A、B、Cは再び車に乗りCの運転で会社に向かった。午後9時頃、主要地方道を南方向に向かって走行中、交差点において西方向から走行してきた乗用車と出会い頭に衝突した。この衝撃で交差点に進入したとき座席にて眠っていたAが運転席側後部座席のガラスを破り、車外に放り出され、重傷、B、Cは軽傷を負った。このとき、運転者であるCはシートベルトを着用していたが、後部座席に座っていたA及びBはシートベルトを未着用であった。交差点の周囲には立木等があり、交差点に進入する車同士が見えにくくなっている。 また、同交差点の信号は、午後9時から主要地方道側が黄色の点滅信号に、交差する道路側が赤色の点滅信号に変わる。このような交差点を両車とも一時停止または徐行は行わずに進入していた。
なお、Z社の所定労働時間は午前8時~午後5時であるが、工事現場にて作業を行なう日は午前6時40分に出勤して工事現場に向かっている。また、受注した工事の納期の関係から災害発生前1ヶ月間は、午後9時以降に退社することが多い等、作業者に疲労が蓄積していた。
【原因】
この災害の原因として、次のようなことが考えられる。
1 黄色の信号が点滅する交差点に徐行しないで進入したこと
2 後部座席でシートベルトを着用していなかったこと
3 運転していた作業者に疲労が蓄積していたこと
【対策】
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 点滅信号の交差点では、徐行または一時停止を行うこと
交差点に進入する際、黄色の点滅信号では徐行を、赤色の点滅信号では一時停止をし、交差する道路から車が進入してこない等の安全確認をしなければならない。
2 車に乗る際はシートベルトを着用すること
車に乗る際は、運転席、助手席のみならず後部座席に同乗する者もシートベルトを着用する必要がある。
3 疲労が蓄積した状態で運転させないこと
複数の作業者が同乗する場合には、交互に運転を行うなど一人だけが運転することを避けることも必要である。
【業種】
土木工事業
【被害者数】
休業者数:3人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)
No.101015より一部抜粋
万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
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