建設業の労災事例

鉛酸化物製造設備解体による鉛中毒

   

【労災概要】

鉛酸化物を製造していた鉛設備の解体撤去工事(設備をガス溶断装置で分割し、廃材を洗浄し、クレーンでトラックに積込み、搬出・撤去する)を行っていたところ、作業開始から1ヶ月を過ぎた頃から複数の作業者が、腹痛や胃痛等の消化器症状を伴う体調不良となった。後日、医療機関を受診し血液検査を実施したところ、血中鉛濃度が異常値となっており、「鉛中毒」と診断された。なお、本解体撤去工事にて、計7名が被災し入院した。作業者らは保護具を着用していたが、鉛作業に対して不十分な能力のものであった。

【原因】

①鉛作業に適さない(防護が不十分な)呼吸用保護具を使用していたこと

②作業により鉛を含む粉じんやヒュームの発生があることやその有害性について、教育が不十分であったこと

【対策】

①鉛作業の際には、国家検定品の防じんマスクで区分2以上の防護能力のある呼吸用保護具を常に着用する

②鉛については経口で体内に取り込む可能性もあるため、作業場内で食事や喫煙をしない。また、食事や喫煙の際は、作業着を着替え、手洗いやシャワーによって洗い流す。脱いだ作業着は洗濯してから着用し、手袋は使い捨てにする。呼吸用保護具の内部に汚染がないことを確認してから使用する。作業着の襟元や袖口から内部に粉じんが入らないように、手袋の口から粉じんが入り込まないよう注意する

【業種】

その他の建築工事業

【被害者数】

休業者数:2名

出典:厚生労働省ホームページ

職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

 - 函館の建設業, 旭川の建設業, 札幌の建設業 , , , , , , , , , ,

ドラグ・ショベルの積み込み時、荷台から転落しドラグ・ショベル運転士が死亡

   

【労災概要】

道路改良工事の土砂仮置き場で、ドラグ・ショベルを貨物自動車の荷台に積み込む作業をしていた。その際、道板や盛土などを使用せず、ドラグ・ショベルのバケットで貨物自動車の荷台を押して前方を浮かせて載せ、アームを180度旋回して後方の地面をバケットで押して後方も荷台に載せようとした。旋回中にドラグ・ショベルはバランスを崩し、後方に横転し、ドラグ・ショベルの運転者が投げ出された。被災者は、ドラグ・ショベルのヘッドガードと地面の間に頭を挟まれ、病院に救急搬送されたが、間もなく死亡した。

なお、被災者はシートベルトも保護帽も着用していなかった。

【原因】

①ドラグ・ショベルの転倒・転落等を防止するために、十分な長さ・幅・強度を有し、かつ適切な勾配を有する道坂・盛土・仮設台等を使用していなかったこと

②ドラグ・ショベルを用いた作業や搬入出を行うにあたり、作業場所の状況を調査し、使用する機械の種類や能力等に応じた運行経路等の作業計画をあらかじめ定めていなかったこと

③特定元方事業者および関係請負人の労働者が同一の場所で作業を行っていたにも関わらず、作業者間の連絡調整を行わないままドラグ・ショベルの移送作業が行われたこと

④ドラグ・ショベルの転落により運転者に危険が生ずるおそれがあるのに、運転者にシートベルトを使用させていなかったこと

⑤ドラグ・ショベルの運転者が、保護帽を着用していなかったこと

【対策】

①ドラグ・ショベルの移送を行う場合は、原則として専用の重機搬送車を使用すること。やむを得ず貨物自動車等を使用する場合は、ドラグ・ショベルの転倒・転落等を防止するために、十分な長さ・幅・強度を有し、かつ適切な勾配を有する道坂・盛土・仮設台等を使用することにより、安全な積卸しを行うこと。(ドラグ・ショベルを直接、貨物自動車等の荷台に乗り入れる方法による移送は行わないこと。)

②作業場所の状況を調査し、使用する機械の種類や能力等に応じた運行経路等の作業計画をあらかじめ定めること

③特定元方事業者において、その労働者および関係請負人の労働者の作業が同一の場所で行われることにより生じる労働災害を防止するため、作業者間の連絡調整を行うこと

④ドラグ・ショベルの運転者に、シートベルトの使用を徹底させること

⑤ドラグ・ショベルの運転者に、転倒等による危険に備え保護帽を着用させること

【業種】

道路建設工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

 

出典:厚生労働省ホームページ (職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

 - 函館の建設業, 旭川の建設業, 札幌の建設業 , , , , , , , , , , ,