建設業の労災事例

坂道に止めていた高所作業車が動き出して電柱にぶつかり、止めようとした作業者がドアと車体にはさまれ死亡

      2022/12/15

【労災概要】

この災害は、光ファイバーケーブルを個人住宅へ引き込む工事の際に発生したものである。

災害発生当日、作業者AとBの2人は、高所作業車で事業場を出発し、午前と午後、合わせて3軒の個人住宅に光ファイバーケーブルを引き込む工事を終了し、事業場に戻ろうと、3軒目の住宅前の坂道(勾配約10度)に駐車していた高所作業車に向かった。輪止めを外し、ドアを開け、乗車しようとしたところ車が急に動き出したので、車の左側にいたAは助手席越しにサイドブレーキを引いて止めようとしたが、車のドアが電柱に衝突したため、ドアと車体の間にはさまれたものである。Aは病院に搬送されたが、死亡した。

3軒目の個人住宅での工事において、高所作業車を使用した高所作業を終え、屋内配線工事に移る際、高所作業車の運転を担当していたBは、輪止めをしていたが、サイドブレーキを十分に引いておらず、ギアはニュートラルのままであった。

この事業場では、高所作業車を坂道に駐車する場合に、輪止めを使用することは作業者に徹底していたが、輪止めをするときや外すときの手順、ブレーキ、ギア等の確認事項を盛り込んだ作業手順書を作成していなかった。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 坂道に駐車した際、サイドブレーキを確実に掛けておらず、ギアをニュートラルとしていたこと

2 高所作業車を坂道に駐車する場合の輪止めをするときや外すときの手順、ブレーキ、ギア等の確認事項を盛り込んだ作業手順書を作成していなかったこと

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 高所作業車を坂道に駐車する場合は、輪止めを使用し、サイドブレーキを確実に掛けるとともに、ギアは坂の勾配と逆に入れておくこと

坂道で高所作業を行わずに高所作業車を駐車する場合は、輪止めを使用するほか、サイドブレーキを確実に引くとともに、ギアを坂の勾配と逆に入れる(下り坂方向に駐車する場合、バックギアに入れる)ようにする。

2 高所作業車を使用する作業について、輪止めをするときや外すときの手順等を含めた作業手順書を作成すること

坂道で輪止めをする前や外した後に高所作業車が逸走することを防止するため、輪止めの手順やブレーキ、ギア等の確認事項を盛り込んだ作業手順書を作成し、作業者に周知徹底する。

【業種】

電気通信工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

 

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大型看板解体中に看板が倒壊

      2022/12/14

【労災概要】

この災害は、構造物をアセチレン溶接装置で溶断中に当該構造物が倒壊し、溶断作業をしていた作業者に激突したものである。

この作業は、鉄くず回収業等を営む事業者が、営業を閉鎖した店舗の大型看板を譲り受け、鉄骨を回収するために行っていたものである。看板は、縦1m×横3mの鉄板5枚をコの字型に連結したものを6本の鉄骨で支えていた。

最初は、車両積載型トラッククレーンで引っ張りながら6本の鉄骨根元を溶断し、当該クレーンでつりあげようとしたがつりあげることができなかった。次に、クレーンの牽引用フックにワイヤロープを掛けて看板を引き倒すこととしたが看板は倒れなかった。このため看板を小分けすることとし、被災者は脚立に乗り、アセチレン溶接機で鉄板の固定を切断していたときに看板全体が倒壊を始め、被災者に激突したものである。

当該事業場で行う鉄くずの回収は小規模のものが多く、今回初めて大規模な解体作業を行っていたものである。

被災者は、ガス溶接技能講習修了の資格を有していなかった。また、保護帽を着用していなかった。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 事業場としてこれまで経験したことのないような大型の建築物の解体について、あらかじめ安全な解体方法等の検討が行われなかったこと。

建築物の解体の作業においては墜落災害、飛来落下災害、倒壊災害等が発生しており、これらの災害を防止するためにはあらかじめ安全な解体方法等について検討することが不可欠であるが、当該事業場においては、これらの検討が行われていなかった。

2 大型の建築物の解体について、無理な解体方法をとったこと。

当該看板はコの字型とはいえ、全長が15mに及ぶ長さのものを一度にクレーンでつって解体しようとした。重量もさることながら、横に長いものをつることによって全体にねじれが生じ、さまざまな形で構造物が変形するおそれがある。

3 溶断作業にあたった者の技能が未熟であったこと。

鉄骨等の溶断作業を行った被災者は、鉄骨の解体業務についてもほとんど経験がなく、しかも、ガス溶接技能講習も修了していなかった。被災者が溶断を行った鉄骨は一部に完全な溶断が行われていない箇所があり、最初にクレーンでつりあげられなかったことがこの災害の一要因ともなっている。

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 安全な作業計画を定めること。

建築物の解体に当たっては、倒壊、墜落、飛来落下等の防止の観点から安全な作業計画を定め、作業者に周知する。特に大型の建築物は予想外の方向に倒壊することがあるので、安全の確認できる範囲でできる限り小分けした解体方法とする。

2 作業指揮者を配置すること。

大型建築物の解体に当たっては、作業指揮者を定め、関係者 以外の立入禁止、保護具の使用状況等を監視させるとともに、作業指揮者の指示の下に作業を行う。

3 資格を有しなければ就業できない作業について、資格の確認をすること。

職場で行われる作業には、一定の知識、経験がないと正しい作業ができなかったり、危険な作業方法を取ったり、必要な確認をしなかったりして、それらのことが要因となって災害が発生するものがある。労働安全衛生法で必要な資格を定め、資格を有していない者の当該作業への就業を禁じている作業に労働者を就かせる場合は、必要な資格を有している者であることを確認しなければならない。

【業種】

その他の建築工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

 

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