建設業の労災事例

送水管敷設工事の覆工板開口部から墜落して死亡

      2022/12/28

【労災概要】

この災害は、送水管敷設工事現場において発生したもので、工事は、地中深さ26mの立坑を掘り、深さ25mに埋設されている送水管と深さ3mに埋設されている配水管を接続するための送水管等を新設するものであった。

災害発生直前、作業者Aは同僚の作業者とともに、移動式クレーンで立坑内へつり下げた鋼管を、地中深さ7.5mの立坑の途中の開削水平管路内にチェーンブロックで横引きする作業に従事していた。横引き作業の途中で移動式クレーンの玉掛け用具であるナイロンスリングが地上の覆工板開口部の縁に接近したので鋼管を仮置きする必要が生じ、塗装面の損傷を防止するために角材が必要になった。このため、Aは開削管路から移動はしごで地上に上がって角材を探し出し、移動式クレーンの合図者に角材を開削管路まで下ろすよう依頼し、自らは移動はしごで開削管路まで戻ろうと覆工板開口部に歩み寄ったときに足を滑らせ7.5m下の開削管路の床面まで墜落し、死亡した。

移動はしごは数日前にAら関係作業者が開削管路内に下ろして使用していたもので、脚は開削管路の床面に置き、先端は地上の覆工板開口部から28cm突出して、開削管路に番線で固定していた。

前日の作業打ち合わせおよび当日の朝礼において、この移動はしごの使用は禁止であり、開削管路と地上の移動には立坑内に設置された足場式通路のみを使用するよう指示されたが、作業者は遠回りになることから、移動はしごを架けて使用していた。また、現場監督者等もこの行為を黙認していた。

また、覆工板開口部の周囲には、作業者が墜落することを防止するための柵等は設けられていなかった。

なお、この工事現場では作業者に対し、安全衛生教育を実施していなかった。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 移動はしごの上端が床面から28cmしか突出していなかったこと

2 移動はしごが架けられていた付近の覆口板開口部に、柵等の墜落防止措置が講じられていなかったこと

3 禁止されていた移動はしごの使用が黙認されていたこと

4 作業に必要な損傷防止の角材があらかじめ作業場所に準備されていなかったこと

5 作業の危険性等について安全衛生教育が行われていなかったこと

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 はしごは開口部床面から60cm以上突出させること

2 作業者が墜落するおそれのある開口部には、墜落防止のための柵等を設けること

3 地下の作業場所と地上との間に安全な昇降設備を設け、作業者にその使用を徹底するとともに、移動はしごは撤去し使用させないこと

4 作業の内容や手順について事前に検討し、作業で必要な資材はあらかじめ必要となる場所に用意しておくこと

5 作業に伴う墜落その他の危険性等について、安全衛生教育を実施すること

【業種】

上下水道工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

 

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天井裏の点検中、照明器具のプラグで感電し、死亡

   

【労災概要】

この災害は、食料品製造工場の天井断熱材の張替え工事で発生したものである。

災害発生当日、内装工事、建築板金を営むZ社の作業者Aは、班長Bとともに、天井断熱材の張替え工事を受注した食料品製造工場で朝から作業を開始した。当日の作業は、工場の2階天井裏の断熱材を張り替えた後の点検であった。

AおよびBは、天井裏で照明器具(100V、90Wの白熱灯)を使用するため、2階の壁にあるコンセントにドラム式延長コード(長さ30m)のプラグを差し込んだ後、延長コードのドラムと照明器具を1台ずつ持って天井裏へ上った。

天井裏で、2人は、ドラム式延長コードのコンセントに照明器具のプラグを差し込んで、断熱材の張替え作業の際に天井裏に置いた足場板(幅9cm)の上から断熱材の固定状況等を確認していたが、途中でコードの長さが足りなくなったので、新たに延長コード(長さ10m)を4本持ち込み、順次コードを接続して点検作業を行った。

午後3時頃、点検作業が終了したので延長コードの片付けを始めたが、その手順は照明器具のプラグを抜いた後、末端の延長コードのプラグを抜き、その後、照明器具のプラグをコンセントに差し込んで再び照明を確保して、抜いた延長コードを束ねながら後退するという手順で行っていた。この手順で2本の延長コードを束ね、3本目の延長コードを抜いたところに、Aが照明器具のプラグを差し込んだとき、火花が飛びAが倒れた。Aは病院に移送されたが死亡した。

Aがプラグを差し込んだコンセントのボディは、一部が破損していて内部の充電部が露出していた。Aは暗がりの中、手探りでプラグを差し込もうとしてコンセントの露出していた充電部に触れ、感電したものであった。

断熱材の張替え作業中では、天井裏に電源コードを仮設して照明や電動工具の電源を確保していたが、張替え作業修了とともにすべて撤去する工事計画書になっており、点検作業が行われた当日は、天井裏に照明設備はない状況であった。

また、AおよびBは当日、現場に持ち込んだ延長コードや照明器具を作業前に点検しておらず、Z社では工事作業中の感電災害防止について、作業者に教育を実施していなかったため、作業中の感電の危険性についての作業者の認識が欠けていた。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 延長コードのボディが破損していたこと

延長コードのボディが破損していて充電部が露出していたため、Aが暗がりの中、手探りでプラグを差し込もうとして充電部に触れ、感電した。災害発生当日は、作業前に持ち込んだ照明器具および延長コードを点検していなかった。

2 天井断熱材の張替え工事全体の工事計画書が不十分であったこと

天井裏の照明は、断熱材の張替え作業中には確保されるようになっていたが、点検作業時には照明が撤去されている計画となっていた。そのため、AおよびBは照明器具および延長コードを天井裏に持ち込み、また、延長コードの継ぎ足し時や片付け時には一時、照明がない状態で作業しなければならなかった。

3 作業者に対し、感電防止についての教育を実施していなかったこと

低圧電路であっても、設備の状況や作業方法によって感電する危険性があることを作業者に対し教育していなかった。そのため、作業者に作業中に感電するという認識はなかった。

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 現場に持ち込んだ電気器具類の点検を作業前に行うこと

工事の際、現場に持ち込む電気器具や延長コードは、作業前に点検を行い、損傷がないことを確認する。万が一、損傷が見つかったときは、修理又は交替が済むまで作業では使用しないように区別する。

2 工事期間全体を考慮した工事計画書を作成すること

現場で作業が行われる間は常に照明が確保されるよう、準備作業や点検作業を含めた工事期間全体を考慮した工事計画書を作成する。

なお、出張作業において電源が確保されていない場所で作業を行う場合には、臨時の電源の確保について施設の所有者と工事着工前に十分な打ち合わせを行うようにする。

3 作業者に対し、感電防止についての教育を実施すること

低圧電路であっても周辺の状況によって充電部に接触した場合には感電死することがあるので、作業者に対して、その知識の有無を確認するとともに必要な教育を行う。

【業種】

その他の建築工事業

【被害者数】

死亡者数:1人

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害事例 (mhlw.go.jp)

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

 

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