建設業の労災事例

つり足場の解体作業中、持っていた足場板が突風にあおられて、足場上から墜落し死亡

   

【労災発生状況】

この災害は、地上20mのビル屋上の塔屋部に設置された広告塔の鉄骨部塗装工事において発生した。

塗装工事は、約3週間の工期で行われ、すでに広告塔鉄骨部の塗装をすべて終了し、残ったつり足場等の解体をZ社が請負っていた。

災害発生当日は、工期の最終日に当たり、午前中に広告塔鉄骨からワイヤロープでつり下げられたつり足場の解体作業を行うこととなり、足場の組立等作業主任者であるAおよび作業者B~Dの4名が従事した。

作業は、Aの監視の下で、つり足場に乗った作業者BおよびCが長さ120cm、幅60cmの足場板を1枚づつ取り外して繊維ロープを結び、このロープを塔屋上にいるDが引き上げて塔屋上に仮置きする方法で行われ、南側の足場板から北側に向かって作業が進められた。BおよびCが5枚目の足場板を取り外し、Bが繊維ロープを結ぼうとしたとき突風が吹き、外した足場板が風であおられたため、Bはバランスを崩して地上まで墜落し、死亡した。

災害が起きた現場には、ビル屋上から地上へ作業者が墜落したり資材が落下したりするのを防止するための防護柵や安全ネット等の措置は講じられていなかった。また、足場上で作業を行っていたBおよびCは、安全帯を着用していたが、親綱が設置されていなかったため使用しておらず、Aや現場にいた元請業者の現場責任者も墜落防止対策の実施や指導を行っていなかった。

当日の天候は、晴天ではあったが、時おり強い風が吹いていた。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 作業者の墜落や資材の落下を防止する措置が講じられていなかったこと

地上20mのビル屋上におけるつり足場の解体作業であり、作業者の墜落や資材の落下の危険があるにもかかわらず、防護柵や安全ネットの設置等、墜落・落下の防止措置が講じられていなかった。

2 足場の組立て等作業主任者が選任されていたにもかかわらず、安全帯を使用させて作業を行わせなかったこと

現場には、足場の組立て等作業主任者が配置されていたが、作業者に安全帯を使用させるために親綱を張る等の措置が講じられておらず、作業者に安全帯を着用させて作業を行わせなかった。

3 元請業者の現場責任者による下請業者への指導が十分ではなかったこと

つり足場の解体作業を行うときの安全対策について、元請業者の現場責任者が適切な指示や指導を下請業者に対して行っていなかった。

4 時おり強い風が拭いている中で高所における作業を行ったこと

時おり強い風が吹き、作業者が墜落する危険が予想される状況下で作業を中止することなく、強行したため、作業者の墜落につながった。

 

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 高所における工事では、墜落や落下の防止措置を講じること

ビル屋上等、作業者の墜落や資材の落下のおそれがある高所での工事では、防護柵や安全ネットの設置等の墜落・落下防止措置を講じる。

また、作業者が安全帯を使用できるよう親綱を張る等の措置を講じるとともに、作業者に安全帯を使用させるよう指導することも必要である。

2 つり足場の解体作業では、足場の組立て等作業主任者を選任するのみならず、その職務である次の事項を必ず行わせる必要があること

(1) 材料の欠点の有無を点検し、不良品を取り除くこと

(2) 器具、工具、安全帯等及び保護帽の機能を点検し、不良品を取り除くこと

(3) 作業の方法および労働者の配置を決定し、作業の進行状況を監視すること

(4) 安全帯等および保護帽の使用状況を監視すること

3 元請業者等の現場責任者は、危険な作業については下請業者に対する指導も行うこと

元請業者等の現場責任者は、作業場所の巡視や元請と請負人との間、また請負人相互間における連絡・調整等を必ず実施し、つり足場の解体作業を行うときの墜落防止措置等、必要な安全対策についての指示、指導を行う必要がある。

4 悪天候のため危険が予想されるときは高所での作業を行わないこと

つり足場の解体のように高所で作業を行う場合において、強風、大雨、大雪等の悪天候のため、作業者の墜落、資材の落下等の危険が予想されるときは、高所での作業は中止する。また、屋外で行われる工事は、悪天候により順延されることを考慮し、余裕を持った工期とする。

【被害者数】

死亡者数:1人

【業種】

その他の建築工事業

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101085より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の 札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

 

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ドラグ・ショベルが横転し、運転者が死亡

   

【労災発生状況】

この災害は、河川改修工事において、ドラグ・ショベルを使用して土嚢(土のう)を運搬する作業中に発生したものである。

災害発生当日の作業は、2台のドラグ・ショベルを使用して、右岸上に置かれた土嚢を左岸側の河川敷に運搬するものであった。

1台目のドラグ・ショベルで、右岸上にある土嚢を2袋ずつバケットのフックに繊維ロープにより玉掛けしてつり上げた後、仮設道を通り、河川敷まで運んで下ろし、そこに待機しているもう1台のドラグ・ショベルで運ばれてきた土嚢を同様の方法でつり上げて、左岸側の所定の位置まで運搬するという作業を行った。

何回目かの運搬作業のため、右岸上においてドラグ・ショベルにより土嚢をつり上げて旋回したところ、ドラグ・ショベルが横転し、3m下の河床まで回転しながら転落した。転落した際、ドラグ・ショベルの運転者は機体の外に放り出され、ドラグ・ショベルのクローラの下敷きになった。なお、ドラグ・ショベルが横転した個所の路肩には崩壊等の変化は見られなかった。

土嚢の運搬作業に当たっては、移動式クレーンや運搬車の手配を考えることなく、現場にあったドラグ・ショベルを用途外使用することを前提に工事計画書が作成されていた。また、ドラグ・ショベルによる運搬作業において、ドラグ・ショベルの構造や能力から一度に運搬できる土嚢の数をあらかじめ検討することもしていなかった。そのため、当日は、ドラグ・ショベルの運転者の感覚に頼って2個の土嚢をつり上げて旋回したとき、地面が傾斜していたこともあって、ドラグ・ショベルが横転したものである。

なお、現場で使用していた作業計画書には、土嚢運搬作業は盛り込まれていなかった。また、ドラグ・ショベルの運転者に対し、安全衛生教育を実施していなかった。

【原因】

この災害の原因として、次のようなことが考えられる。

1 ドラグ・ショベルを主たる用途以外の用途に使用したこと

2 ドラグ・ショベルの種類や能力、運行経路、作業方法について示された作業計画書が作成されていなかったこと

3 ドラグ・ショベルの運転者に対し安全衛生教育を実施しなかったこと

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 ドラグ・ショベル等の車両系建設機械を主たる用途以外の用途に使用しないこと

荷を運搬する作業の場合は、移動式クレーンやクレーン機能付き車両系建設機械等荷を運搬することができる機械を使用する。また、クレーン機能付き車両系の建設機械で荷をつり運搬する場合は、クレーン作業そのものであるので、運転資格者、玉掛け資格者の確保その他の移動式クレーン作業にかかる安全対策を講じた上で作業を行う。

なお、止むを得ず車両系建設機械を主たる用途以外の用途に使用する場合は、一定の要件を満たすつり上げ用の器具を取り付けた上で、車両系建設機械の転倒または転落を防止するため合図者を指名して、その者に合図をさせるとともに、構造、出力等に応じ、安全に作業することができる荷重を超えてつり上げないようにする等の措置が必要である。

2 すべての作業について使用するドラグ・ショベル等の車両系建設機械の能力、用途等を検討した作業計画書を作成すること

工事中に行われるすべての作業について、使用する車両系建設機械の種類、用途、能力、運行経路、作業方法を事前によく検討して作業計画書を作成する。

3 ドラグ・ショベル等の車両系建設機械の運転者等関係労働者に対し安全衛生教育を行うこと

車両系建設機械の運転操作について、安全衛生教育を行う。

【業種】

河川土木工事業

【被害者数】

死亡者:1人

 

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101086より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の 札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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