鉄橋を走行中のトロッコから、河原に墜落し死亡
【労災発生状況】
この災害は、鉄道の鉄橋の塗装工事現場で、作業用照明設備の設置作業のためトロッコで作業現場に向かっているときに発生した。
災害発生当日は、作業開始前ミーティングが行われた後、作業者全員でトロッコに資材を積み込んだ。作業者Bが最初のトロッコを出発させようとしたところ、作業者Aが「一緒に乗せて行ってくれ」と言ってトロッコに乗りこんできたため、BはAとともに作業現場へ向けて出発した。
トロッコには推進のための動力がないため、Bはトロッコの前方で左足をトロッコに乗せ、右足で枕木を蹴ってトロッコを前進させていた。Aはトロッコ後方で後ろ向きに座り、枕木を蹴ってトロッコを前進させていた。
鉄橋上で3つ目のトラスの中央付近に差し掛かったとき、突然、Aがトロッコから転落し、さらに上り線と下り線の間にある約1mの隙間から、約14m下の河原に墜落した。
トロッコは、資材を運搬するためのものであり、事業場では運転者のみ乗車させ、他の作業者の同乗は禁止していたが、作業者には周知徹底されておらず、普段から移動のためにトロッコに同乗していた。
トロッコには作業者が転落するのを防止するための柵等の設備はなく、また、トロッコに乗る作業者は、運転者作業者とも、普段から安全帯を所持していたが、乗車時にこれを使用することはなかった。
なお、塗装工事が行われる鉄橋では、安全ネットの設置等、塗装作業中の作業者が河原に墜落するのを防止するための措置は講じられていなかった。
【原因】
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 トロッコに乗車した作業者が転落するのを防止するための設備がなく、作業者も安全帯を使用していなかったこと
トロッコはもともと作業者の同乗を前提にしたものではないので、柵等の転落防止の設備が設けられていなかった。これは、運転者が乗る部分についても同様であった。
また、作業者も安全帯を所持していたが、トロッコ上で使用していなかったため、走行中のトロッコから転落した。
2 塗装工事が行われる鉄橋に作業者が墜落するのを防止するための措置が講じられていなかったこと
鉄橋に安全ネット等、作業者が転落しても被害が最小限で済むような設備が設けられていなかったため、トロッコから転落した作業者が鉄橋の隙間から河原に墜落した。
3 作業者が、禁止されていたトロッコに同乗したこと
トロッコへの同乗が禁止されていたにもかかわらず、作業者に周知徹底されていなかったため、作業者が自身の移動のために同乗し、転落した。
【対策】
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 トロッコに転落防止の措置を講じること
トロッコに乗車した作業者(運転者および同乗者)が転落することのないような設備をトロッコに設ける。なお、トロッコの構造上、こうした設備を設けることができない場合には、乗車した作業者に確実に安全帯を使用させ、転落防止を図ることが必要である。
2 高所作業の現場では墜落防止の措置を講じること
塗装作業が行われる鉄橋などの高所には、作業者が作業場所から墜落することのないよう、安全ネットを張る等の墜落防止のための措置を講じる必要がある。
3 作業者にトロッコへの同乗禁止を周知徹底すること
禁止されているトロッコへの同乗については、作業開始前のミーティング等で繰り返し教育し、作業者への周知徹底を図るようにする。また、運転者に対しても安全帯の使用とともに、他の作業者を同乗させないことを徹底させる。
【業種】
建築設備工事業
【被害者数】
死亡者数:1人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)
No.101036より一部抜粋
万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。
本日も無事故で一日を終えられますように。
高所作業車で電気ケーブル撤去作業中、感電し死亡
【労災発生状況】
この災害は、工場の1次電源断線工事における電気ケーブル撤去作業において、ケーブルの切断部分が作業中の高所作業車の搬器に接触し、搬器全体が通電状態となり、搬器の中にいた作業者が感電したものである。
災害発生当日は、工事の1次下請Y社の現場責任者の指揮のもと、2次下請Z社の作業者7名でケーブル撤去作業を行うことになっており、午前中は高圧ケーブル及び低圧幹線ケーブルの撤去作業が、午後は別の低圧幹線ケーブルの撤去作業が予定されていた。作業者Aは、他の作業者とともに高所作業車の搬器に乗り、天井近くまで上昇した。このとき、天井から垂れ下がっていた通電状態の低圧幹線ケーブルの切断部分が高所作業車の搬器の床面に接触し、搬器全体が通電状態となった。その直後、Aは、ケーブルの撤去作業の前に安全帯のフックを搬器の枠に掛けようと左手で鉄製の枠を握ったため、感電し被災した。ケーブルの切断面は、テーピング等による感電防止処理はされず、剥き出しのままであった。
ケーブルの撤去作業は停電状態で行われる前提であったが、作業手順書では、念のために、まず検電作業を行い、停電状態を確認した上で高所作業車を使って撤去作業を行うことになっていた。午前中の作業では作業手順どおりに検電作業の後、撤去作業が行われたが、午後の作業では、ケーブルの撤去作業前の検電作業が省略されていた。
ところが、午後の作業現場のケーブルは未だ通電状態となっており、しかも、Z社の現場責任者が、停電状態であると勘違いし、作業者に誤った指示をしていた。
【原因】
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 発注者および請負事業者間の連絡が不十分であったため、通電状態のまま作業が行われたこと
災害発生当日は、通電状態のままになっており、感電の危険があった。このように安全上の重要な情報について関係事業者間の連絡が不十分であったため、配線担当の現場責任者に伝わらず、停電状態と勘違いしたまま作業指示が行われた。
2 作業手順書に従わないで、作業を行ったこと
作業手順書では、ケーブルの撤去作業開始前に検電作業を行うことになっていたが、作業手順書に従わずに検電作業を省略して作業を始めた。
3 ケーブルの切断部分に感電防止処理が施されていなかったこと
ケーブルの撤去作業は、停電状態で行われる前提であったため、切断面がテーピングされる等の処理が施されていなかった。
【対策】
1 電気工事は、停電状態で行うことが原則であり、特に複数の事業者が介在する電気工事においては、通電・停電の確実な連絡を行うこと
今回のように、複数の施工業者が作業する場合には、発注者から末端の下請まで通電・停電の連絡を確実に行うことは、災害防止には不可欠である。
2 作業手順書に従って作業させること
この工事では、停電状態で作業を行うことになっており、作業前に検電して停電状態を確認するという作業手順が決められていた。これは、感電防止対策として重要であり、作業者には作業手順を守るよう周知徹底するとともに、作業手順どおりの作業を行っていることを現場責任者が確認することが重要である。
3 ケーブルの切断部分に感電防止処理を施すこと
停電状態での作業が前提であっても、ケーブル切断部分にはテーピング等により絶縁処理を行っておくことも重要である。
【業種】
電気通信工事業
【被害者数】
死亡者数:1人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)
No.101037より一部抜粋
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