建設業の労災事例

マンション新築工事において、クライミング式ジブクレーンのジブが外部枠組足場と接触し、折損

   

【発生状況】

本災害は、マンション新築工事において、クライミング式ジブクレーン(つり上げ荷重1.09t)を使用して、トレーラーから鉄筋を荷下ろしする作業中、クレーンのジブが外部枠組足場と接触し、その部分からジブが折れ曲がったものである。なお、本災害では被災者はいなかった。

当日は、朝から行われたコンクリート打設作業の終了後に、トレーラーから鉄筋を下ろす計画になっていたが、コンクリート打設作業が終了したのは予定より大幅に遅れ日没の30分前であり、かなり暗くなっている中、照明もないままクレーンによる荷下ろし作業が開始された。

クレーンの運転操作は無線操作式であり、クレーンの運転士は、まず、トレーラーの荷台で鉄筋を玉掛けし、荷台から約2mつり上げ、左旋回により地上約3mの高さで移動させ、伏操作により所定の位置でいったん地上に下ろした。そして、次に下ろす荷の配置を考え、つり荷を少し南側に移動させようと、クレーン運転士は荷を介錯しながら、約0.5m巻き上げ操作を行った後、ジブの起操作を行った。しかし、つり荷は上昇せず、逆に下降したため、上方のクレーンを見るとジブが外部枠組足場の最上部の脚柱ジョイントと接触し、下方に曲がっていた。このとき、ジブの傾斜角度は、許容範囲内であった。

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

1 事故発生時、クレーンのジブ傾斜角度は許容範囲内であったにもかかわらず、外部枠組足場と接触したこと

本工事では、低層階部分終了後、高層階部分の施工にあたり外部枠組足場を高くし、それに伴いジブクレーンのマストを延伸してジブ起伏支点部の位置を高くする計画であった。しかし、実際には、マストの延伸が不十分で、ジブ傾斜角度の許容範囲内でも外部枠組足場に接触してしまう高さであった。

2 照明がなく、暗い中で無線操作式のクレーンを運転したこと

日没30分前の暗い中、照明もなく、地上からは上方のクレーンジブの位置が確認しにくいにもかかわらず、地上で無線操作によりクレーンを運転した。

【対策】

同種災害を防止するためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 クレーンのジブの傾斜角度を下限最大にしても外部枠組足場に接触しないようにすること

ジブクレーンのジブが外部枠組足場に接触しないようにするためには、ジブ起伏支点部の位置を高くする、または、外部枠組足場の高さを低くするような計画を立てる必要がある。さらに、現場ではジブクレーンと外部枠組足場を設置した後、随時、計画どおりジブ傾斜角度が許容範囲内であれば外部枠組足場と接触しないことを確認することも必要である。

2 暗がりの中ではクレーンの運転を行わないこと

暗がりの中でクレーンを運転することが予想される場合には、あらかじめ照明を用意する。また、作業工程の都合により、前の作業が終了後にクレーン作業を行う場合には、前の作業が遅れることを想定し、その対応も考慮した工事計画とする必要がある。

【業種】

鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業

【被害者】

なし

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101022より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。

 

 

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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荷下ろし作業中にホイールクレーンが転倒

   

【発生状況】

本災害は、鉄筋コンクリート建屋の新築工事現場における場内の清掃作業において、ホイールクレーンを用いたゴミ袋の荷下ろし作業中にホイールクレーンが転倒したものである。

災害発生当日、午後から、場内の清掃作業に伴い、3階荷取りステージから集積ゴミの荷下ろし作業が行われた。移動式クレーン運転士Aは清掃中の作業者Bの指示により、ホイールクレーン(つり上げ荷重25t)を運転し、3階荷取りステージに集められたコンクリートガラを入れたゴミ袋(重量約180kg)をつり上げ、作業半径14mで旋回した。これを荷下ろしする時、Bが指示する荷下ろし個所よりもさらに前方の集積場所付近に荷を下ろそうとジブを倒していき、作業半径32mになったとき過負荷防止装置の警報ブザーが断続的に鳴り出した。この時、Aは自らの判断で過負荷防止装置の自動停止機能を解除し、さらにジブを倒していったところ、ホイールクレーンの機体後方が浮いたので、あわててつっていたゴミ袋を地上に降ろそうとしたが間にあわず、機体が前方に転倒した。この事故による死傷者はいなかった。

移動式クレーン運転士Aは、元請とホイールクレーンを所有する会社の間の運転士付きリース契約のもと、現場に派遣されていた。Aは、当日の作業前ミーティングには参加しておらず、また、現場の入構時教育も受けていなかった。

【原因】

この災害の原因として、次のようなことが考えられる。

1 移動式クレーン運転士が玉かけ合図者の指示に従わず、自らの判断で荷下ろし場所を変更しようとしたこと

ホイールクレーンの作業半径を無理に広げようとしたため、つり荷の重量がホイールクレーンの定格荷重を超えた。

2 移動式クレーン運転士が、過負荷防止装置の自動停止機能を解除し、ジブを倒したこと

過負荷防止装置の警報が鳴った際、移動式クレーン運転士が自動停止機能を解除して、さらにジブを倒したため、ホイールクレーンがバランスを失った。

3 移動式クレーン運転士に対し、入構時教育を行っておらず、また、作業前のミーティングにも参加させていなかったこと

移動式クレーン運転士は、必要な安全衛生教育を受けていないため、現場における安全ルールを知らず、当日の作業スケジュールも把握していなかった。

【対策】

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

1 移動式クレーン運転士には、玉かけ合図者の指示に従って、ホイールクレーンを操作することを徹底させること

移動式クレーン運転士は、玉かけ合図者の指示に従い、慎重にホイールクレーンを操作する必要がある。現場においては、これを徹底させること。

2 移動式クレーン運転士には、過負荷防止装置の自動停止機能を解除しないよう徹底させること

過負荷防止装置の警報が鳴った際には、さらにホイールクレーンが不安定になるような操作を行わず、周囲の安全を確認して、必要な措置や行動をとることが必要である。過負荷防止装置の自動停止機能を解除することがないようにしなければならない。

3 現場に入構する者全員を対象に安全衛生教育を実施すること

1日だけ入構する者であっても、例外なく入構時教育を実施し、現場の安全ルールを周知させることが必要である。運転士付きリース契約により現場に派遣された労働者に対しても、元請業者が安全衛生教育を実施し、現場の安全な作業方法を守るよう教育することが重要である。

【業種】

鉄骨・鉄筋コンクリート造家屋建築工事業

【被害者数】

なし

出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)

No.101023より一部抜粋

 

万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。

その他労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営のhttps://aimgroup-sr.com/へ是非ご相談ください。

 

本日も無事故で一日を終えられますように。

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