鉄道の高圧電線の張替え工事中感電し死亡
【労災発生状況】
この災害は、鉄道の高圧電線の張替え工事で発生したものである。
災害発生当日、鉄道の架線および饋(き)電線(直流1,500V、架線に電気を供給するもの)に併架されている高圧電線(交流6,600V、駅の照明、エスカレータ等の設備に電気を供給)の張替え工事を請け負ったZ社では、工事指揮者、作業指揮者、列車見張り員2人および作業者9人を現場に派遣し、朝礼で作業分担を確認した後、作業を開始した。
作業者AとBは、2人1組になって架線柱の上で、張替えを行う高圧電線の下に張られている饋電線に絶縁用防護管を装着する作業に取りかかった。
Bは、滑車付きのフックを架線柱のビームにかけて、地上にいる作業者が5本1束の防護管を架線柱の上に引き上げた。Aは、Bに「防護管を連結してくれ」と声をかけ、自分は連結された防護管を饋電線に装着して順次延ばしていく作業を行った。
間もなくして、防護管の連結をしていたBは、傍らで作業していたAが饋電線に触れ、感電しているのを見つけた。Bは、絶縁用ゴム手袋をはめた手でAを饋電線から引き離したが、Aは意識不明であった。その後、Aは病院に移送されたが死亡した。
Aは被災したとき、作業服、肩当、反射チョッキ、保護帽および安全帯のほか、絶縁用保護具としてゴム手袋およびゴム長靴を着用していたが、絶縁用保護具を着用していない部位が、絶縁用防護管をまだ装着していない饋電線に触れて感電したものである。
当日の作業は、高圧活線作業であったことからZ社では、作業指揮者1人を選任し、現場に派遣していたが、複数の架線柱で同時に作業が行われたため、一人ですべての作業を監視することはできなかった。
工事が行われていた現場では、日中は1時間に数本の列車が通過するため、夜間作業や短時間の停電を前提とした作業計画を作成すべきであったが、十分な検討が行われず、饋電線を停電しないで作業を行った。
また、現場に派遣された工事指揮者は、活線状態で行われる饋電線への絶縁用防護管の装着作業について、感電防止の措置や安全上の留意事項の伝達や指示を当日の朝礼で十分に行っていなかった。
【原因】
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 作業計画の作成時に安全の検討が不十分なまま、安易に活線作業を行ったこと
Z社では全体の作業計画を作成する際、饋電線への絶縁用防護管の装着を夜間作業や短時間の停電作業で行う方法について十分検討することなく、安易に活線作業を行ったため感電災害につながった。
2 作業指揮者が監視の業務を果たせなかったこと
当日は、Z社が現場に派遣した作業指揮者は1人であり、ほかに監視人がいなかったため、複数の架線柱で同時に行われた活線作業をすべて監視することができなかった。
3 作業開始前の打ち合わせで伝達や指示が十分に行われなかったこと
作業発生当日の朝礼において、活線作業における感電防止の措置や安全上の留意事項に関する伝達や指示が十分に行われなかった。
【対策】
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 作業の安全確保を十分に検討した上で、より安全な作業計画を作成すること
高圧電路、低圧電路を問わず作業中の感電を防止するためには、停電作業とすることを原則とし、作業計画の作成時に、停電作業の可能性について、発注者である鉄道会社と打ち合わせることが重要である。なお、やむを得ず活線作業とする場合には、作業個所の防護の手順、作業指揮者の配置等について十分な検討を行って安全を確保することが必要である。
2 作業指揮者等に監視を確実に行わせること
やむを得ず活線作業を行う場合は、同時に行われる作業をすべて監視できるように必要な人数の作業指揮者や監視人を現場に派遣し、活線作業が安全に行われていることを監視させる。
3 作業開始前の打ち合わせで、伝達と指示を十分に行うこと
作業開始前の打ち合わせは特に重要であり、慣れた柱上作業であっても架線柱の状況、人員配置等、現場によって作業条件が異なるので、工事指揮者は、それらを把握した上で適切な作業の指示や伝達を行う必要がある。さらに、朝礼では、ヒヤリ・ハット活動やKY活動を実施し、作業者に危険個所と安全な作業方法を確認させることも効果的である。
【業種】
電気通信工事業
【被害者数】
死亡者数:1人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)
No.101091より一部抜粋
万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
また、他にも労務相談等お困りごとがございましたら、当団体運営の 札幌・東京の社会保険労務士法人 Aimパートナーズ (aimgroup-sr.com)へ是非ご相談ください。
本日も無事故で一日を終えられますように。
焼却炉でゴミを燃やしていたところ、作業服に引火し、死亡
【労災発生状況】
この災害は、寄宿舎前の駐車場敷地内において、管理人Aが焼却炉で寄宿舎のゴミを焼却していたところ、発生した火の粉がAの作業服に燃え移り、火傷により死亡したものである。
災害発生当日、Aは、いつものように寄宿舎に寝泊りする作業者達を送り出したあと、寄宿舎内の清掃に取りかかった。約4時間後、Aは、清掃中に回収したゴミを焼却炉で燃やしはじめたところ、火の勢いが強くなり、舞い上がった火の粉がAの作業服に燃え移って火傷を負った。Aは病院に搬送されたが、その後死亡した。
Aが、被災時に着用していた作業服の材質はポリエステル65%、綿35%のものであり、ほかにゴム手袋と布製の作業帽を着用していた。
焼却炉は、ドラム缶の天板を取り外し、下部に通風孔を開けたものを使用していた。また、焼却炉で燃やしたゴミは、Aが各居室のゴミ箱から回収したもので、中身を確認しないまま大きいビニル袋に入れ、焼却炉に投入していた。
なお、Aは、ゴミの焼却に当たり、防火用水や消火器は用意していなかった。
【原因】
1 作業計画の作成時に安全の検討が不十分なまま、安易に活線作業を行ったこと
Z社では全体の作業計画を作成する際、饋電線への絶縁用防護管の装着を夜間作業や短時間の停電作業で行う方法について十分検討することなく、安易に活線作業を行ったため感電災害につながった。
2 作業指揮者が監視の業務を果たせなかったこと
当日は、Z社が現場に派遣した作業指揮者は1人であり、ほかに監視人がいなかったため、複数の架線柱で同時に行われた活線作業をすべて監視することができなかった。
3 作業開始前の打ち合わせで伝達や指示が十分に行われなかったこと
作業発生当日の朝礼において、活線作業における感電防止の措置や安全上の留意事項に関する伝達や指示が十分に行われなかった。
【対策】
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 作業の安全確保を十分に検討した上で、より安全な作業計画を作成すること
高圧電路、低圧電路を問わず作業中の感電を防止するためには、停電作業とすることを原則とし、作業計画の作成時に、停電作業の可能性について、発注者である鉄道会社と打ち合わせることが重要である。なお、やむを得ず活線作業とする場合には、作業個所の防護の手順、作業指揮者の配置等について十分な検討を行って安全を確保することが必要である。
2 作業指揮者等に監視を確実に行わせること
やむを得ず活線作業を行う場合は、同時に行われる作業をすべて監視できるように必要な人数の作業指揮者や監視人を現場に派遣し、活線作業が安全に行われていることを監視させる。
3 作業開始前の打ち合わせで、伝達と指示を十分に行うこと
作業開始前の打ち合わせは特に重要であり、慣れた柱上作業であっても架線柱の状況、人員配置等、現場によって作業条件が異なるので、工事指揮者は、それらを把握した上で適切な作業の指示や伝達を行う必要がある。さらに、朝礼では、ヒヤリ・ハット活動やKY活動を実施し、作業者に危険個所と安全な作業方法を確認させることも効果的である。
【業種】
電気通信工事業
【被害者数】
死亡者数:1人
出典:厚生労働省ホームページ 職場のあんぜんサイト:労働災害統計 (mhlw.go.jp)
No.101091より一部抜粋
万が一、労災事故が起こった場合の労災申請に関して、ご不明点がありましたらお気軽にお尋ねください。
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