建設業の労災事例

外壁改修工事中、乗っていた足場が倒れ、作業員5名が巻き込まれて負傷

   

【労災概要】

被災者は、建物の外壁改修工事のために設置された足場(高さ20.9m、長さ89m、枠組み足場11層、50スパン)においてシーリングの打ち替え作業を行っていたところ、昼食休憩のため足場を降りようとしたときに乗っていた足場が倒れ、巻き込まれて負傷した。(被災者5名、休業見込45日~2週)

【原因】

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。

壁つなぎの強度について、「改訂風荷重に対する足場の安全技術指針」による検討結果では問題はなかったが、壁つなぎと外壁を接続する「エーエルシーアンカーAX(めねじ)」については強度が不足していたにもかかわらず他の接続方法を事前に検討しなかったこと。

災害のあった日の前日は、足場の設計風速(16m毎秒)を超える19.4m毎秒の最大瞬間風速が観測されているが、メッシュシートを畳む等の足場に対する風荷重の軽減措置を講じていなかったこと。

【対策】

類似災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。

① 壁つなぎと外壁を接続するアンカーについては、製造者の試験成績に基づいて風荷重の検討を行い、ALC板の経年変化を考慮して、壁つなぎの配置間隔を決定すること。数量を増やすことが出来ない場合は、他の接続方法を検討すること。

② 強風などの悪天候が予想されているときには、風荷重を軽減する措置を講じ、念のため足場における作業を行う時に作業開始前に点検を行い、必要がある時は補修を行うこと。

【業種】

建築設備工事業

【被害者数】

休業者数:5名

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コンクリートカッター使用中の一酸化炭素中毒により入院

   

【労災概要】

本災害は、保育施設においてコンクリート床スラブの切断、破砕作業中に発生した。

床暖房を設置するための作業により発生する粉じん飛散防止のため、遊戯室内の床暖房設置場所を仮囲いした内部において、内燃機関を有するコンクリートカッター2台及び内燃機関を有するブレーカー1台によるコンクリート床スラブの切断、破砕作業を行っていたところ、被災者1名が倒れ、他の5名も体調不良を訴えた。現場では、粉じんの排出をするため、仮囲いの入口近くにポータブル送風機を排気用途で2台、扇風機2台を内部で稼動させていた。

【原因】

①一酸化炭素に対応する十分な換気、有効な呼吸保護具を使用する等の一酸化炭素中毒予防対策を講じないまま作業を行ったこと。

②関係労働者に安全衛生教育を実施していなかったこと。

【対策】

①換気が不十分な場所において内燃機関を有する機械を使用しないこと。作業の性質上やむを得ず使用する場合には「建設業における一酸化炭素中毒予防のためのガイドライン」に基づく適切な一酸化炭素中毒予防対策を講じること。

②関係労働者に対し、一酸化炭素の有害性についての教育及び安全衛生教育を行うこと。

 

【業種】

木造家屋建築工事業

【被害者数】

休業者数:4名

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